メニュー

身近な法律家に相談する


賃貸・アパートの退去費用の相場が知りたいなら
  • 原状回復費用の計算
  • 内容証明郵便の作成代行
  • 裁判外紛争処理制度(ADR)のご相談
敷金ドットコム
運営者
敷金ドットコムは、退去費用のトラブルを街の法律家に無料で相談できるサイトです。
このサイトは、国土交通省が発行している原状回復のガイドラインに沿って、賃貸人や賃借人、媒介業者、管理業者など、賃貸借契約の当事者の方々に積極的に活用され、トラブルの未然防止や円滑な解決に役立つことを期待して運営しています。

国土交通省 賃貸住宅の原状回復ガイドラインをわかりやすく解説!退去時の費用負担はどうなる?

国土交通省 賃貸住宅の原状回復ガイドラインをわかりやすく解説!退去時の費用負担はどうなる?

賃貸物件を退去する際、「原状回復費用」という名目で高額な請求を受けている借主は少なくありません。

「これって本当に払う必要があるの?」と疑問に思ったことのある方も多いでしょう。

実は、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指針を公表しており、これに基づけば不当な請求から身を守ることができます。

このガイドラインは、賃貸住宅の退去時における原状回復の費用負担のルールを明確にしたもので、借主と貸主の間で生じやすいトラブルを未然に防ぐことを目的としています。

最新版では、経年劣化や通常使用による損耗については借主に修繕費用の負担義務がないことがはっきりと示されています。

この記事では、原状回復ガイドラインの内容をわかりやすく解説し、耐用年数や経年劣化、減価償却の考え方、そして退去時の費用負担の割合について詳しく説明します。

これを理解することで、退去時のトラブルを避け、不当な請求から自分を守るための知識を得ることができます。


行政書士 松村 元
監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

原状回復の意味と基礎知識

原状回復とは、賃借人(借主)が賃貸物件を借りた当時の状態に戻すことを指します。

しかし、すべてを元の状態に戻す必要があるわけではありません。

国土交通省のガイドラインでは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。

重要なポイント
  • 日常生活で生じる自然な劣化(経年劣化)や通常の使用による損耗は借主負担ではない
  • タバコのヤニや落書き、ペットによる傷などは「通常の使用を超える損耗」として借主負担となる
  • ガイドラインは法的拘束力はないが、裁判の判断基準として用いられることが多い

賃貸の退去費用に関する注意点

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの冊子

退去費用は、賃貸契約書に記載された原状回復の規定や、物件の経年劣化、損耗の程度によって大きく変わります。

一般的には、敷金から原状回復費用や清掃費用が差し引かれて返還されますが、修繕が必要な場合は追加で費用が請求されることもあります。

国土交通省のガイドラインによると、通常の使用による損耗は賃貸人が負担し、故意・過失や通常の使用を超える損耗は賃借人が負担するのが原則です。

例えば、壁紙の一部が傷んだ場合、その部分だけを修復する費用は賃借人の負担となりますが、部屋全体の壁紙を張り替える必要がある場合は賃貸人が負担すべきとされています。

また、経過年数や入居年数を考慮して負担割合が調整されるため、長期間住んでいた場合の負担は軽減される傾向にあります。

退去費用の相場を把握するためには、契約内容や物件の状態をしっかり確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが重要です。

1.退去時には修繕と清掃作業を実施する

原状回復によるクロスの張替えをする職人

賃貸物件を退去する際、賃貸人が定めた契約書に原状回復に関する規定がある場合は、その規定に従わなければなりません。

つまり、賃貸人が指定した業者によって原状回復を行わなければならず、自分自身や指定業者以外に原状回復を行わせることはできません。

ただし、賃貸借契約書に賃借人が自分で原状回復を行う旨が規定されている場合は、自分で行ったり、指定業者に行わせたりすることができます。

この章のPoint
  • 契約書に原状回復に関する規定がある場合は、その規定に従う
  • 賃貸人が指定した業者によって原状回復を行うのが通例

2.敷金返還請求および原状回復費用の減額請求をする

入居時に敷金を預けている方は、賃貸借契約書に基づいて、原状回復費用や清掃費用などが差し引かれた金額が返金されます。

また、入居時にハウスクリーニング代を支払っている方は、清掃作業のみであれば追加で原状回復費用の請求はないでしょう。

一方、修繕が必要であった場合は、原状回復費用を請求される可能性があります。

賃借人の原状回復義務の範囲

契約終了時には、建物の損耗について賃貸人と賃借人で責任を分担するため、通常の使用による損耗とそれ以外の損耗に区分けがされています。

  1. 賃借人の通常の使用による損耗
  2. 賃借人の通常の使用により生ずる損耗以外の損耗

通常の使用による損耗については原状回復義務がなく、それ以外の損耗については原状回復義務があります。

つまり、通常の損耗については賃貸人が費用を負担し、それ以外の損耗については賃借人が費用を負担することになります。

国土交通省の原状回復の考え方
経年劣化の進んだ畳の様子
通常の生活の範囲内で生じた損耗の修繕費は家賃に含まれると考えられる

国土交通省のガイドラインによると、建物が劣化したり損傷を受けた場合、建物の価値が下がると考えられます。

そのため、建物の修繕費用を決める際に、損耗の程度を分かりやすくするため、損耗を3つに分類しています。

  • 賃借人の通常の使用による損耗
  1. 経年変化
    建物・設備等の自然的な劣化・損耗等
  2. 通常損耗
    賃借人の通常の使用により生ずる損耗等
  • 賃借人の通常の使用により生ずる損耗以外の損耗
  1. 特別損耗
    賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等

このうち、国土交通省のガイドラインではを念頭に置いて、原状回復が定義されています。

したがって、賃貸物件に住む際、建物の補修・修繕費用について、賃借人が負担すべき費用は、故意・過失や通常使用を超えた特別損耗に限られます。

一方、賃貸人が負担すべき費用は、入居者を確保するためのリフォームや通常使用による損耗の修繕です。

行政書士 松村 元

大前提として、契約終了時には、建物の元の状態に戻す義務があることを理解しておくことが大切です。

賃借人の負担対象範囲

高額な退去費用に悩まされている女性

賃借人の負担対象範囲の基本的な考え方として、原状回復とは、借りた物件を返す際に、元の状態に戻すことを指します。

このとき、壊れてしまった部分を修復することが必要ですが、その修復の範囲は最小限にとどめ、できるだけ壊れた部分だけを直すことが原則です。

例えば壁のクロスの場合、毀損箇所だけを修繕するだけでは商品価値を維持できない場合があり、部屋全体のクロスの張替えが必要になることがありますが、クロスの色や模様が一致しなくても、物件としての価値が低下するわけではありません。

このような場合、全体のクロスを揃えることは、物件の価値を維持するためには必要ですが、原状回復の範囲を超える利益を得ることになるため、賃貸人が負担するべきとなります。

一方、毀損した部分だけを修復しても、その箇所が目立ってしまうことがあります。

このような場合は、毀損した部分を含む一面分のクロスを張替えることが妥当と考え、この費用は、毀損を引き起こした賃借人が負担することになります。

このように、賃貸人と賃借人の間に認識の違いがある場合は、補修工事の最低施工可能範囲や負担を考慮し、客観的に判断する必要があります。

建物の損耗等について

経年劣化でひび割れたクロスの様子

建物が経年変化や通常の使用によって傷んでいくことは避けられません。

しかし、具体的にどの程度の傷みが「通常の使用」とされ、賃貸人と賃借人の負担割合がどうなるかは定義が曖昧でトラブルの原因になります。

このため、国土交通省のガイドラインでは、具体的な苦情や相談事例をもとに、判断基準を設け、トラブルを予防・解決するためのガイドラインを示しています。

国土交通省の建物の損耗の考え方

建物の経年変化や通常の使用による損耗は、賃貸契約期間中に起こる予想されることであり、その修繕費用は賃料に含まれています。

つまり、通常の使用によって生じた修繕費用は、賃借人が負担する必要がなく、賃貸人が負担することになります。

しかし、賃借人の住み方や使い方によって生じる損耗の中には、意図的な過失、注意義務の違反などによる特別損耗が含まれます。

したがって、意図的な過失、注意義務の違反が見受けられる場合は、借人の原状回復の義務を負い、費用の負担についても検討が必要になります。

賃借人が手入れを怠ったことで損耗が広がった場合、賃借人には管理の怠慢があると考えられ、特別損耗と見なされる場合があります。

行政書士 松村 元

これらの個々の事例においては、客観的で合理的な基準がなく、実務的にも煩雑であるため、国土交通省のガイドラインでは詳細な負担割合の算定は行っていません。

経過年数の考え方

行政書士 松村 元

例えば、クロスの耐用年数は6年です。2021年に入居していれば、現在のクロスの残存価値は、333円/㎡です。2027年に退去(入居期間が6年)すれば、原状回復費用は発生しない(0円)ということになります。

物件の賃貸契約において、設備や家具などは経年劣化するため、一定の期間が経過すると価値が下がります。

これを「減価償却」と言います。

賃借人が、建物や設備を壊したり、手入れを怠って損傷が生じた場合、賃貸人は、賃借人に修繕費用の負担を求めることができますが、通常の損耗や年数経過による劣化は、契約期間中に支払った賃料に含まれており、修繕費用の全額を賃借人が負担することはありません。

なぜなら、通常の損耗や年数経過による劣化は、賃貸人と賃借人が契約する際に、互いに前提としているものだからです。

そのため、これらの費用は、賃貸人と賃借人が契約期間中に支払った賃料で補てんされるため、明け渡し時には、通常の損耗や年数経過による劣化による費用は賃借人が負担する必要がないとされています。

また、賃借人が建物や設備を1年で損傷させた場合と、10年で損傷させた場合では、後者の場合の方が、経年変化や通常の損耗がより大きくなっているはずです。

そのため、建物や設備の経年年数を考慮して、賃借人の負担割合を調整することが適切となります。

つまり、経年年数が長い場合には、賃借人の負担割合を低く設定することが必要となります。

関連記事:自分で原状回復費用を計算してみる

入居年数による代替

経年劣化の進んだ襖の様子

経過年数を考慮する場合、新築でない賃貸物件では、設備や修繕のタイミングは異なります。

そのため、管理者が完全に把握することは難しく、入居時に提示された経過年数も確認できないことがあります。

他方、入居年数は明確でわかりやすいため、国土交通省のガイドラインでは、経過年数を入居年数で代替する考え方を採用しています。

ただし、入居時の設備状態は、必ずしも新品のものばかりではないため、その設備状況によって経過年数を調整して負担割合を決定します。

なお、契約当事者が協議して決定し、設備交換をした場合は設備の価値は新品の扱いとなりますが、そうでない設備は建築後の経過年数や損耗を考慮して適切な負担割合を決定します。

賃借人は物件を注意して使う義務があることも忘れずに注意しましょう。

経過年数(入居年数)を考慮しない修繕

傷んだフローリングと畳の様子

建物の部位で、長い期間使える部分や、部分的に修繕できる箇所(例えば、フローリング)については、経過年数を考慮する必要はありません。

なぜなら、部分的に修繕しても、将来的には全体を張替えることが一般的であり、部分的に修繕したからといっても、全体の価値が上がるわけではないからです。

つまり、賃貸人が負担するのが妥当です。

それに、部分的に修繕した場合でも、フローリング全体の価値は減っている可能性があるので、修繕費用を全額賃借人に負担させるのは不合理です。

また、襖紙や障子紙、畳表などの消耗品についても、経過年数を考慮する必要はありません。

なぜなら、これらのものはすぐに価値が下がってしまうからです。

減価償却資産のうち、これらのものの使用可能期間が1年未満のものや取得価額が10万円未満のものは、消耗品として処理することができます。

ただし、フローリング全体の張替えが必要な毀損の場合には、経過年数を考慮して費用を分担する必要があります。

この章のPoint
  • 賃借人が負担すべき費用は、故意・過失や通常使用を超えた損耗に限られる
  • 通常の損耗や年数経過による劣化は、契約期間中に支払った賃料に含まれている
  • 経年年数が長い場合には、賃借人の負担割合を低く設定することが必要
  • 建物の部位で、長い期間使える部分や、部分的に修繕できる箇所(例えば、フローリング)については、経過年数を考慮する必要はない
  • フローリング全体の張替えが必要な毀損の場合には、経過年数を考慮して費用を分担する
  • 襖紙や障子紙、畳表などの消耗品についても、経過年数を考慮する必要はない

3.トラブルに発展した際は少額訴訟とADRを検討

賃貸住宅におけるトラブルは、当事者同士の話し合いで解決することが一般的ですが、解決できない場合は裁判で決着を図ることになります。

しかし、裁判にかかる費用や時間の問題で、多くの人は裁判まで進むことができません。

そのため、最近では少額の請求については費用や時間が少なくて済む簡易裁判所の制度を活用することが多く、また、中立的な第三者を介入させてトラブル解決を図るADRという制度も注目されています。

今後はこれらの制度を利用することで、トラブルが円滑に迅速に解決できることが期待されています。

  • 調停(相談・あっせん)

民事調停は、民事紛争を解決する制度で、調停機関が当事者の話し合いを仲介し、互いに譲り合って問題を解決することを目的としています。

手続きが簡単で時間がかからず、少額訴訟よりも解決が早いというメリットがあります。

また、国民生活センターや消費生活センターなどの紛争調整機関では、話し合いや調停が行われ、円満な解決を目指します。

  • 仲裁

仲裁とは、法律上の問題がある場合に、裁判所ではなく、私人の第三者(仲裁人)による判断で解決する方法です。

仲裁人の選定が公平かどうかといった問題もありますが、弁護士会や司法書士会、行政書士会などの仲裁センターでは、特別な制限がない場合には様々な問題に対応しています。

調停に比べて仲裁の実績は多くありませんが、取り扱う事案は多岐にわたっており、原状回復や敷金返還請求などの問題も仲裁で解決することができます。

以上のように、トラブル解決には、当事者が自分たちで判断して利用できる簡易的な制度があります。

一般的には、最初に相談・あっせんが試みられ、解決できない場合には、調停、訴訟、仲裁が利用されます。

行政書士 松村 元

賃貸住宅に関する相談や苦情処理は、地方自治体の相談窓口や消費生活センターなどの行政機関でも対応しています。しかし、具体的な解決に至っていないのが実情です。

この章のPoint
  • 当事者同士の話し合いで解決できない場合は現行制度を活用する
  • 少額訴訟手続は、60万円以下の金額について、1回の審理で解決できる
  • 裁判外紛争処理制度(ADR)は、少額訴訟よりも解決が早い
  • 消費生活センターなどの行政機関では、トラブル防止に向けた啓発や紛争解決への助言・仲介、紛争解決制度の情報提供などを行っている

4.賃貸の退去費用に関する注意点のまとめ

賃貸借契約書が入ったクリアファイル

賃貸物件を退去する際、退去費用の相場やトラブル防止策を理解することが重要です。

退去後の原状回復トラブルを円滑に解決するためには、契約書の規定を遵守し、賃貸人指定の業者による修繕を基本とし、賃借人は故意・過失や通常使用を超えた損耗に対してのみ費用負担を行い、通常の損耗や経年劣化は賃料に含まれていることを理解する必要があります。

特に、フローリングや消耗品の修繕については経過年数を考慮し、当事者間での話し合いが難しい場合は、少額訴訟手続(60万円以下)やADR、消費生活センターなどの行政機関が提供する紛争解決制度を活用して、公平かつ迅速な解決を目指すべきです。

それでは、ここからは、賃貸の退去立ち会い時の注意点について、国土交通省の原状回復ガイドラインに基づき詳しく見ていきましょう。

賃貸の退去立ち会い時の注意点

借主と管理会社の担当者が賃貸の内覧をしている様子

退去費用の相場について知りたい方にとって、まず理解しておくべきことは、退去時の手続きや立ち合いの重要性です。

これまでも見てきた通り、退去費用は、物件の状態や修繕が必要な箇所によって大きく変動します。

一般的に、退去費用には清掃費や修繕費が含まれ、これらは入居時の状態に戻すための原状回復費用として計算されます。

特に、通常の使用による損耗や経年劣化は賃貸人が負担する場合が多いですが、入居者の不注意による損傷や汚れは、入居者が負担することになります。

そのため、退去時には部屋の清掃や必要最低限の修繕を行い、トラブルを未然に防ぐことが重要です。

また、退去立ち合いの際には、チェックリストや写真を使って物件の状態を記録し、入居時との比較を行うことで、認識の違いを減らし、適切な費用負担を確認することができます。

敷金の返金も、これらの費用を差し引いた金額となるため、退去時の手続きをしっかりと行うことが、費用の透明性を高める鍵となります。

ここからは、原状回復に関するトラブルを未然に防止するために必要な退去手続きにおいて押さえておくべきポイントを国土交通省のガイドラインに沿って解説しています。

1.賃貸人に退去の意思を伝え、退去日(退去立ち合い日)を決定する

退去する予定がある場合は、できるだけ早めに不動産会社や大家さんに退去の意思を伝える必要があります。

契約書に退去の手続きに関する記載がある場合は、その手続きに従って進めなければなりません。

また、退去日は、契約書に記載された通りの日付を遵守する必要があります。

仮に急用で日時の変更が必要な場合であったとしても、できる限り契約書に沿った内容で進めることが退去トラブルを防止するために必要なことです。

その他、退去日に合わせて、電気・ガス・水道などの端末設備の解約手続きも忘れずに行いましょう。

解約手続きには事前に賃貸人に確認が必要な場合があるので、早めの対応が必要です。

行政書士 松村 元

忘れがちな情報はWEBカレンダーに登録して通知機能を使うと良いです。

この章のPoint
  • 退去日は、契約書に記載された通りの日付を遵守する
  • 急用で日時の変更が必要な場合であったとしても、できる限り契約書に沿った内容で進める
  • 退去日に合わせて、電気・ガス・水道などの端末設備の解約手続きも忘れずに行う

2.部屋の清掃と最低限の修繕は実施する

賃借人がガスコンロ周りを清掃している様子

退去時における修繕費用に関する問題は、入居時からの損耗や損傷が原因かどうかや、いつ発生したかなどの事実が明確でないことが、大きな問題の一つです。

賃貸物件を借りる際には、入居者には「善良な管理者」としての注意が求められます。

特に建物を借りる場合には、普段の掃除や退去時の清掃をしっかり行い、通常の使用による損耗・損傷以外の大きな被害を与えないように注意する必要があります。

もし、通常の注意を怠ってカビやシミを発生させたり、物件や設備を壊した場合には、入居者は「善管注意義務」に違反したことになり、賠償責任を負うことになります。

また、物件や設備が壊れた場合には、修繕費用は賃貸人が負担することになっていますが、入居者は修繕が必要になった場合には、賃貸人に必ず通知する必要があります。

通知を怠って隣の部屋にまで被害が及んでしまった場合には、入居者が賠償責任を負うことになる場合があるため、退去時には注意が必要です。

したがって、退去時には、清掃は勿論、損耗や損傷が見受けられる個所はできる限り修繕するように心がけて、不要な退去トラブルのリスクを下げることが重要です。

契約書には、物件や設備の適切な使い方や手入れの方法、注意点などを特約として明記されている場合があります。

この章のPoint
  • 普段の掃除や退去時の清掃をしっかり行い、通常の使用による損耗・損傷以外の大きな被害を与えないように注意する
  • 修繕が必要になった場合には、退去までに賃貸人に必ず通知する
  • 退去時には、清掃は勿論、損耗や損傷が見受けられる個所はできる限り修繕する

3.退去立ち合いではチェックリストや写真などで記録を残す

退去立ち合い時に賃借人がチェックシートにチェックをしている様子

前述の「賃貸の入居前にやることの流れと注意点」でも解説していますが、トラブルの原因の一つは、入居時や退去時に物件の状態をきちんと確認しないことです。

特に、長期間の賃貸契約では、当事者の記憶だけでは曖昧になり、損耗や破損などが起きた場所や時期についてトラブルが起こりやすくなります。

そのため、入居時に作成したチェックリストなどの記録を見返し、部屋の状態を部位ごとに確認することが大切です。

入居時と退去時の物件の状態を比較することで、当事者間の認識の違いを減らすことができ、退去トラブルを防止することができます。

また、退去時の立会いで、損傷などがあるということで確認サインを求められることがあります。

賃貸人と賃借人が一緒に立ち会って、物件の状態を確認する退去立ち合いは、原状回復費用負担の決定に関わるため、疑問がある場合は、サインをする前に質問するなど慎重に行うことが必要です。

なお、入居時に敷金を預けている方は、退去後に敷金の返金手続きを行います。

敷金は、賃貸借契約書に基づいて、原状回復費用や清掃費用などが差し引かれた金額が返金されます。

賃貸契約書に原状回復に関する特約がない場合は、賃借人が故意・過失でない限り負担する必要のないものであり、確認サインをしていたとしても、その分について負担する理由はありません。

行政書士 松村 元

入居時にチェックリストを記録している人は少ないですが、入居時と退去時の物件の状態を比較することで、当事者間の認識の違いを減らすことができます。

この章のPoint
  • 入居時に作成した記録を見返し、入居時と退去時の物件の状態を比較する
  • 退去時の立会いで、確認サインを求められたら慎重になる
  • 入居時に敷金を預けている方は、退去後に敷金の返金手続きを行う

4.賃貸の退去立ち会い時の注意点のまとめ

ガスの明細書

退去時の手続きや立ち合いの重要性を理解し、退去費用の相場やトラブル防止策を把握することが重要です。

退去の際は、契約書に記載された退去日を厳守し、やむを得ず変更する場合でも可能な限り原契約に沿って進めることが重要です。

退去前に電気・ガス・水道などの設備解約手続きを忘れず、日常的な清掃と退去時の徹底的な清掃を行い、通常の使用による以外の大きな損傷を避けてください。

物件に修繕が必要な箇所がある場合は、退去前に必ず賃貸人に通知し、可能な限り自身で修繕を行います。

入居時の記録と比較しながら物件の状態を確認し、退去時の立会いでは確認サインに慎重に対応し、敷金を預けている場合は退去後に返金手続きを確実に行いましょう。

次に、賃貸の入居時の注意点について、国土交通省の原状回復ガイドラインに基づいて解説します。

賃貸の入居時の注意点

賃借人が入居前に内覧している様子

退去時の原状回復費用は、物件の状態や契約内容によって大きく異なるため、事前の確認が不可欠です。

入居日やることとして、部屋の状態を徹底的に確認し、チェックリストや写真、平面図などを活用して記録を残すことで、退去時のトラブルを防ぐことができます。

また、賃貸借契約書に記載された原状回復に関する条件をしっかりと確認し、特に修繕負担範囲や施工目安単価などを明確にしておくことが重要です。

特約が設けられている場合は、その内容が法的に有効かどうかも確認し、賃借人としての負担が過重にならないよう注意しましょう。

これらのポイントを押さえることで、退去費用の相場を把握し、予期せぬ出費を防ぐことが可能になります。

賃貸に入居する前に部屋の状態を確認することで、退去時のトラブルを防ぐことができます。

1.契約前に部屋の状態を確認する

賃借人がチェックシートにチェックをしている様子

トラブルの原因の一つは、入居時や退去時に物件の状態をきちんと確認しないことです。

特に、長期間の賃貸契約では、当事者の記憶だけでは曖昧になり、損耗や破損などが起きた場所や時期についてトラブルが起こりやすくなります。

そのため、入居時には、チェックリストを作成し、部屋の状態を部位ごとに確認することが大切です。

チェックリストの他にも具体的な箇所や程度を平面図に書いたり、写真を撮るなどのビジュアルな手段を併用することで、当事者間の認識の違いを減らすことができます。

チェックリストなどの記録は、後でトラブルが起こった場合に証拠として役立つため、迅速な解決につながります。

この章のPoint
  1. 入居時にチェックリストを作成する
  2. 写真を撮る

2.原状回復に関する契約条件を確認する

重要事項説明が記載されている賃貸借契約書

現在、賃貸借契約において原状回復に関する契約条件については、法的な規制が特に存在していません。

しかし、賃貸借契約において原状回復にかかる費用は、入居時には発生しないものの、将来的に賃借人が負担する可能性があるため、契約時にその内容や金額等の条件が明確になっていることは重要です。

そのため、契約書に原状回復に関する条件を明記し、賃貸人と賃借人の双方が合意した上で契約を締結することが望ましいです。

具体的には、賃借人の修繕負担、負担範囲、原状回復工事施工目安単価などを明確にしておく必要があります。

また、原状回復工事施工目安単価はあくまでも目安であり、例外的な特約としてクロス張替費用(ペット飼育を認める場合)などが想定されることもあります。

以上のように、原状回復に関する契約内容は、賃貸借契約を締結する際に重要なポイントの一つであり、賃貸人と賃借人が事前に合意したうえで契約を行うことが望ましいです。

したがって、契約時に退去トラブルに発展しそうな原状回復に関する契約条件(契約書に記載のある項目)を確認するようにしましょう。

行政書士 松村 元

賃貸借契約は、賃貸人と賃借人が契約内容を十分に理解して同意する必要があります。

この章のPoint
  • 契約書の原状回復に関する条件を確認する
  • 修繕負担、負担範囲、原状回復工事施工目安単価を確認する
  • 契約内容に疑問点・不明点があれば契約前に賃貸人に確認する

3.賃貸借契約書の特約の要件を理解して契約する

賃借人が賃貸借契約を締結する様子

賃貸借契約書には、原則として強行法規に反しない限り特約を設けることができます。

特約とは、通常の原状回復義務を超えた修繕などの義務を賃借人に負わせることができることを指しますが、特定の修繕費用を賃借人が負担する旨の特約は、賃貸人の修繕義務を免除する意味しかなく、有効とはみなされません。

また、経年変化や通常の損耗に対する修繕費用を賃借人が負担する特約は、賃借人に新たな義務を課すことになるため、特定の要件を満たしていない場合は、契約内容が無効となる可能性があります。

賃貸借契約書には、建物の劣化や価値の減少に関する費用負担について特約が設けられることがありますが、その費用を賃借人が負担するためには、契約書に負担額が明確に記載されている必要があります。

また、消費者契約法では、消費者の権利を制限する契約条項は無効とされています。

そのため、賃貸借契約書に特約を設ける場合は、契約書に明確に記載し、賃借人の了解を得ることが重要です。

行政書士 松村 元

賃貸借契約書の特約の要件を理解して契約することで、退去時の原状回復に関するトラブルが発生した際に冷静に交渉することができます。

この章のPoint
  • 経年変化や通常の損耗に対する修繕費用を賃借人が負担する旨の特約がないか確認する
  • 建物の劣化や価値の減少に関する費用負担の特約がないか確認する
  • 契約内容に疑問点・不明点があれば契約前に賃貸人に確認する

4.賃貸の入居時の注意点のまとめ

賃借人がスマホで室内を撮影する様子

賃貸物件を入居する前に、退去時の原状回復費用やトラブル防止策を理解することが重要です。

入居前に、契約書を慎重に確認し、入居時チェックリストを作成するとともに、物件の写真を撮影し、原状回復の条件、修繕負担範囲の項目を確認するようにしましょう。

特に、経年変化や通常損耗に関する修繕費用の特約、建物の劣化や価値減少に関する費用負担条項を注意深く点検し、不明な点や疑問がある場合は、契約締結前に賃貸人に対して明確な説明を求め、後々のトラブルを未然に防ぐことが重要です。

ここからは、実際に、国土交通省の原状回復ガイドラインに掲載されてある、賃貸の退去費用に関する相談事例をわかりやすくまとめました。

これまでの内容を踏まえて実際にどういった相談事例が寄せられているか参考にしていただければと思います。

賃貸の退去費用に関する相談事例

退去トラブルに関して、専門家に相談する様子

賃貸物件に関するQ&Aを通じて、賃貸契約の際に注意すべきポイントや退去時のトラブルを回避するための重要な知識を得ることができます。

本段落では、契約書の特約や原状回復に関する条項、ハウスクリーニング特約などについて詳しく解説します。

これまでの内容をしっかりと理解した上で、退去時に備えるための事例として参考にしてください。

1.退去後によくある相談事例

退去後に部屋が空っぽになった様子

敷金の返還請求のタイミングについ

敷金の返還はいつでも請求できますか?

賃貸借契約書で特別な時期を定めていない場合、建物の明け渡し後にしか請求できません。

入居から1年以上経過していますが、敷金を返してもらうには建物の明け渡しが必要ですか?

はい、建物の明け渡しが必要です。ただし、明け渡し後に原状回復工事などがある場合、その期間に合わせて敷金の返還時期を調整することもできます。

大家さんは敷金返還請求を受けたらどう対応すべきですか?

敷金返還請求を受けた場合、大家さんは賃貸住宅の原状回復状況を確認し、必要な費用を差し引いた上で残額を返金します。

貸主が変わった際の敷金の返還請求先について

新しい大家さんから敷金は返還されますか?

そのアパートを新しい大家さんが購入した場合は、新しい大家さんから返還されます。競売で落札された場合は前の大家さんから返還されます。

新しい大家さんが返還しない場合はどうなりますか?

前の大家さんに請求します。抵当権が登記された後に敷金を預けた場合、抵当権者が優先することがありますので注意が必要です。

抵当権が優先する場合、敷金はどうなりますか?

抵当権が解除された後に敷金を受け取ることができます。事前に抵当権の状況を確認することが大切です。

退去立会いでサインをした際の原状回復費用の支払いについて

退去時に立ち会い、損傷部分にサインしましたが、原状回復費用が高額です。サインした以上、負担しなければなりませんか?

故意・過失によらない損傷は負担不要ですが、損傷を認めた部分については負担する必要があります。

具体的にどの程度が負担すべき範囲ですか?

故意・過失によらない損傷は負担不要です。しかし、合理的な範囲を超える損傷については賃借人が負担する場合があります。例えば、通常の摩耗や汚れは負担不要です。

原状回復費用の明細請求について

アパートを明け渡して1ヶ月が経ちますが、まだ原状回復費用の明細が届きません。請求できますか?

はい、賃貸人に明細を請求することができます。

請求方法や期限はありますか?

期限はありませんが、書面で請求するのが望ましいです。請求書には賃貸人の住所、敷金返還額、引かれた費用の明細などを記載してください。

書面で請求してから明細を受け取るまでにどのくらい時間がかかりますか?

法律上、賃貸人は速やかに対応する必要がありますが、具体的な時間は賃貸人によりますので、確認してください。

2.修繕費でよくある相談事例

クロスを張替えす職人の様子

敷金について

敷金とはどのようなお金ですか?

敷金は、入居者が部屋を綺麗に返却し、損害があった場合の修繕費用などを賃貸会社が請求するために、前もって預けておくお金です。

敷金の金額はどのくらいですか?

敷金は一般的に家賃の1〜2ヶ月分が多いですが、物件によって異なります。

敷金は退去後に全額返金されますか?

敷金は、退去時に物件の状態を確認し、クリーニング費用や修繕費用を差し引いた残額が返金されます。契約書に定められた条件を満たしていない場合は、一部または全額返還されないことがあります。

クロスを張替える原状回復費用について

部屋の壁にキズをつけてしまいました。原状回復費用がかかるのでしょうか?

はい、かかります。修理の必要性と費用は賃貸人が確認して連絡します。

キズが小さい場合でも、部屋全体のクロスを張替える必要がありますか?

キズが小さい場合、一部分だけの修理が通例です。ただし、仕上がりに違いが出ることがあるので、賃貸人に確認してください。

原状回復費用は敷金から差し引かれますか?

はい、敷金から差し引かれますが、超過分は賃借人が負担します。

退去時に襖や障子、畳表を張替えについて

退去時に襖や障子、畳表を張替える必要がありますか?

経年変化や通常使用による損耗の場合、負担の必要はありません。契約書に特約がない場合、張替える必要はありません。

住んでいた期間中に傷や汚れをつけた場合はどうなりますか?

賃借人が毀損した場合、賃借人の負担で張替えます。敷金が不足している場合は差額を負担します。

張替えの費用はどう算出されますか?

費用は面積や材料により異なります。大家さんが指定する業者による見積もりに基づきます。

「賃借人の善管注意義務」について

入居者として注意しなければならないことはありますか?

賃貸物件を傷つけたり、近隣住民に迷惑をかけないように注意する必要があります。これを善管注意義務といいます。

「賃借人の善管注意義務」について、具体的な注意点は何ですか?

タバコの煙を充満させたり、ペットを飼うこと、大音量の音楽を避けることが例です。

少額訴訟制度の制度について

明け渡し後の退去費用や敷金返還について、話し合いがつかない場合はどうすればいいですか?

少額訴訟制度を利用できます。60万円以下の金銭支払いを求める訴えで、紛争を1回の審理で解決する手続きです。

手続き方法を教えてください。

裁判所に申立てを行います。相手方の氏名や住所、主張内容が必要です。インターネットや郵送での申立ても可能です。

少額訴訟制度のメリットを教えてください。

手続きが簡易で、訴訟費用が安く済みます。裁判所の判決に基づき支払いを求められます。

原状回復費用の請求書に納得できない場合の対処法について

原状回復費用の請求書が高額で納得できない場合、以前の単価に合わせてもらうことはできますか?

原状回復費用は物件ごとに異なるため、以前の単価に合わせることは難しいです。

高い金額を支払うのが難しい場合、交渉の余地はありますか?

契約書に基づいて請求されますが、納得がいかない場合は大家さんと交渉して合理的な費用について話し合うことができます。

原状回復工事の指定について

原状回復工事を自分で行うか、指定業者にやらせることはできますか?

通常は大家さんや管理会社が行いますが、契約書に特別な規定がない場合、賃借人でも原状回復工事を行う業者を指定することが可能です。

指定業者の費用が高すぎる場合、自分で工事を行いたい場合はどうすればよいですか?

自分で工事を行う前に必ず大家さんに相談し、許可を得る必要があります。許可を得た場合、工事の範囲や方法、期間、費用を明確にし、工事完了後に報告書を提出してください。

3.賃貸借契約書でよくある相談事例

賃貸借契約書

賃貸借契約書の特約について

契約書に不利な特約があった場合、それでも有効ですか?

内容を理解し同意した場合、有効です。ただし、不当に不利な内容であれば無効とされることもあります。

不当に不利な内容とはどのようなものですか?

修繕費用を全額負担することや、大幅な違約金などが該当します。

賃貸借契約書で定められた損害賠償額について

退去時に契約書で定められた損害賠償額を支払う必要がありますか?

合意された内容であるため、原則として支払う必要があります。

額が高すぎる場合はどうしたらいいですか?

賃貸人と交渉して減額を試みるか、不当要求防止法に基づいて対処します。

「賃借人は原状回復をして明け渡しをしなければならない。」という賃貸借契約書の条項について

退去時に内装を全て新しくする必要がありますか?

通常の使用による劣化や傷みは賃貸人の負担です。故意や過失による損害は賃借人が負担します。

契約書には原状回復に関する項目があるので、内装に傷や汚れがある場合、修繕費用を負担する必要がありますか?

一般的に、通常の使用による劣化や傷みは賃貸人が負担します。ただし、故意や過失による損害は賃借人が負担する可能性があります。

契約書をしっかりと読んでおくことが大切ですか?

はい、入居前に契約書をよく読み、質問があれば賃貸人に確認することをお勧めします。また、入居時に部屋の状態を確認し、チェックリストを作成することも重要です。

賃貸借契約書のハウスクリーニング特約について

退去時にハウスクリーニング特約があったため、敷金から一定の金額が差し引かれました。これは正しいですか?

特約が明示されている場合、通常損耗分についても負担されます。契約書に明示されているか、口頭で説明されたかを確認してください。

負担するハウスクリーニング範囲が広すぎる場合、これは妥当ですか?

部屋の広さや滞在期間などの基準で妥当性を判断します。事前に賃貸人に確認してください。

4.入居前によくある相談事例

入居前に部屋を内覧する賃借人の様子

退去時にトラブルを回避するための注意点

賃貸アパートに入居する際、退去時にトラブルを避けるために注意すべき点はありますか?

入居前に物件内部をしっかり確認し、敷金・礼金、家賃や管理費用などの詳細を確認することが重要です。

退去時に準備することはありますか?

原状回復の必要な箇所を確認し、早めに修復対応を行いましょう。退去時には立会いを行い、部屋の状況をチェックリストに記録することが大切です。

チェックリストに記載すべき項目はありますか?

部屋全体の状態、壁や天井、床、キッチン、トイレ、風呂などの設備の状態、鍵の有無を記録し、写真やビデオで証拠を残すことをおすすめします。

賃貸物件を借りる際の注意点

賃貸物件を借りる際に気をつけるべきことはありますか?

賃貸借契約書の内容をよく読み、契約事項をしっかりと確認することが大切です。退去時の原状回復についても確認しておきましょう。

契約書以外に注意することはありますか?

物件内部の状態や設備の有無を確認し、賃貸人の信頼性や対応力も事前に調べておくことが重要です。

賃貸人の信頼性や対応力はどう調べますか?

インターネットの口コミや評判、不動産会社の評価を参考にし、周囲の人からの情報や実際の物件見学での印象も確認しましょう。

5.賃貸の退去費用に関する相談事例のまとめ

賃貸借契約書と請求書

賃貸物件に関するQ&Aを通じて、退去時のトラブルを回避するための重要な注意点や賃貸借契約書の特約について理解を深めることができます。

賃貸物件を借りる際や退去時には、契約書をしっかりと確認し、質問があれば賃貸人に確認することが不可欠です。

特に敷金や修繕費用に関する条件、原状回復の義務、ハウスクリーニング特約については十分に理解しておく必要があります。

また、退去時には物件の状態を確認し、必要な修復を行うこと、部屋の状況をチェックリストに記録すること、そして写真やビデオで証拠を残すことが重要です。

賃貸人との信頼関係を築き、コミュニケーションを大切にすることで、スムーズな退去手続きが実現できます。

最後に、こちらも国土交通省の原状回復ガイドラインに掲載されてあるトラブル事例(判例)をまとめました。

各それぞれ異なるトラブル事例で様々な判決となっています。

こちらも、相談事例と同様に、実際にどういったトラブル事例が寄せられているか参考にしていただければと思います。

賃貸の原状回復費用に関するトラブル事例

賃貸人と賃借人が交渉する様子

原状回復や敷金返還をめぐるトラブルでは、数万円から数十万円の金額が争われることが多く、簡易裁判所が管轄する場合がほとんどです。

主な争点は、退去後の修繕対象が通常の使用による損耗を超えるかどうか、および特約により賃借人が修繕義務を負うかどうかの2点です。

判例では、通常の使用による損耗と認められる場合が多く、特約の有効性については契約時の説明や合意が重視されています。

また、消費者契約法に基づく特約の無効性が争われる事例も増えており、判例は特約の明確性や合意の有無を厳格に判断しています。

これらの判例や解説を参考にすることで、賃貸生活におけるトラブルを未然に防ぎ、安心して生活を送るとともに、退去時にもスムーズな手続きができるよう備えることができるでしょう。

1.耐用年数6年の製品および損耗品に関するトラブル事例

耐用年数6年のクロス

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によると、耐用年数6年の製品および損耗品は、壁紙(クロス)や畳などの通常の生活で損耗しやすい物や家電製品が多いと思われます。

国土交通省が定める耐用年数6年の製品および損耗品
  • 壁紙(クロス)
  • カーペット
  • クッションフロア
  • エアコン
  • ガスコンロ
  • 冷蔵庫
  • インターホン
  • 照明

これらの製品は、一般的に耐用年数が設定されており、経年劣化や損耗に応じて原状回復の必要性が判断されます。

耐用年数は、製品の種類や使用状況によって異なる場合があります。

以下は、国土交通省が定める耐用年数6年の製品および損耗品を扱った事例になります。

原状回復ガイドラインに掲載のトラブル事例一覧

関連記事:自分で耐用年数6年の製品および損耗品の原状回復費用を計算してみる

2.耐用年数8年の製品に関するトラブル事例

耐用年数8年の戸棚

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によると、耐用年数8年の製品は、書棚やタンスなどの木材を使用した家具製品が多いと思われます。

国土交通省が定める耐用年数8年の製品および損耗品
  • 書棚
  • タンス
  • 戸棚
  • 網戸

これらの製品は、一般的に耐用年数が設定されており、経年劣化や損耗に応じて原状回復の必要性が判断されます。

耐用年数は、製品の種類や使用状況によって異なる場合があります。

以下は、国土交通省が定める耐用年数8年の製品を扱った事例になります。

原状回復ガイドラインに掲載のトラブル事例一覧

関連記事:自分で耐用年数8年の製品および損耗品の原状回復費用を計算してみる

3.耐用年数10年の製品に関するトラブル事例

耐用年数10年のシャワー水栓

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によると、耐用年数10年の製品は、水回りの製品が多いと思われます。

国土交通省が定める耐用年数10年の製品および損耗品
  • 洗濯機用防水パン
  • 給湯器
  • シャワー水栓

これらの製品は、一般的に耐用年数が設定されており、経年劣化や損耗に応じて原状回復の必要性が判断されます。

耐用年数は、製品の種類や使用状況によって異なる場合があります。

以下は、国土交通省が定める耐用年数10年の製品を扱った事例になります。

原状回復ガイドラインに掲載のトラブル事例一覧

関連記事:自分で耐用年数10年の製品および損耗品の原状回復費用を計算してみる

4.耐用年数15年の製品に関するトラブル事例

耐用年数15年のトイレ

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によると、耐用年数15年の製品は、ステンレス製が多い流し台や陶器が使用されている便器や洗面台など比較的丈夫な製品が多いと思われます。

国土交通省が定める耐用年数15年の製品および損耗品
  • 郵便ポスト
  • 換気扇
  • 流し台
  • 給排水設備
  • 便器
  • 洗面台

これらの製品は、一般的に耐用年数が設定されており、経年劣化や損耗に応じて原状回復の必要性が判断されます。

耐用年数は、製品の種類や使用状況によって異なる場合があります。

以下は、国土交通省が定める耐用年数15年の製品を扱った事例になります。

原状回復ガイドラインに掲載のトラブル事例一覧

関連記事:自分で耐用年数15年の製品および損耗品の原状回復費用を計算してみる

5.耐用年数が関係しない製品に関するトラブル事例

耐用年数が関係しないフローリング

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によると、耐用年数が関係しない製品は、障子や襖といった紙類、交換がしづらいがダメージの受けやすいフローリングなどが挙げられます。

国土交通省が定める耐用年数が関係しない製品
  • 障子
  • 網戸
  • フローリング
  • ハウスクリーニング

これらの製品は、一般的に耐用年数が設定されており、経年劣化や損耗に応じて原状回復の必要性が判断されます。

耐用年数は、製品の種類や使用状況によって異なる場合があります。

以下は、国土交通省が定める耐用年数が関係しない製品を扱った事例になります。

原状回復ガイドラインに掲載のトラブル事例一覧

これらの製品は、一般的に耐用年数が設定されており、経年劣化や損耗に応じて原状回復の必要性が判断されます。

耐用年数は、製品の種類や使用状況によって異なる場合があります。

以下は、国土交通省が定める耐用年数が関係しない製品を扱った事例になります。

関連記事:自分で耐用年数が関係しない製品の原状回復費用を計算してみる

6.建物の耐用年数が適用される製品に関するトラブル事例

建物の耐用年数が適用される剥き出しになったコンクリート

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によると、建物の耐用年数が適用される製品は、建物と一体化になっており取替えが難しい物が多いと思われます。

国土交通省が定める建物の耐用年数が適用される製品
  • 建具
  • ボード
  • 扉(ドア)
  • 下駄箱
  • 浴槽(バスタブ)

これらの製品は、一般的に耐用年数が設定されており、経年劣化や損耗に応じて原状回復の必要性が判断されます。

耐用年数は、製品の種類や使用状況によって異なる場合があります。

以下は、国土交通省が定める建物の耐用年数が適用される製品を扱った事例になります。

原状回復ガイドラインに掲載のトラブル事例一覧

関連記事:自分で原状回復費用を計算してみるを計算してみる

7.賃貸の原状回復費用に関するトラブル事例のまとめ

原状回復や敷金返還をめぐるトラブルを防ぐためには、賃貸借契約書の内容をしっかりと理解し、特に特約条項や修繕義務、原状回復に関する条件について確認することが重要です。

判例を参考にすると、通常の使用による損耗とそれ以上の損耗の区別や、特約の有効性が争点となることが多く、契約時の説明や合意が重視されています。

退去時には、物件の状態を記録し、写真やビデオで証拠を残すことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

これらのポイントを押さえることで、安心して賃貸生活を送り、スムーズな退去手続きを実現しましょう。

まとめ

清掃が終わり退去する準備が整った部屋の様子

国土交通省の原状回復ガイドラインは、賃貸住宅の退去時における費用負担のルールを明確にした重要な指針です。

このガイドラインによれば、経年劣化や通常の使用による損耗については借主の負担とはならず、借主の故意・過失による損傷のみが借主負担となります。

設備や内装材には耐用年数が設定されており、これを基に減価償却計算が行われます。

例えば、壁紙の耐用年数は6年、フローリングは15年などと定められており、経過年数に応じて借主の負担割合が減少していきます。

耐用年数を超えた設備の修繕費用は、原則として借主負担はゼロです。

退去時には、敷金精算書の内容をしっかりと確認し、不明点があれば説明を求めることが大切です。

また、退去時の立会いや写真による記録は、後のトラブル防止に有効です。

原状回復をめぐるトラブルを防ぐためには、入居前に契約内容をよく確認し、退去時の費用負担について理解しておくことが重要です。

国土交通省のガイドラインは法的拘束力はありませんが、裁判の判断基準として用いられることが多く、自分の権利を守るための強力な味方となります。

賃貸住宅に関するトラブルは、知識があれば多くは防ぐことができます。

このガイドラインの内容を理解し、必要に応じて専門家に相談することで、不当な請求から自分を守り、適正な費用負担で退去手続きを進めることができるでしょう。

参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

もし役に立ったなと思われたらシェア・拡散していただけると助かりますm(__)m

LINEによる無料相談


賃貸・アパートの退去費用の相場が知りたいなら
  • 原状回復に関するご相談
  • 内容証明郵便に関するご相談
  • 裁判外紛争処理制度(ADR)のご相談
当サイトでは、LINE相談を無料で実施しています。敷金返還、修繕費用、退去時の清掃など、賃貸トラブルについてプロのアドバイスをLINEで簡単に受けられます。賃貸人・賃借人どちらの立場からも相談可能です。お気軽にご相談ください。

LINEによる無料相談


賃貸・アパートの退去費用の相場が知りたいなら
  • 原状回復に関するご相談
  • 内容証明郵便に関するご相談
  • 裁判外紛争処理制度(ADR)のご相談
当サイトでは、LINE相談を無料で実施しています。敷金返還、修繕費用、退去時の清掃など、賃貸トラブルについてプロのアドバイスをLINEで簡単に受けられます。賃貸人・賃借人どちらの立場からも相談可能です。お気軽にご相談ください。

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください。

目次