賃貸アパートを退去する際、部屋を入居時と同じ状態に戻す「原状回復」は、賃貸借契約において重要な義務の一つです。しかし、原状回復の範囲や費用負担については、入居者と大家さんの間で認識の違いが生じやすいポイントでもあります。
ここでは、国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に掲載してある事例を分かりやすく整理してお伝えしています。
退去時のトラブルを防ぎ、スムーズな引渡しを実現するための参考としてご活用ください。
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[事例33]賃借人がハウスクリーニング代を負担するとの特約を有効と認めた事例
賃貸借契約終了時にハウスクリーニング代や原状回復費用を巡り、賃借人Xと賃貸人Yが敷金返還を争った事案です。裁判所は、特約に基づくハウスクリーニング代の負担や通常損耗を超える損耗の補修費用について判断し、敷金の一部返還を命じました。 -
[事例34]契約終了時に賃借人自ら補修工事を実施しない時は契約締結時の状態から通常損耗を差し引いた状態まで補修すべき費用相当額を賃貸人に賠償すれば足りるとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して、敷金の返還を求めた事案です。賃借人Xは賃貸借契約終了後に敷金の一部返還を求めましたが、賃貸人Yは原状回復費用を理由に敷金の全額返還を拒否しました。裁判所は、経年劣化を考慮した原状回復費用の範囲を限定し、賃借人Xの請求を一部認容しました。 -
[事例35]賃貸借契約終了時に敷金から控除された原状回復費用について賃借人の返還請求が一 部認められた事例
賃貸借契約終了に伴い、賃借人Xが賃貸人Yに対して敷金の返還を求めた事案です。賃貸人Yは、賃借人Xの責任に帰する原状回復費用を敷金から控除すべきと主張しましたが、裁判所はその一部のみを認め、敷金の一部返還を命じました。 -
[事例36]清掃費用負担特約並びに鍵交換費用負担特約について消費者契約法に違反しないとされた事例
賃貸借契約における特約(清掃費用負担特約及び鍵交換費用負担特約)が消費者契約法に違反するか否かが争われた事例です。裁判所は、特約が明確に合意されており、賃借人にとって一方的に不利益なものではないと判断し、消費者契約法違反を認めませんでした。 -
[事例37]更新料特約は消費者契約法10条並びに民法第1条2項に違反せず有効であるとした上で通常損耗の範囲について判断した事例
賃借人Yが賃貸人Xに対して敷金返還を求めた事例です。裁判所は、賃借人Yが負担すべき原状回復費用の範囲を限定し、通常損耗を超える部分については貸主が負担すべきと判断しました。また、更新料特約の有効性や無催告解除の有効性についても争われました。 -
[事例38]賃借人が敷引特約を認識していても特約の合意が否定された事例
賃借人が敷引特約を認識していたにもかかわらず、裁判所がその特約の成立を否定し、敷金の一部返還を命じた事例です。賃貸人が主張した修繕費用についても、故意・過失による損耗と認められず、敷金の返還が認められました。 -
[事例39]通常の使用によって生じた損耗とは言えないとして未払使用料等含めて保証金の返還金額はないとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して保証金の返還を求めたが、賃借人Xの未納賃料・共益費および建物の損傷に対する賠償金が保証金を上回ったため、裁判所が保証金の返還を認めなかった事例です。裁判所は、賃借人Xの主張する「通常の使用による損耗」を否定し、損傷が通常の範囲を超えると判断しました。 -
[事例40]敷引契約について消費者契約法 10 条に違反しないとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yとの間で締結した定期借家契約において、敷金の償却に関する特約(敷引特約)の有効性及び原状回復費用の負担を巡って争われた事例です。裁判所は、敷引特約が消費者契約法10条に違反しないこと、および賃借人Xが負担すべき原状回復費用の範囲について判断を示しました。 -
[事例41]違約金支払い条項が消費者契約法 10 条に違反するとされた事例
賃貸借契約の中途解約に伴う違約金条項の有効性と、原状回復工事の必要性について判断された事例です。裁判所は、違約金条項を消費者契約法10条違反として無効とし、また通常損耗については賃借人に原状回復義務がないことを明確に示しました。 -
[事例42]通常損耗についての原状回復費用を保証金から定額で控除する方法で賃借人に負担させる特約が有効とされた事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して、賃貸借契約終了時に通常損耗についての原状回復費用を控除された敷金の返還を求めた事案です。裁判所は、賃貸借契約に定められた敷引特約が有効であると判断し、賃借人Xの請求を棄却しました。