敷金返還請求成功例!60万円の返還を受けた実際の事例
賃借人Xと賃貸人Yは家賃と管理費で契約を結びましたが、Xは早期に解約し工事費用と違約金を支払いました。その後、Xは敷金返還や工事費用の償還を求めて訴訟を起こし、裁判所はXの一部主張を認めました。Yも鍵の紛失費用等を請求しましたが、一部のみ認められました。

監修者
サレジオ学院高等学校を昭和57年に卒業後、法曹界への志を抱き、中央大学法学部法律学科へと進学。同大学では法律の専門知識を着実に積み重ね、昭和62年に卒業。
その後、さまざまな社会経験を経て、より専門的な形で法務サービスを提供したいという思いから、平成28年に行政書士試験に挑戦し、合格。この資格取得を機に、平成29年4月、依頼者の皆様に寄り添った丁寧なサービスを提供すべく「綜合法務事務所君悦」を開業いたしました。
長年培った法律の知識と実務経験を活かし、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えできるよう、日々研鑽を重ねております。
日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号
賃貸借契約
平成20年2月22日に、賃借人Xは賃貸人Yと家賃月額23万5000円、管理費・共益費月額1万7000円の賃貸借契約を締結しました。
お互いに契約内容を確認し、敷金として70万5000円を支払いました。
- 契約締結日:平成20年2月22日
- 家賃:月額23万5000円
- 管理費・共益費:月額1万7000円
- 違約金条項:消費者契約法10条に違反として無効と判断
トラブルの発端
同年9月22日、Xは事情により契約を解約することを決意し、Yに解約を申し入れました。
その後、契約は同年11月22日に終了し、Xは物件を明け渡しました。
しかし、明け渡しの際にYの指示で床板塗装やクロスの張替え、ルームクリーニングなどの工事を行い、その費用36万7500円を支払いました。
また、違約金条項に基づき30万4500円も支払いました。
- 床板塗装工事費用:12万0750円
- クロス張替え費用:15万7920円
- ルームクリーニング費用:5万2500円
- その他諸経費:3万6330円
- 総合計:36万7500円
- 賃借人Xの主張:原状回復義務はないが、工事費用の償還を求める(31万5000円)
- 鍵交換費用:2万1000円
裁判および判決
これに対し、XはYに対して敷金の返還、工事費用の償還、違約金の返還を求めて提訴しました。
裁判所は、建物に通常損耗を超える損耗はないと判断し、違約金条項は消費者契約法10条に違反するとして、Xの主張を一部認めました。
一方、Yは鍵の紛失や出動費用についてXに支払いを求めましたが、裁判所は一部のみ認めました。
結果、XはYから計122万4784円と遅延損害金を受け取ることができる判決が下されました。
- 敷金返還請求:敷金70万5000円のうち60万5284円の返還が認められた
- 原状回復費用償還請求:工事代金31万5000円の償還が認められた
- 違約金返還請求:違約金30万4500円の返還が認められた
- 合計請求額:122万4784円と遅延損害金の請求が認められた
- 鍵交換費用:2万1000円(消費税込)が認められた
- 出動費用:2万6250円(消費税込)が認められた
- 鍵の引渡し請求:認められた
- 鍵返還までの損害金請求:失当と判断
まとめ
賃借人Xと賃貸人Yの賃貸借契約では、家賃と管理費が設定され、敷金も支払われましたが、Xは予期せぬ事情により早期に契約を解約しました。
この際、Yの指示で工事を行い、さらに違約金も支払いました。
後にXは敷金返還や工事費用の償還、不当な違約金の返還を求めて裁判を起こし、裁判所は通常損耗を超える損耗がないことや違約金条項の無効性を認め、Xの一部主張を支持しました。
一方でYも鍵の紛失や出動費用についてXに請求しましたが、その請求は一部しか認められませんでした。
裁判の結果、Xは敷金の一部と工事費用、違約金の返還を受け取ることができ、Yは鍵の交換費用などを請求できることとなりました。
この事例から、消費者契約法の保護と賃貸借契約の重要性について再確認することができます。
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