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ペット可物件におけるクリーニング費用負担特約の有効性とその要件

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの冊子

ペット飼育可能な賃貸物件において、退去時のクリーニング費用や消毒費用の負担をめぐるトラブルが増加しています。

ペットを飼育した場合の「臭いの付着」「毛の残存」「衛生上の問題」は、通常の居住使用とは異なる特別な配慮が必要な問題です。

今回ご紹介する東京簡易裁判所平成14年9月27日判決は、ペット飼育に伴う特別なクリーニング費用について、賃借人負担とする特約の有効性を認めた重要な判例です。

この事例では、小型犬のチワワを約3か月間飼育した賃借人に対して、ペット消毒を代替するクリーニング費用の負担が認められました。

本記事では、ペット飼育可物件における原状回復(元の状態に戻すこと)義務の特殊性と、実務上の注意点について詳しく解説いたします。


行政書士 松村 元
監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

概要

本事例は、ペット飼育可能な賃貸物件において、短期間のペット飼育に伴うクリーニング費用の負担を巡る争いです。

平成12年4月に締結された賃貸借契約は、月額賃料13万9000円で約1年8か月間継続し、平成13年12月に終了しました。

マンションの外観
  • 物件
    ペット飼育可能な賃貸住宅
  • 賃借期間
    平成12年4月〜平成13年12月(約1年8か月)
  • 月額賃料
    13万9000円
  • 敷金
    41万7000円
  • ペット飼育状況
    小型犬(チワワ)を約3か月間、ほぼケージ内で飼育

賃借人は居住期間のうち約3か月にわたり、小型犬であるチワワをほとんど飼育用のケージ内で飼育していました。

契約終了後、賃貸人は原状回復費用として、クロス(壁紙)・クッションフロア張替え費用、クリーニング費用等の合計50万745円の支払いを求めました。

これに対して賃借人は、通常損耗(普通に使っていてできる傷み)以上の損害を与えた事実はなく、負担すべき費用はないとして、敷金(入居時に預ける保証金)全額41万7000円の返還を求めて提訴したケースです。

契約内容と特約の詳細

本件賃貸借契約には、ペット飼育に関連する特別な条項が設けられていました。

退去立ち合いを終えて空っぽになった室内の様子
  • 契約書の原状回復特約
    • 室内のリフォーム
    • 壁・付属部品等の汚損・破損の修理、クリーニング、取替え
    • ペット消毒については、賃借人負担でこれらを行うものとする
    • なお、この場合専門業者へ依頼するものとする
  • 賃貸人が請求した原状回復項目
    • クロス、クッションフロア張替え費用
    • クリーニング費用
    • その他修繕費用
    • 請求総額:50万745円

特約の第一項目である「室内のリフォーム」は、大規模な修繕を想定した包括的な条項でした。

第二項目の「壁・付属部品等の汚損・破損の修理、クリーニング、取替え」は、一般的な原状回復義務を定めたものです。

最も重要な第三項目「ペット消毒については、賃借人負担」という条項は、ペット飼育可物件特有の特約として設けられていました。

この特約により、ペット飼育に伴う特別な衛生対策費用を専門業者に依頼して実施し、その費用を賃借人が負担することが明確に定められていました。

賃貸人・賃借人の主張のポイント

賃貸人側は、ペット飼育特約を根拠として、包括的な原状回復費用の支払いを求めました。

争点賃貸人側の主張賃借人側の主張
ペット消毒費用契約書の特約に基づき、ペット飼育に伴う消毒費用は賃借人負担短期間のケージ内飼育であり、特別な消毒は不要
クロス張替えペット飼育により張替えが必要になった通常損耗の範囲内であり、賃借人負担ではない
クリーニング費用ペット消毒を代替する専門クリーニングが必要通常のクリーニングで十分
全体的な損耗ペット飼育により通常を超える汚損が発生通常損耗以上の損害を与えた事実はない

賃貸人は、ペット飼育可物件であっても、実際にペットを飼育した場合には特別な原状回復義務が発生すると主張しました。

特に、臭いの付着や毛の残存、衛生上の問題から、専門業者による消毒やクリーニングが必要であり、これらの費用は契約書の特約により明確に賃借人負担と定められていると主張しました。

一方、賃借人側は、小型犬を短期間、しかもケージ内での飼育であったため、特別な損耗や汚損は発生していないと反論しました。

通常の居住使用による損耗の範囲を超えるものではなく、高額な原状回復費用を負担する義務はないとして、敷金の全額返還を求めました。

裁判所の判断と法的根拠

裁判所は、ペット飼育の特殊性を考慮した明確な判断基準を示しました。

判断項目裁判所の認定結論
室内リフォーム費用大規模な修繕費用を何の規定もなく賃借人負担とする合意は、借地借家法の趣旨等に照らして無効賃借人の負担義務なし
一般的な原状回復壁・付属部品等の汚損・破損の修理等は、通常の原状回復の定めに過ぎない故意・過失による損耗のみ賃借人負担
ペット消毒特約ペット飼育には臭いの付着や毛の残存、衛生の問題等があるので、消毒費用について賃借人負担とすることは合理的であり有効クリーニング費用5万円は賃借人負担

まず、原状回復義務の一般原則について、「通常の建物の賃貸借において、賃借人が負担する『原状回復』の合意とは、賃借人の故意、過失による建物の毀損や通常の使用を超える使用方法による損耗等について、その回復を約定したものである」と確認しました。

その上で、「修繕義務に関する民法の原則は任意規定であるから、これと異なる当事者間の合意も、借地借家法の趣旨等に照らして賃借人に不利益な内容でない限り、許されるものと解される」との重要な法理を示しました。

ペット消毒特約については、「ペットを飼育した場合には、臭いの付着や毛の残存、衛生の問題等があるので、その消毒の費用について賃借人負担とすることは合理的であり、有効な特約と解される」と判断し、実質的にペット消毒を代替するクリーニング費用5万円の賃借人負担を認めました。

最終的に、クッションフロアのタバコ焦げ跡補修費用と合わせて、賃借人負担は合計5万9640円とされました。

判例から学ぶポイント

この判例は、ペット飼育可物件における原状回復義務の特殊性を明確にした重要な先例となりました。

六法全書を開いて調べている様子

ペット飼育特約の有効性に関する重要な原則

  • 合理性の判断基準
    ペット飼育に特有の問題(臭い、毛、衛生面)に対する対策費用は合理的
  • 特約の限定的解釈
    大規模修繕費用の包括的負担は借地借家法の趣旨に反し無効
  • 代替的措置の容認
    消毒の代わりに専門クリーニングを実施することも有効

最も重要な教訓は、ペット飼育可物件であっても、実際の飼育に伴う特別な費用負担は合理的な範囲で有効とされるという点です。

ただし、その前提として特約が契約書に明記され、借地借家法の趣旨に反しない合理的な内容であることが必要です。

賃貸借契約書が入ったクリアファイル

実務への重要な影響

  • ペット可物件でも消毒・クリーニング費用の特約は有効
  • 飼育期間や規模に関わらず、特約があれば費用負担義務が発生
  • 消毒とクリーニングは実質的に同等の措置として扱われる

実務的には、ペット飼育の実態(室内飼い、ケージ飼い、飼育期間の長短)に関わらず、契約書に明記されたペット関連費用の負担義務は履行する必要があることが確認されました。

また、消毒作業の代替として専門業者によるクリーニングを実施することも、同等の衛生対策として有効であることが示されています。

賃貸借契約における実践的対策

ペット飼育可能物件の賃貸借契約書では、ペット関連費用の詳細な規定を確認することが重要です。

賃貸借契約書にサインをさせられる賃借人の様子

契約締結時の注意点

  • ペット消毒・クリーニング費用の具体的金額を事前確認
  • 対象となるペットの種類・サイズ・飼育方法による費用差の有無
  • 専門業者指定の有無と業者選択の自由度

ペット飼育を予定している借主の皆様にアドバイスしたいのは、まず「ペット飼育可」と「ペット関連費用免除」は別問題であることを理解することです。

契約書のペット条項では、消毒費用、クリーニング費用、修繕費用の区分と具体的金額が明記されているかを必ず確認してください。

「ペット飼育により生じる一切の費用」のような包括的表現は避け、「消毒作業:○万円」「専門クリーニング:○万円」のように具体的な費用負担が明記された契約を選ぶことをお勧めします。

また、実際にペットを飼育しない場合の費用負担義務についても事前に確認し、飼育実態に応じた公正な負担となるよう契約条項の明確化を求めることが大切です。

ペット飼育可物件では通常の賃貸借契約以上に詳細な条項確認が必要であり、不明な点は署名前に必ず質問することをお勧めします。

まとめ

東京簡易裁判所の本判決は、ペット飼育可物件における原状回復義務の特殊性を明確にした重要な判例です。

「ペット飼育には臭いの付着や毛の残存、衛生の問題等があるので、その消毒の費用について賃借人負担とすることは合理的」との判断は、ペット可物件の契約実務に大きな影響を与えています。

この判例により、合理的な範囲でのペット関連費用負担特約は有効とされることが確立され、ペット飼育者の責任範囲が明確になりました。

実務においては、契約条項の具体性と合理性の確保により、ペット飼育に関するトラブルの予防が可能となります。

ペット飼育可物件の増加に伴い、公正で明確なペット関連条項の設定が、健全な賃貸住宅市場の発展とペット共生社会の実現に不可欠です。

重要なポイント
  • ペット飼育に伴う消毒・クリーニング費用の賃借人負担特約は合理的で有効
  • 臭いの付着、毛の残存、衛生問題等はペット飼育特有の問題として認識される
  • 飼育期間や方法(ケージ内等)に関わらず、特約があれば費用負担義務が発生
  • 大規模修繕費用の包括的負担は借地借家法の趣旨に反し無効となる
  • ペット可物件では契約書のペット関連条項の詳細確認が不可欠

参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)【判例18】

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1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

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