
退去費用の相場を間取り別と項目別に解説する目安金額と高額請求への対処法
「退去費用って結局いくらかかるの」と不安に感じていませんか。
結論から言うと、退去費用の相場はワンルームで3万〜5万円、2LDKで6万〜12万円が目安です。
ただし、入居年数や部屋の損耗状態によって金額は大きく変わり、ハウスクリーニング代・クロスの張替え・フローリングの補修など、項目ごとに費用の内訳を理解していないと、相場を大幅に超える高額請求を受けても気づけません。
この記事では、退去費用の相場を間取り別・入居年数別・項目別にテーブルで整理し、費用の内訳から高額請求された場合の具体的な対処法まで解説します。
なお、退去費用の精算書の見方や減価償却の仕組みについては「退去費用の減価償却の仕組み」で詳しく解説しています。

監修者
1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。
日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号
退去費用の相場を間取り別と入居年数別に解説する

- 退去費用の相場は間取りによって大きく異なる
- 入居年数が長いほど借主の負担割合は減少する
- 敷金の有無で退去時の精算方法が変わる

退去費用がいくらになるか見当がつかないまま退去日を迎えてしまうと、精算書の金額に驚くことになりかねません。
まずは間取り・入居年数・敷金の有無という3つの視点から、退去費用の相場感を把握しておきましょう。
退去費用の相場は間取りによって大きく異なる
まず、退去費用の相場は部屋の広さ、つまり間取りによって大きく変わります。
部屋が広くなるほどクロスの面積やフローリングの面積が増え、ハウスクリーニングの作業範囲も広がるため、間取りが大きいほど退去費用は高額になります。
| 間取り | 退去費用の相場 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| ワンルーム・1K | 30,000円〜50,000円 | ハウスクリーニング+クロス部分補修 |
| 1DK・1LDK | 40,000円〜80,000円 | ハウスクリーニング+クロス張替え |
| 2DK・2LDK | 60,000円〜120,000円 | ハウスクリーニング+クロス+フローリング補修 |
| 3DK・3LDK | 80,000円〜150,000円 | ハウスクリーニング+クロス+設備修繕 |
| 4LDK以上 | 100,000円〜200,000円 | ハウスクリーニング+クロス+複数箇所の補修 |
上記はあくまで通常損耗と経年劣化を除いた借主負担分の目安です。
ペットの飼育や喫煙による汚損がある場合は、この相場を大きく超えることもあります。
まずはご自身の間取りに該当する相場を把握し、精算書の金額と比較してみてください。
民法第621条:賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に回復する義務を負う。
入居年数が長いほど借主の負担割合は減少する


次に、退去費用の金額を左右する大きな要素が入居年数です。
国土交通省のガイドラインでは、クロスやカーペットなどの耐用年数を6年と定めており、入居年数に応じて残存価値が減少し借主負担も軽減される仕組みになっています。
| 入居年数 | クロスの残存価値 | 6畳クロス張替え時の借主負担目安 |
|---|---|---|
| 1年 | 約83% | 約33,000円〜50,000円 |
| 2年 | 約67% | 約27,000円〜40,000円 |
| 3年 | 約50% | 約20,000円〜30,000円 |
| 4年 | 約33% | 約13,000円〜20,000円 |
| 5年 | 約17% | 約7,000円〜10,000円 |
| 6年以上 | 1円 | ほぼ0円(残存価値1円) |
つまり、6年以上住んだ物件ではクロスの張替え費用は実質ゼロに近くなります。
ただし、借主の故意・過失による損傷が著しい場合は、耐用年数に関係なく全額負担を求められることもあるため注意が必要です。
入居年数と耐用年数の関係を知っておくと、精算書の金額が適正かどうかを判断できます。
民法第400条:債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
敷金の有無で退去時の精算方法が変わる


さらに、退去費用の精算方法は敷金を預けているかどうかで大きく異なります。
敷金を預けている場合は、原状回復費用が敷金から差し引かれ、残額が返還されます。
一方、敷金なし契約の場合は退去費用の全額を実費で支払う必要があり、まとまった出費になりやすいのが特徴です。
敷金の返還に関するルールは民法第622条の2に明記されており、貸主は賃貸借の終了後に原状回復費用を差し引いた残額を返還する義務があります。
敷金なし契約の場合は退去費用が全額請求されるため、相場を事前に把握しておくことが大切です。
民法第622条の2:賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。)を受け取っている場合において、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
退去費用の精算書が届いたら、まずこの記事の相場表と照合して金額が適正かどうかを確認してみてください。
退去費用の内訳と項目別の費用相場を確認する


- ハウスクリーニング費用の相場と特約の注意点
- クロスの張替え費用は面積と入居年数で決まる
- フローリングの補修費用は損傷の程度で大きく変わる
- 設備機器の修繕費用は耐用年数15年で計算する


精算書に記載される退去費用は、複数の項目が合算された金額です。
項目ごとの相場を知っておけば、どの費用が適正でどの費用が割高なのかをご自身で判断できるようになります。
ハウスクリーニング費用の相場と特約の注意点


まず、退去費用のなかで最も多くの方が負担するのがハウスクリーニング費用です。
国土交通省のガイドラインでは、通常の清掃を行っていればハウスクリーニング代は貸主負担が原則とされています。
| 間取り | ハウスクリーニング費用の相場 |
|---|---|
| ワンルーム・1K | 25,000円〜35,000円 |
| 1DK・1LDK | 30,000円〜45,000円 |
| 2DK・2LDK | 40,000円〜70,000円 |
| 3DK・3LDK | 55,000円〜85,000円 |
| 4LDK以上 | 70,000円〜100,000円 |
ただし、契約書にハウスクリーニング費用を借主負担とする特約がある場合は、その特約が有効とされるケースが大半です。
特約の有効性については「原状回復ガイドラインの解説」で詳しく説明していますので参考にしてください。
契約書の特約を確認し、ハウスクリーニング費用の負担先がどちらになっているかを把握しておきましょう。
民法第601条:賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
クロスの張替え費用は面積と入居年数で決まる


次に、退去費用の内訳として頻出するのがクロス(壁紙)の張替え費用です。
クロスの張替え単価は1平方メートルあたり800円〜1,500円が相場で、6畳の全面張替えで4万〜6万円程度が目安になります。
ガイドラインではクロスの耐用年数は6年と定められているため、入居年数が長いほど借主の負担割合は下がります。
経年劣化と通常損耗の違いについては「経年劣化と通常損耗の違い」で詳しく解説しています。
クロスの張替え費用が請求された場合は、入居年数に応じた減価償却が適用されているかを必ず確認してください。
民法第415条第1項:債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
フローリングの補修費用は損傷の程度で大きく変わる


加えて、フローリングの補修・張替えも退去費用を押し上げる大きな要因です。
フローリングの部分補修は1箇所あたり1万〜3万円が相場ですが、全面張替えになると6畳で8万〜15万円程度の費用がかかります。
| 修繕内容 | 費用相場 | 経過年数の考慮 |
|---|---|---|
| 部分補修(1箇所) | 10,000円〜30,000円 | 考慮しない(借主負担) |
| 全面張替え(6畳) | 80,000円〜150,000円 | 建物の耐用年数で減価 |
| 全面張替え(8畳) | 100,000円〜180,000円 | 建物の耐用年数で減価 |
ガイドラインでは、フローリングの部分補修は経過年数を考慮しないとされている一方、全面張替えの場合は建物の耐用年数(木造22年・RC造47年)で減価償却されます。
フローリングの傷が部分補修で済むのか全面張替えが必要なのかで、退去費用は数万円から十数万円の差が出ます。
フローリングの全面張替えが請求されている場合は、部分補修で対応できないか管理会社に確認してみてください。
民法第608条第1項:賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
設備機器の修繕費用は耐用年数15年で計算する
そのうえで、エアコン・給湯器・便器・洗面台などの設備機器の修繕・交換費用も退去費用に含まれることがあります。
- エアコン修理:15,000円〜40,000円(耐用年数6年)
- 給湯器交換:80,000円〜150,000円(耐用年数15年)
- 便器交換:30,000円〜80,000円(耐用年数15年)
- 洗面台交換:40,000円〜100,000円(耐用年数15年)


設備機器の耐用年数は15年と定められているため、入居から10年以上経過している場合は残存価値が大幅に下がった状態での負担となります。
例えば、入居12年の物件で便器の交換費用50,000円が請求された場合、残存価値は約20%となり、借主の適正負担額は約10,000円です。
設備の修繕費用が請求された場合は、入居年数に応じた減価償却が反映されているかを確認しましょう。
設備機器の耐用年数はクロスよりも長い15年ですので、減価償却のルールを知っておくと退去費用の減額につながります。
民法第1条第2項:権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
退去費用が高額になりやすいケースと原因を知る


- 喫煙やペット飼育は退去費用が跳ね上がる原因になる
- 経年劣化の減価償却が適用されていない請求がある
- 特約の内容が不当に借主に不利なケースがある


退去費用が相場を大きく超える場合、その原因には一定のパターンがあります。
高額請求の原因を知っておけば、退去前に対策を打つことも可能です。
喫煙やペット飼育は退去費用が跳ね上がる原因になる


まず、退去費用が相場を大幅に超える典型的な原因が、室内での喫煙とペットの飼育です。
喫煙によるヤニ汚れはクロスの全面張替えが必要になることが多く、ワンルームでもクロス張替えだけで5万〜10万円の費用がかかるケースがあります。
ペットによる引っ掻き傷や臭いの染みつきも、通常損耗とは認められず借主負担となります。
喫煙やペット飼育による損耗は善管注意義務違反に該当し、経年劣化による減価償却が適用されない場合もあるため注意が必要です。
喫煙やペット飼育をしていた場合は、通常の相場よりも高額になることを想定しておきましょう。
民法第90条:公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
経年劣化の減価償却が適用されていない請求がある


次に、退去費用が高額になる原因として多いのが、経年劣化の減価償却が正しく適用されていないケースです。
例えば、入居6年以上の物件でクロスの張替え費用60,000円が減額なしで請求された場合、ガイドラインに基づけば残存価値1円で借主負担はほぼゼロが適正です。
減価償却が適用されていない請求を受けた場合は、「ガイドラインの負担割合表」を根拠に管理会社へ説明を求めましょう。
減価償却を無視した全額請求は、民法第703条の不当利得に該当する可能性もあります。
精算書に減価償却が反映されているかどうかは、入居年数と耐用年数を照らし合わせれば判断できます。
民法第703条:法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
特約の内容が不当に借主に不利なケースがある


さらに、契約書に記載された特約の内容が退去費用を押し上げているケースも少なくありません。
ガイドラインでは、特約が有効となるためには借主が特約の内容を十分に理解し、通常の原状回復義務を超える負担の認識があったことが必要とされています。
借主に一方的に不利な特約は、消費者契約法第10条により無効とされる場合があります。
特約の有効性については「退去費用に納得いかない場合の交渉方法」で具体的な対処法を解説しています。
契約時に特約の説明を十分に受けていなかった場合は、その特約の有効性を争える可能性があります。
民法第95条第1項:意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
退去費用が相場より高い場合の対処法を実践する


- 精算書の各項目をガイドラインの相場と照合する
- 書面で減額交渉を行い記録を残す
- 交渉が難航したら第三者機関や専門家に相談する


退去費用が相場よりも明らかに高い場合、泣き寝入りする必要はありません。
ガイドラインを根拠にした交渉で、適正額まで減額できるケースは少なくありません。
精算書の各項目をガイドラインの相場と照合する


まず、精算書が届いたら各項目の金額をこの記事の相場表やガイドラインの基準と照合してください。
特に確認すべきポイントは、減価償却の適用と修繕範囲の妥当性の2点です。
クロスの張替え費用であれば入居年数に応じた減価償却が反映されているか、フローリングの補修であれば部分補修で済む箇所が全面張替えになっていないかを確認しましょう。
精算書の内容に疑問がある場合は、管理会社に対して各項目の内訳と根拠を書面で求めることが第一歩です。
精算書は届いてから1〜2週間以内に内容を確認し、疑問点は早めに管理会社へ問い合わせましょう。
民法第533条:双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
書面で減額交渉を行い記録を残す


次に、精算書の金額が相場と合わない場合は、電話ではなく書面(メールや内容証明郵便)で減額交渉を行いましょう。
書面でのやり取りは交渉の記録が残るため、後日のトラブル防止に有効な手段です。
減額交渉の際には、ガイドラインの該当箇所や入居年数に基づく減価償却の計算を具体的に示すと説得力が増します。
交渉の具体的な進め方については「退去費用に納得いかない場合の交渉方法」で手順を解説しています。
書面での交渉は感情的にならず、事実と根拠に基づいた主張ができるためお勧めです。
民法第99条第1項:代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
交渉が難航したら第三者機関や専門家に相談する


さらに、管理会社との交渉が平行線になった場合は、第三者機関や専門家の力を借りることを検討してください。
国民生活センターや住宅紛争審査会などの公的機関では、退去費用に関する無料の相談窓口やADR制度を利用できます。
少額訴訟(60万円以下の請求)であれば、弁護士なしでも1日で判決が出るため、費用対効果の高い解決手段といえます。
退去費用の問題は一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けることで解決の糸口が見つかるケースが多くあります。
公的機関の相談窓口は無料で利用できますので、まずは電話やメールで相談してみてください。
民法第1条第3項:権利の濫用は、これを許さない。
退去費用の金額に疑問がある場合は、ガイドラインの相場を根拠に管理会社へ書面で問い合わせてみましょう。
退去費用の相場に関するよくある質問
まとめ
- 退去費用の相場はワンルームで3万〜5万円、2LDKで6万〜12万円が目安
- 入居6年以上ならクロスの残存価値は1円で借主負担はほぼゼロになる
- ハウスクリーニング・クロス・フローリングの項目別相場を把握して精算書と照合する
- 喫煙やペット飼育がある場合は相場を大幅に超える費用を想定しておく
- 高額請求にはガイドラインを根拠に書面で減額交渉を行うことが有効
退去費用の相場を事前に把握しておくことで、精算書の金額が適正かどうかをご自身で判断できるようになります。
この記事で紹介した間取り別・項目別の相場表を参考に、管理会社から届く精算書の内容を一つひとつ確認してみてください。
もし金額に疑問がある場合は、ガイドラインの基準を根拠に書面で問い合わせることが、適正な退去費用を実現する第一歩です。
- 敷金ドットコムは、情報提供を目的としたサイトです。行政書士が記事の監修および執筆を行っておりますが、根本的な問題やトラブルの解決を目的としたものではありません。トラブルの解決については、弁護士または認定司法書士にご相談ください。










