高額な退去費用に交渉の余地はありますか?原状回復のガイドラインを用いて解説

- 退去時に思わぬ高額請求で驚いた
- 原状回復費用が家賃の数ヶ月分にもなったけど、これって普通なの?
- 敷金がまったく戻ってこなかった…
賃貸住宅を退去する際、多くの方がこうした不安や疑問を抱えています。
特に初めての引越しでは、どこまでが正当な請求で、どこからが過剰な請求なのか判断が難しいものです。
この記事では、退去時の原状回復費用について、交渉の余地や正当な費用分担の目安を解説します。
あなたの権利を知り、不当な請求から身を守るための知識を身につけましょう。
原状回復の基本

原状回復とは、借主が住んでいた部屋を退去する際に、借主の責任で生じた損耗・毀損を復旧することを指します。
ここで重要なのは「通常の使用による損耗」と「借主の責任による損耗」を区別することです。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、経年劣化や通常の使用による損耗は貸主負担とされています。
例えば、日照による壁紙の変色や、家具の設置による床のへこみなどは、通常の使用による損耗として貸主が負担すべきものです。
一方、タバコのヤニによる壁紙の変色や、ペットによる傷などは借主負担となります。
交渉のポイント
高額な退去費用を請求された場合、以下のポイントを確認し、必要に応じて交渉しましょう。
- 見積書の詳細確認
- 工事内容や単価が明確に記載されているか
- 「一式」という曖昧な表記になっていないか
- 経年劣化の考慮
- 壁紙や設備の使用年数に応じた減価償却が反映されているか
- 例:壁紙の耐用年数は6年とされ、4年使用後の張替えなら借主負担は3分の1程度
- ガイドラインの活用
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参照
- 借主・貸主の負担区分が明確に示されている
- 立会い時の記録
- 退去時の立会い検査では写真を撮り、指摘事項をメモする
- 後から「あった」「なかった」のトラブルを防止できる
なお、請求金額が敷金を超える場合や、明らかに過剰な請求と思われる場合は、消費生活センターや法律相談などの専門機関に相談することも検討しましょう。
関連記事:賃貸の退去費用に対するガイドライン【原状回復ガイドラインのまとめ】
まとめ
退去費用の交渉は、感情的にならず、法的根拠を示しながら進めることが重要です。
まずは国土交通省のガイドラインを参照しつつ、丁寧に説明を求めましょう。
特に「クリーニング一律請求」や「設備の経年劣化を考慮しない全額請求」などは交渉の余地があります。
その際、契約書や重要事項説明書、入居時の状態を記録した写真などが有力な証拠となります。
また、交渉は書面やメールで行い、記録を残すことも大切です。
それでも合意に至らない場合は、少額訴訟や調停などの法的手段も視野に入れることで、不当な請求から自身を守ることができます。
賃貸トラブルは決して珍しいものではなく、適切な知識と冷静な対応で解決できることを覚えておきましょう。
