【賃貸借契約に必要な書類と手続き】流れと注意点をわかりやすく解説

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賃貸借契約を結ぶ際には、入居申し込みから契約までの各段階で必要な書類・費用・準備が求められます。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に基づき、賃貸契約時の適切な手続きを理解することで、将来のトラブルを防止できるでしょう。
特に、契約書や重要事項説明書の事前確認は、入居後の問題を避けるために欠かせません。
まず入居申し込み時には、身分証明書、収入証明書、連帯保証人情報などの基本的な書類が必要になります。
契約時には住民票や印鑑証明書など、より詳細な書類の準備が求められるでしょう。
また、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保険料などの費用も含めると、合計で数十万円に及ぶケースも珍しくありません。

監修者
1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。
日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号
賃貸借契約の必要書類とは
賃貸借契約では、入居申し込み段階と正式契約段階で異なる書類が必要となります。
国土交通省のガイドラインでは、契約時の書面による説明義務が定められており、賃貸人と賃借人双方の権利と義務を明確にすることが重要視されています。
入居申し込み時の必要書類
入居申し込み時には、基本的な身元確認と支払い能力の証明が求められます。

- 入居申込書(氏名・住所・職業・年収等の記載)
- 身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
- 収入証明書(源泉徴収票・給与明細・確定申告書など)
- 連帯保証人の情報(印鑑証明書・収入証明書など)
- 印鑑(認印または実印)
会社員の場合は源泉徴収票が一般的ですが、自営業者は確定申告書の控えが必要になります。
申込金を支払う際は、必ず「預かり証」の発行を求めて、後のトラブルを防ぎましょう。
契約時の追加必要書類
正式契約時には、より詳細な書類の提出が求められるようになります。

- 住民票(発行後3か月以内・マイナンバー記載なし)
- 印鑑証明書(実印登録している場合)
- 銀行印・通帳(家賃引き落とし手続き用)
- 連帯保証人関連書類(印鑑証明書・住民票など)
- 火災保険・借家人賠償特約の加入証明書
住民票は世帯構成に応じて「世帯全部」または「個人」のものを選択し、マイナンバーの記載がないものを用意してください。

書類の準備は契約をスムーズに進めるための第一歩です。保証会社を利用する場合でも、基本的な書類は変わりませんので、早めの準備をおすすめします。
賃貸借契約にかかる費用
賃貸借契約では、初期費用として複数の項目が発生するため、事前の資金計画が重要になります。
国土交通省のガイドラインでは、敷金の性質と返還について明確な基準が示されており、原状回復費用と敷金の関係を理解することが大切です。
初期費用の内訳と相場
賃貸契約時の初期費用は、一般的に家賃の4〜6か月分程度が目安となるでしょう。


- 敷金(家賃の1〜2か月分・退去時の原状回復費用充当)
- 礼金(家賃の1〜2か月分・返還されない費用)
- 仲介手数料(家賃の1か月分+消費税が上限)
- 前家賃(入居月と翌月分の家賃)
- 火災保険料(年額1〜2万円程度)
- 保証料(家賃の0.5〜1か月分・保証会社利用時)
敷金は退去時の原状回復費用に充当される預り金であり、適切な使用であれば返還される性質があります。
一方、礼金は返還されない費用のため、契約前に金額を十分確認することが大切でしょう。
保険加入の義務と注意点
賃貸契約では、火災保険への加入が義務付けられているケースがほとんどです。
特に借家人賠償特約付きの損害保険は、賃借人の過失による建物への損害をカバーするため必要不可欠といえるでしょう。
保険会社は自由に選択できる場合もあるため、条件を比較検討することをおすすめします。



初期費用は高額になりがちですが、各項目の性質を理解することが大切です。不明な費用項目があれば、必ず契約前に詳細を確認し、書面で記録を残しましょう。
契約前の重要な確認事項
賃貸借契約を結ぶ前には、契約書と重要事項説明書の内容を十分に確認することが欠かせません。
国土交通省のガイドラインでは、契約条件の明確化と書面による説明が重視されており、後のトラブル防止のためにも事前確認が重要とされています。
重要事項説明書の確認ポイント
重要事項説明は、宅地建物取引士が書面を用いて行う法定の手続きになります。


- 物件の基本情報(所在地・構造・築年数・設備等)
- 契約条件(賃料・敷金・契約期間・更新条件等)
- 原状回復に関する特約事項
- 禁止事項・制限事項(ペット飼育・楽器演奏等)
- 管理会社・緊急連絡先の情報
特に原状回復に関する特約事項は、退去時の費用負担に直結するため慎重に確認しましょう。
国土交通省のガイドラインに沿わない過度な負担を求める特約がないか、注意深くチェックすることが大切です。
契約書の詳細確認事項
賃貸借契約書は、入居期間中の権利と義務を定める重要な文書といえるでしょう。
契約期間、更新条件、解約予告期間、原状回復の範囲などを詳細に確認してください。
また、賃料発生日と引越し日の調整も重要で、無駄な家賃支払いを避けるための計画が必要になります。



重要事項説明書と契約書の確認は、後のトラブル防止において最も重要な手続きです。特に原状回復に関する特約事項は退去時の費用負担に直結するため、国土交通省のガイドラインに沿った内容かどうか慎重に検討してください。
現住居の解約手続きの流れと注意点
新居の契約と並行して、現在の住居の解約手続きも適切に進める必要があります。
国土交通省のガイドラインに基づく原状回復の理解は、退去時のトラブル防止と適切な敷金返還のために重要な要素となります。
解約予告と退去日の調整
賃貸住宅の解約では、一般的に1〜2か月前の予告が必要とされているでしょう。
新居の入居日と現住居の退去日を調整し、家賃の二重払いを最小限に抑える計画を立てることが大切です。
引越し業者の予約も早めに取り、スムーズな移転を実現しましょう。
原状回復と敷金返還の準備
退去時の原状回復については、国土交通省のガイドラインが重要な基準となります。
通常の生活による自然な損耗は賃借人の負担とならないため、過度な費用請求には注意が必要でしょう。
退去前の清掃や簡単な補修を行い、敷金の適切な返還を受けられるよう準備することをおすすめします。



解約手続きは新居契約と並行して進める必要があるため、計画的な進行が重要です。原状回復については、国土交通省のガイドラインが明確な基準を示していますので、適切な知識を身につけて過度な費用請求には毅然とした対応を取りましょう。
賃貸借契約でトラブルを避けるためのポイント
賃貸借契約では、事前の準備と正確な理解により多くのトラブルを防ぐことができます。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を活用することで、適切な契約関係を築くことが可能になるでしょう。
書面での記録と保管
賃貸契約に関するすべての書面は、契約期間中適切に保管することが重要です。
特に入居時の物件状況を写真で記録し、退去時との比較ができるよう準備しておきましょう。
管理会社との連絡も書面やメールで行い、証拠として残すことをおすすめします。
専門家への相談体制
複雑な契約条件や法的問題が発生した場合は、専門家への相談が有効でしょう。
行政書士は契約書の作成や確認を、司法書士や弁護士は法的トラブルの解決を専門としています。
早期の相談により、問題の拡大を防ぎ、適切な解決策を見つけることができるはずです。



トラブル防止の鍵は、事前の十分な確認と適切な記録の保管にあります。すべての書面を保管し、物件の状況は写真で記録するようにしましょう。
まとめ
賃貸借契約に必要な書類と手続きについて、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に基づき詳しく解説いたしました。
入居申し込みから契約、そして現住居の解約まで、各段階で適切な準備と確認を行うことがトラブル防止の鍵となるでしょう。
特に重要事項説明書と契約書の内容確認、原状回復に関する正しい理解、初期費用の詳細把握は欠かせません。
法的な問題や複雑な手続きが発生した場合は、認定司法書士や弁護士への相談をおすすめします。
適切な知識と準備により、安心して新しい住まいでの生活をスタートできることでしょう。
- 入居申し込み時には身分証明書・収入証明書・連帯保証人情報が必要
- 契約時には住民票・印鑑証明書・銀行印などの追加書類が求められる
- 初期費用は家賃の4〜6か月分程度で敷金・礼金・仲介手数料等が含まれる
- 重要事項説明書と契約書の事前確認が後のトラブル防止に重要
- 国土交通省ガイドラインに基づく原状回復の理解が敷金返還に役立つ

