タバコのヤニが主たる原因でクロスの張替えが必要と判断された判例
神戸地方裁判所尼崎支部は、特別損耗の修繕費用において、減価分を考慮して算定する必要があると判断し、敷金残金25万3298円の返還を認めました。
この記事を書いた人
敷金ドットコムは、退去費用のトラブルを街の法律家に無料で相談できるサイトです。
このサイトは、国土交通省のガイドラインに沿って、賃貸人や賃借人、媒介業者、管理業者など、賃貸借契約の当事者の方々に積極的に活用され、トラブルの未然防止や円滑な解決に役立つことを期待して運営しています。
目次
事案の概要
本件では、賃借人Xと賃貸人Yの間で賃貸借契約が締結され、賃借人が敷金31万1000円を交付しました。
賃借契約終了後、賃貸人は特別損耗の修繕費用として28万3368円を敷金から控除し、残額の返還を行いました。
しかし、賃借人は特別損耗に対する補修費用の減価分を考慮すべきだと主張し、その返還を求めて訴訟を提起しました。
スクロールできます
敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金31万1000円 | 返還請求28万3368円のうち、25万3298円 | クロスの全面張替え(減価割合 90%) 床の削れ補修 |
判決の要旨
- 賃借人は、通常損耗について原状回復義務を負う特約がない限り、特別損耗にのみ原状回復義務を負うと解されます。
- 賃借物件の特別損耗の補修費用において、補修方法が通常損耗の回復を含む場合、減価分を考慮して特別損耗の補修費用を算定する必要があります。
- 本件のクロスの変色については、タバコのヤニの付着が主たる原因であり、クロスの洗浄では除去できない特別損耗とされました。したがって、賃借人は補修費用としてクロスの張替え費用から、クロスの通常損耗による減価分を控除した残額の負担が求められます。
- 床の削れについては特別損耗と認められ、賃借人による毀損部分の補修は全額賃借人の負担とされました。
- 本件賃貸借契約上、本件住宅内での喫煙は禁止されておらず、喫煙自体は善管注意義務違反ではありません。ただし、タバコのヤニの付着については管理について善管注意義務違反が認められる余地がありますが、賃借人の負担すべき補修費用として考慮されます。
- 上記の理由から、神戸地方裁判所は敷金残金25万3298円の返還を認める判決を下しました。
タバコのヤニが主たる原因でクロスの張替えが必要と判断された判例のまとめ
本件では特別損耗の修繕費用において、減価分を考慮して算定する必要があります。
クロスの変色による補修費用は減価分を控除した残額を負担し、床の削れについては全額賃借人の負担となります。
賃貸契約上の喫煙については善管注意義務違反とはされませんが、タバコのヤニによる特別損耗の補修費用は賃借人の負担とされます。
スクロールできます
敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金31万1000円 | 返還請求28万3368円のうち、25万3298円 | クロスの全面張替え(減価割合 90%) 床の削れ補修 |
※この回答は、特定の法的助言を提供するものではありません。法的問題に直面している場合は、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
コメントから相談する