- 退去時に思わぬ高額請求で驚いた
- 原状回復費用が家賃の数ヶ月分にもなったけど、これって普通なの?
- 敷金がまったく戻ってこなかった…
賃貸住宅を退去する際、多くの方がこうした不安や疑問を抱えています。
特に初めての引越しでは、どこまでが正当な請求で、どこからが過剰な請求なのか判断が難しいものです。
この記事では、退去時の原状回復費用について、交渉の余地や正当な費用分担の目安を解説します。
あなたの権利を知り、不当な請求から身を守るための知識を身につけましょう。
行政書士 松村 元
監修者
サレジオ学院高等学校を昭和57年に卒業後、法曹界への志を抱き、中央大学法学部法律学科へと進学。同大学では法律の専門知識を着実に積み重ね、昭和62年に卒業。
その後、さまざまな社会経験を経て、より専門的な形で法務サービスを提供したいという思いから、平成28年に行政書士試験に挑戦し、合格。この資格取得を機に、平成29年4月、依頼者の皆様に寄り添った丁寧なサービスを提供すべく「綜合法務事務所君悦」を開業いたしました。
長年培った法律の知識と実務経験を活かし、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えできるよう、日々研鑽を重ねております。
日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号
目次
原状回復の基本
借主の過失による損耗・毀損は借主負担
原状回復とは、借主が住んでいた部屋を退去する際に、借主の責任で生じた損耗・毀損を復旧することを指します。
ここで重要なのは「通常の使用による損耗」と「借主の責任による損耗」を区別することです。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、経年劣化や通常の使用による損耗は貸主負担とされています。
例えば、日照による壁紙の変色や、家具の設置による床のへこみなどは、通常の使用による損耗として貸主が負担すべきものです。
一方、タバコのヤニによる壁紙の変色や、ペットによる傷などは借主負担となります。
交渉のポイント
高額な退去費用を請求された場合、以下のポイントを確認し、必要に応じて交渉しましょう。
- 見積書の詳細確認
- 工事内容や単価が明確に記載されているか
- 「一式」という曖昧な表記になっていないか
- 経年劣化の考慮
- 壁紙や設備の使用年数に応じた減価償却が反映されているか
- 例:壁紙の耐用年数は6年とされ、4年使用後の張替えなら借主負担は3分の1程度
- ガイドラインの活用
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参照
- 借主・貸主の負担区分が明確に示されている
- 立会い時の記録
- 退去時の立会い検査では写真を撮り、指摘事項をメモする
- 後から「あった」「なかった」のトラブルを防止できる
なお、請求金額が敷金を超える場合や、明らかに過剰な請求と思われる場合は、消費生活センターや法律相談などの専門機関に相談することも検討しましょう。
関連記事:賃貸の退去費用に対するガイドライン【原状回復ガイドラインのまとめ】
まとめ
退去費用の交渉は、感情的にならず、法的根拠を示しながら進めることが重要です。
まずは国土交通省のガイドラインを参照しつつ、丁寧に説明を求めましょう。
特に「クリーニング一律請求」や「設備の経年劣化を考慮しない全額請求」などは交渉の余地があります。
その際、契約書や重要事項説明書、入居時の状態を記録した写真などが有力な証拠となります。
また、交渉は書面やメールで行い、記録を残すことも大切です。
それでも合意に至らない場合は、少額訴訟や調停などの法的手段も視野に入れることで、不当な請求から自身を守ることができます。
賃貸トラブルは決して珍しいものではなく、適切な知識と冷静な対応で解決できることを覚えておきましょう。
参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
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賃貸の退去費用に対するガイドライン【原状回復ガイドラインのまとめ】
賃貸物件を退去する際、退去費用の相場はどの程度か気になる方も多いでしょう。退去費用は、賃貸契約書に記載された原状回復の規定や、物件の経年劣化、損耗の程度によって大きく変わります。一般的には、敷金から原状回復費用や清掃費用が差し引かれて返還されますが、修繕が必要な場合は追加で費用が請求されることもあります。国土交通省のガイドラインによると、通常の使用による損耗は賃貸人が負担し、故意・過失や通常の使用を超える損耗は賃借人が負担するのが原則です。例えば、壁紙の一部が傷んだ場合、その部分だけを修復する費用は賃借人の負担となりますが、部屋全体の壁紙を張り替える必要がある場合は賃貸人が負担すべきとされています。また、経過年数や入居年数を考慮して負担割合が調整されるため、長期間住んでいた場合の負担は軽減される傾向にあります。退去費用の相場を把握するためには、契約内容や物件の状態をしっかり確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが重要です。