敷引特約による敷金の一部返還を求める主張が妥当であるとされた判例

奈良地方裁判所は、賃借人が敷引特約による敷金の一部返還を求める主張が妥当であり、敷引特約が消費者契約法に違反して無効であると判断しました。

その結果、敷金40万円のうち毀損を差し引いた26万2729円を賃貸人に返還するよう命じました。

また、賃貸人の損害賠償請求は棄却されました。

事案の概要

賃借人Ｘと賃貸人Ｙの間で締結された賃貸借契約において、敷引特約が適用され、敷金の一部が返還されることとなっていました。

しかし、賃借人Ｘは敷引特約が消費者契約法に違反して無効であると主張し、敷金の返還を求めました。

裁判所は敷引特約の適法性を検討し、消費者の権利を制限するものであり、信義則に反していると判断しました。

敷金	結果	賃借人負担となった部分
敷金40万円	返還26万2729円	脱衣所床の腐敗は 1/4 トイレ・脱衣所壁の腐敗は 1/2 張替え クッションフロア・タバコのヤニによる壁 1/2 張替え 玄関の用心鎖・レンジフードカバーの交換

判決の要旨

1. 敷引特約について、関西地方において敷引特約が慣習として成立している証拠がなく、消費者の権利を制限するものとして無効とされました。敷引特約による敷金の控除は賃借人に二重の負担を課すこととなり、信義則に反して消費者の利益を害するものと判断されました。
2. 賃貸人の損害賠償請求については、通常の使用を超える部分については敷金から一定額を差し引くことが認められました。賃借人の使用によって生じた損害の範囲を考慮し、適正な金額が差し引かれることとなりました。

敷引特約による敷金の一部返還を求める主張が妥当であるとされた判例のまとめ

奈良地方裁判所は、敷引特約が消費者契約法に違反して無効であると判断し、賃借人に対して敷金の一部返還を命じました。

賃貸人の損害賠償請求は棄却されました。

敷金	結果	賃借人負担となった部分
敷金40万円	返還26万2729円	脱衣所床の腐敗は 1/4 トイレ・脱衣所壁の腐敗は 1/2 張替え クッションフロア・タバコのヤニによる壁 1/2 張替え 玄関の用心鎖・レンジフードカバーの交換

※この回答は、特定の法的助言を提供するものではありません。法的問題に直面している場合は、専門の弁護士に相談することをおすすめします。