賃貸アパート退去時のトラブルとして、賃借人の過失による傷や破損が挙げられます。
これらは通常の使用範囲を超えた不適切な使用や管理によって生じた損傷であり、例えば家具の移動時に壁に痕を付けたり、物を落として床に傷つける行為が該当します。
このような過失による傷や破損は、賃借人が修復費用を負担する必要があります。
ここでは、その傷・破損に関する記事をご覧いただけます。
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[事例6]まっさらに近い状態に回復すべき義務ありとするには客観的理由が必要であり、特に賃借人の義務負担の意思表示が必要とされた事例
賃借人が建物を明け渡した際に、賃貸人が「まっさらに近い状態」への原状回復を要求したことに対し、裁判所がその義務の根拠を否定し、敷金の全額返還を命じた事例です。裁判所は、原状回復義務が賃借人に課されるためには、賃借人の同意や客観的な合理性が必要であると判断しました。 -
[事例4]通常の損耗に関する費用は約定された敷引金をもって当てると解するのが相当であるとされた事例
賃貸借契約終了時に敷引金(保証金の一部控除)の範囲が争われた事例です。賃借人Xは、賃貸人Yが原状回復費用として過大な金額を控除したとして、残額の返還を求めました。裁判所は、通常の使用による損耗とそれ以外の損耗を区別し、敷引金の範囲を明確に判断しました。 -
[事例7]原状回復の特約条項は故意過失又は通常でない使用による損害の回復を規定したものと解すべきとした事例
賃借人が退去時に敷金の返還を求めたが、賃貸人が原状回復費用を理由に敷金を充当し返還しなかったことを争点とした事例です。裁判所は、賃借人が通常の使用により生じた損耗は賃料として回収済みであり、原状回復特約は故意・過失または通常でない使用による損害に限定されると判断しました。 -
[事例10]原状回復義務ありとするためには義務負担の合理性、必然性が必要であり更に賃借人がそれを認識し又は義務負担の意思表示をしたことが必要とした事例
賃借人が退去時に建物の原状回復義務を負うかどうかが争われた事例です。裁判所は、賃借人が原状回復義務を負うためには、その合理性や必然性が説明され、賃借人がそれを認識している必要があると判断しました。結果として、賃借人の負担すべき補修費用は一部に限定され、敷金の一部返還が認められました。 -
[事例11]賃借人に対して和室 1 室のクロス張替え費用及び不十分であった清掃費用の支払を命じた事例
賃貸借契約終了後に賃借人が退去した際、賃貸人が請求した修繕費用と清掃費用のうち、賃借人が負担すべき範囲が争われた事例です。裁判所は、賃借人が通常の使用を超えて損傷させた部分についてのみ修繕費用の負担を認め、その他の費用は賃貸人の負担と判断しました。 -
[事例17]経過年数を考慮した賃借人の負担すべき原状回復費用が示された事例
賃貸借契約終了後の原状回復費用を巡る紛争です。賃借人Xは、賃貸人Yが請求する原状回復費用の一部について、過失を認めつつも、経過年数を考慮した減価償却を主張しました。裁判所は、経過年数を考慮した残存価値の算定を行い、賃借人Xが負担すべき金額を具体的に算定しました。 -
[事例20]過失による損傷修復費用のうち経年劣化を除いた部分が賃借人の負担すべき費用とされた事例
賃借人が退去した際の原状回復費用を巡り、賃貸人と賃借人が対立した事案です。賃貸人は、賃借人が負担すべき損耗として壁クロスや床カーペットの修復費用を請求しましたが、裁判所は、その大部分が経年劣化や通常使用による損耗であり、賃借人が負担すべき範囲を超えると判断しました。 -
[事例21]賃貸人は敷金の精算は管理会社に一任されると主張したが敷金から控除されるべき費用はないとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して敷金の返還を求めた事案です。賃貸人Yは、賃借人Xが退去時に必要な手続きを履行しなかったことを理由に、敷金全額を修繕費用に充当しました。しかし、裁判所は、賃貸人Yが控除すべき費用を具体的に主張できなかったため、敷金の一部返還を認めました。 -
[事例25]本件敷引特約は、消費者契約法10条により無効であるとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yとの賃貸借契約において敷引特約の無効を主張し、敷金の返還を求めた事案です。裁判所は、敷引特約が消費者契約法10条に該当し無効であると判断し、敷金の大部分を返還するよう命じました。 -
[事例28]敷引特約が、消費者契約法に反し無効とされた事例
賃貸借契約における敷引特約(敷金の一部を返還しないとする特約)が消費者契約法に違反し無効とされた事例です。賃借人Xは敷金の返還を求めたのに対し、賃貸人Yは原状回復費用を理由に敷金以上の損害賠償を反訴請求しました。裁判所は、敷引特約が消費者に過剰な負担を課すものであり、信義則に反するとして無効と判断しました。
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