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【更新料と通常損耗の範囲に関する判例】更新料特約有効で通常損耗範囲を判断

【設備・内装材の耐用年数のまとめ】国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

賃貸借契約における更新料の支払いと原状回復義務の範囲は、賃貸住宅において最も頻繁に争いとなる問題です。

特に消費者契約法施行後、更新料特約の有効性や通常損耗補修特約の成立要件について、多くの判例が蓄積されています。

今回ご紹介する東京地方裁判所平成21年11月13日判決は、更新料特約を有効と認めた上で、通常損耗補修特約の明確な合意を求めた重要な判例です。

この事例では、月額賃料33万2000円の高額物件において、賃料滞納による解除と原状回復費用が争点となり、裁判所は最高裁平成17年判決の基準を踏まえて通常損耗の範囲を厳格に判断しました。

本記事では、この判例の詳細な分析を通じて、更新料特約の有効性と原状回復義務の適正な範囲について解説いたします。


行政書士 松村 元
監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

概要

マンションの外観
  • 物件
    東京都内の賃貸建物(詳細住所不明)
  • 賃借期間
    平成16年2月〜平成21年7月(約5年5か月間)
  • 月額賃料
    33万2000円
  • 敷金
    66万4000円
  • 更新料
    33万2000円(平成20年更新時支払済)

本事例は、東京都内の高額賃貸物件における賃料滞納と原状回復費用を巡る複合的な紛争です。

平成16年2月13日に締結された賃貸借契約は、月額賃料33万2000円、敷金66万4000円という高額設定で、契約期間2年で開始されました。

契約は平成18年と平成20年に更新され、最後の更新時には賃料1か月分相当の更新料33万2000円が支払われました。

しかし、賃借人は平成21年2月から賃料の支払いを完全に停止し、賃貸人が契約解除を通告、同年7月27日に建物の明け渡しが完了しました。

争点は未払賃料、更新料特約の有効性、そして原状回復費用の負担範囲という、賃貸借紛争の主要論点がすべて含まれた複合的事案でした。

契約内容と特約の詳細

本件賃貸借契約には、更新料支払い特約が設けられており、その有効性が重要な争点となりました。

退去立ち合いを終えて空っぽになった室内の様子
  • 賃貸借契約の主要条件
    • 月額賃料:33万2000円
    • 敷金:66万4000円(賃料2か月分)
    • 契約期間:2年間(更新可能)
    • 駐車場:月額3万円
    • トランクルーム:月額1万円
  • 更新料特約の内容
    • 更新時には賃料1か月分相当額の更新料を支払う
    • 平成20年更新時:33万2000円を実際に支払済

原状回復に関する具体的な特約の詳細は判決文では明示されていませんが、争点となった原状回復項目から推察すると、一般的な原状回復条項が設けられていたものと思われます。

賃借人は平成20年の更新時まで約4年間継続して契約を履行し、更新料も支払っていたことから、特約の存在自体は争いがありませんでした。

争点は、消費者契約法施行後における更新料特約の有効性と、通常損耗に対する補修費用負担の明確な合意の有無でした。

特に、最高裁平成17年12月16日判決で示された「通常損耗補修特約の明確な合意」という基準が、本件にどのように適用されるかが注目されました。

賃貸人・賃借人の主張のポイント

本件では、賃料滞納による契約解除の有効性、更新料特約の有効性、原状回復費用の負担範囲という3つの争点で双方が対立しました。

争点賃貸人側の主張賃借人側の主張
契約解除の有効性賃料滞納により適法に契約解除した無催告解除は無効である
更新料特約の有効性適法な更新料特約である消費者契約法10条により無効
原状回復費用の負担契約条項に基づき賃借人が負担すべき通常損耗補修特約の明確な合意がない
敷金の相殺主張更新料返還請求権と敷金返還債権で相殺

賃貸人側は、賃借人の長期間にわたる賃料滞納を理由とした契約解除の有効性を主張し、原状回復費用についても契約条項に基づく負担を求めました。

一方、賃借人側は更新料特約が消費者契約法10条に違反して無効であると主張し、支払済の更新料33万2000円の不当利得返還を求めました。

原状回復については、最高裁平成17年判決の基準を援用し、通常損耗補修特約の明確な合意がないことを理由に、カーペットクリーニングやハウスクリーニング費用の負担を拒否しました。

賃借人は支払済の更新料返還請求権と敷金返還債権を対等額で相殺するとの意思表示も行い、総合的な金銭精算を求めていました。

裁判所の判断と法的根拠

裁判所は、各争点について明確な判断基準を示し、最高裁判例を踏まえた一貫性のある判決を下しました。

判断項目裁判所の認定結論
契約解除の有効性長期間の賃料滞納により信頼関係が破綻無催告解除は有効
更新料特約の有効性消費者契約法10条・民法1条2項に違反しない更新料特約は有効
通常損耗補修特約明確な合意が認められないカーペット・ハウスクリーニング費用は賃貸人負担
賃借人負担の原状回復明らかな損傷のみ1万6299円(消費税込)のみ

まず契約解除については、長期間の賃料滞納により信頼関係が破綻したとして、無催告解除を有効と認めました。

更新料特約については、「消費者契約法10条の『民法1条2項に規定する基本原則(信義則)』に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するとまではいえず有効である」と判断しました。

最も重要な判断は通常損耗補修特約に関するもので、最高裁平成17年12月16日判決を引用し、「通常損耗については賃借人がその補修費を負担することになる通常損耗の範囲を契約書の条項に具体的に明記されているか、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものが認められるなど、特約が明確に合意されていない限り賃借人はその補修費を負担しない」との基準を適用しました。

結果として、カーペットクリーニング8万2200円とハウスクリーニング12万4670円については賃貸人負担とし、明らかな損傷部分のみ1万6299円を賃借人負担としました。

判例から学ぶポイント

この判例は、更新料特約の有効性と通常損耗補修特約の成立要件について重要な指針を示しました。

六法全書を開いて調べている様子

更新料特約の有効性に関する判断基準

  • 消費者契約法適用後の基準
    消費者契約法10条に違反しない範囲での更新料特約は有効
  • 信義則に反する程度の判断
    賃料額と更新料のバランスが重要な判断要素
  • 明確な特約の存在
    契約書に明記され、当事者間で争いのない更新料特約

更新料特約については、本件の賃料33万2000円に対する更新料33万2000円という設定が、信義則に反する程度まで消費者の利益を害するものではないと判断されました。

通常損耗補修特約については、最高裁平成17年判決の基準が厳格に適用され、明確な合意がない限り賃借人負担とならないことが確認されました。

賃貸借契約書が入ったクリアファイル

通常損耗補修特約の成立要件

  • 契約書条項への具体的明記
  • 賃貸人による口頭説明の実施
  • 賃借人の明確な認識と合意

実務的には、ハウスクリーニング費用やカーペットクリーニング費用などの包括的な費用請求は、特約の明確な合意がない限り認められないという重要な基準が示されました。

この判例により、「次の入居者を確保するための費用」は原則として賃貸人負担であることが明確になり、賃借人の権利保護が強化されています。

賃貸借契約における実践的対策

更新料特約と原状回復条項の両方が含まれる契約書では、特に慎重な確認が必要です

賃貸借契約書にサインをさせられる賃借人の様子

契約締結時の重要チェックポイント

  • 更新料の金額と支払時期の明確な記載確認
  • 原状回復費用の具体的な負担区分表の有無
  • 通常損耗と特別損耗の明確な定義
  • ハウスクリーニング費用の負担者明記

借主の皆様には、まず更新料特約の金額が賃料に比して過度に高額でないかを確認していただきたいと思います。

原状回復については、「ハウスクリーニング費用は賃借人負担」という条項があっても、この判例により明確な合意がなければ無効とされる可能性があります。

契約書に「カーペットクリーニング」「専門業者による清掃」などの文言がある場合は、その費用負担について具体的な説明を求め、書面での確認を取ることをお勧めします。

また、経年変化による減価償却の考慮があるか、国土交通省ガイドラインに準拠した負担区分となっているかも重要な確認事項です

疑問がある条項については署名前に必ず質問し、曖昧な回答の場合は専門家への相談を検討してください。

まとめ

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの冊子

東京地方裁判所の本判決は、更新料特約の有効性を認めつつ、通常損耗補修特約については最高裁判例の基準を厳格に適用した重要な判例です。

更新料については消費者契約法の枠組み内での有効性が確認され、賃料とのバランスが適正であれば有効な特約として扱われることが明確になりました。

一方、原状回復については「通常損耗補修特約の明確な合意」という最高裁基準が厳格に適用され、ハウスクリーニング費用等の包括的な費用請求は原則として認められないことが確認されました。

この判例により、賃貸借契約における費用負担の適正化が進み、借主の権利保護と貸主の予見可能性の両立が図られています。

実務においては、契約条項の明確化と当事者間の十分な説明・合意が、紛争予防の鍵となることが改めて示されました。

本記事の重要なポイント
  • 更新料特約は消費者契約法の枠組み内であれば有効とされる
  • 通常損耗補修特約は最高裁基準による明確な合意が必要
  • ハウスクリーニング費用等は特約の明確な合意がなければ賃貸人負担
  • 契約書の条項だけでなく、口頭説明と賃借人の明確な認識が重要
  • 長期間の賃料滞納は信頼関係破綻による無催告解除事由となる

参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版) – [事例 37]更新料特約は消費者契約法10条並びに民法第1条2項に違反せず有効であるとした上で通常損耗の範囲について判断した事例

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1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください。

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