賃借人が解約手数料と原状回復費用を負担する特約は無効であると判断された判例
京都地方裁判所は、賃借人が解約手数料と原状回復費用を負担する特約は、消費者契約法に違反して無効であると判断しました。
その結果、敷金20万円の全額を賃借人に返還するよう賃貸人に命じました。
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目次
事案の概要
この事案では、賃借人Xと賃貸人Yとの間で平成12年に賃貸借契約が締結され、賃借人は保証金20万円を支払いました。
契約書には、賃借人が解約した場合に解約手数料と原状回復費用を負担する特約が含まれていました。
しかし、賃借人Xが解約申し入れをした際に、賃貸人Yは解約手数料4万4000円と原状回復費用9万9780円、清掃代3万円を保証金から差し引く旨通知しました。
賃借人Xは特約が消費者契約法に違反して無効であると主張し、保証金の返還を求めて提訴しました。
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敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金20万円 | 返還20万円 | なし |
判決の要旨
- 解約手数料特約: 裁判所は、解約手数料特約について、本件契約が解約申し入れから45日間継続するとされていることを指摘しました。しかしながら、中途解約による損害が賃貸人Yに生じるとは認められないと判断し、消費者契約法9条1号により特約は無効であると判示しました。
- 原状回復特約: 裁判所は、原状回復特約について、本件契約が平成14年に更新されたことから消費者契約法の適用があると指摘しました。通常の使用による損耗に対する原状回復費用を賃借人の負担とする特約は、賃借人の義務を加重し、信義則に反するものであり、消費者契約法10条により無効と判断しました。
- 清掃費用: 裁判所は、トイレ・エアコン・キッチン等の清掃費用について、通常の使用による損耗を原状回復する義務はないと判断しました。
賃借人が解約手数料と原状回復費用を負担する特約は無効であると判断された判例のまとめ
京都地方裁判所は、賃借人が解約手数料と原状回復費用を負担する特約が消費者契約法に違反して無効であると判断しました。
その結果、敷金20万円の全額を賃借人に返還するよう賃貸人に命じました。
また、通常の使用による損耗に対する清掃費用も賃借人の負担ではないとされました。
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敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金20万円 | 返還20万円 | なし |
※この回答は、特定の法的助言を提供するものではありません。法的問題に直面している場合は、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
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