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原状回復ガイドラインの負担割合表の読み方を徹底解説!不要な退去費用を避けるためのポイント

原状回復ガイドラインの負担割合表の読み方を徹底解説!不要な退去費用を避けるためのポイント

賃貸物件を退去する際、多くの方が「原状回復費用」についての不安や疑問を抱えています。

特に「原状回復ガイドラインの負担割合表」は一見複雑で、適切に理解できないと思わぬ費用負担が発生する可能性があります。

ある賃貸マンションから退去した田中さんは、クロスの張替えやフローリングの傷について、本来負担する必要のなかった費用を請求されてしまいました。

これは負担割合表の解釈を誤った例です。

この記事では、原状回復ガイドラインの負担割合表の正しい読み方を解説し、不必要な費用負担を避けるための知識を提供します。


行政書士 松村 元
監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

負担割合表とは何なのか?

原状回復によるクロスの張替え工事の様子

原状回復ガイドラインの負担割合表とは、退去時の修繕・清掃費用について、借主と貸主どちらが負担すべきかを明確に示した指針です。

この表は国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に含まれており、賃貸住宅の退去時における費用負担の公平性を確保するために重要な役割を果たしています。

負担割合表は、建物や設備の経年劣化と入居者の使用による損耗を区別し、前者は貸主負担、後者は借主負担とする原則に基づいています。

民法第621条では、「賃借人は、通常の使用収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を原因とする劣化及び毀損についての原状回復義務を負わない」と規定されています。

重要なポイント
  • 原状回復ガイドラインは法的拘束力はないが、裁判の判断基準として重視される
  • 経年劣化や通常の使用による損耗は貸主負担が原則
  • 入居者の故意・過失による損傷は借主負担となる
  • 特約がある場合でも、消費者契約法により不当に借主負担を増やす条項は無効になる可能性がある

負担割合表の法的根拠は?

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの冊子

原状回復ガイドラインの負担割合表は、国土交通省が2011年に改訂(その後も更新)した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を法的根拠としています。

このガイドラインは、民法の原則と過去の判例を基に作成されており、特に民法第621条の「賃借人の原状回復義務の範囲」についての解釈を明確化しています。

このガイドラインは法的拘束力を持つものではありませんが、賃貸トラブルに関する裁判では、判断の参考資料として広く採用されています。

2020年の民法改正で賃貸借契約に関する条文が整備され、経年劣化や通常使用による損耗については借主に原状回復義務がないことが明文化されました。

重要なのは、ガイドラインの負担割合表は「標準的な考え方」を示すものであり、個別の事情によって適用が異なる場合があることです。

しかし、この標準的な考え方から大きく逸脱した負担を借主に求める契約条項は、消費者契約法第10条により無効となる可能性が高いため、借主保護の観点からも重要な指針となっています。

原状回復ガイドラインの負担割合表の読み方

さて、ここからは実際に負担割合表を見ていくことにしましょう。

原状回復の費用負担を考える際には、まず、「部位別の負担割合表」を理解しておくことが重要です。

この表では、床、壁、天井、建具(ドアや窓)、設備機器など、物件内の各部位について、経年変化や通常使用による損耗は貸主負担、故意・過失による損傷は借主負担と明確に区分されています。

以下に「損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表」をご紹介します。

これは退去時の判断基準として非常に参考になるものです。

損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表

賃貸住宅の価値(建物価値)のイラスト
事例の区分

事例のうち建物価値の減少ととらえられるものを以下の 3 つにブレークダウンして区分。

  • A :賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
  • B :賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)
  • A(+B):基本的には A であるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの

その上で、建物価値の減少の区分としては A に該当するものの、建物価値を増大させる要素が含まれているものを、A(+G)に区分。

床(畳、フローリング、カーペットなど)

スクロールできます
部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
床(畳、フローリング、カーペットなど)畳の裏返し、表替え(特に破損等していないが、次の入居者確保のために行うもの)
(考え方)入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。

フローリングワックスがけ
(考え方)ワックスがけは通常の生活に
おいて必ず行うとまでは言い切れず、物件の維持管理の意味合いが強いことから、賃
貸人負担とすることが妥当と考えられる。
家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
(考え方)家具保有数が多いという我が国の実状に鑑みその設置は必然的なものであり、設置したことだけによるへこみ、跡は通常の使用による損耗ととらえるのが妥当と考えられる。

畳の変色、フローリングの色落ち(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの
(考え方)日照は通常の生活で避けられないものであり、また、構造上の欠陥は、賃借人には責任はないと考えられる(賃借人が通知義務を怠った場合を除く)。
カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ
(考え方)飲み物等をこぼすこと自体は通常の生活の範囲と考えられるが、その後の手入れ不足等で生じたシミ・カビの除去は賃借人の負担により実施するのが妥当と考えられる

冷蔵庫下のサビ跡
(考え方)冷蔵庫に発生したサビが床に付着しても、拭き掃除で除去できる程度であれば通常の生活の範囲と考えられるが、そのサビを放置し、床に汚損等の損害
を与えること、賃借人の善管注意義務違反に該当す
引越作業で生じたひっかきキズ
(考え方)賃借人の善管注意義務違反または過失に該当する場合が多いと考えられる。

畳やフローリングの色落ち(賃借人の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)
(考え方)賃借人の善管注意義務違反に該当する場合が多いと考えられる。

落書き等の故意による毀損

壁、天井(クロスなど)

スクロールできます
部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
壁、天井(クロスなど)テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
(考え方)テレビ、冷蔵庫は通常一般的な生活をしていくうえで必需品であり、その使用による電気ヤケは通常の使用ととらえるのが妥当と考えられる。

壁に貼ったポスターや絵画の跡
(考え方)壁にポスター等を貼ることによって生じるクロス等の変色は、主に日照などの自然現象によるもので、通常の生活による損耗の範囲であると考えられる。

エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡
(考え方)エアコンについても、テレビ等と同様一般的な生活をしていくうえで必需品になってきており、その設置によって生じたビス穴等は通常の損耗と考えられる。

クロスの変色(日照などの自然現象によるもの)
(考え方)畳等の変色と同様、日照は通常の生活で避けられないものであると考えられる。

壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)
(考え方)ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる。
台所の油汚れ
(考え方)使用後の手入れが悪くススや油が付着している場合は、通常の使用による損耗を超えるものと判断されることが多いと考えられる。

結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ
(考え方)結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

クーラー(賃貸人所有)から水漏れし、賃借人が放置したため壁が腐食
(考え方)クーラー保守は所有者(賃貸人)が実施するべきものであるが、水漏れを放置したり、その後の手入れを怠った場合は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。
タバコ等のヤニ・臭い
(考え方)喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり臭いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件での喫煙等が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。

壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程度のもの)
(考え方)重量物の掲示等のためのくぎ、ネジ穴は、画鋲等のものに比べて深く、範囲も広いため、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。なお、地震等に対する家具転倒防止の措置については、予め、賃貸人の承諾、または、くぎやネジを使用しない方法等の検討が考えられる。

クーラー(賃借人所有)から水漏れし、放置したため壁が腐食
(考え方)クーラーの保守は所有者(この場合賃借人)が実施すべきであり、それを怠った結果、壁等を腐食させた場合には、善管注意義務違反と判断されることが多いと考えられる。

天井に直接つけた照明器具の跡
(考え方)あらかじめ設置された照明器具用コンセントを使用しなかった場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。落書き等の故意による毀損

建具(襖、柱など)

スクロールできます
部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
建具(襖、柱など)網戸の張替え(破損等はしていないが次の入居者確保のために行うもの)
(考え方)入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。
地震で破損したガラス
(考え方)自然災害による損傷であり、賃借人には責任はないと考えられる。

網入りガラスの亀裂(構造により自然に発生したもの)
(考え方)ガラスの加工処理の問題で亀裂が自然に発生した場合は、賃借人には責任はないと考えられる。
飼育ペットによる柱等のキズ・臭い
(考え方)特に、共同住宅におけるペット飼育は未だ一般的ではなく、ペットの躾や尿の後始末などの問題でもあることから、ペットにより柱、クロス等にキズが付いたり臭いが付着している場合は賃借人負担と判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件でのペットの飼育が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。

落書き等の故意による毀損

設備、その他(鍵、クリーニングなど)

スクロールできます
部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
設備、その他(鍵など)全体のハウスクリーニング(専門業者による)
(考え方)賃借人が通常の清掃(具体的には、ゴミの撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回り、換気扇、レンジ回りの油汚れの除去等)を実施している場合は次の入居者確保のためのものであり、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。

エアコンの内部洗浄
(考え方)喫煙等による臭い等が付着していない限り、通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、賃借人の管理の範囲を超えているので、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。

消毒(台所、トイレ)
(考え方)消毒は日常の清掃と異なり、賃借人の管理の範囲を超えているので、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。

浴槽、風呂釜等の取替え(破損等はしていないが、次の入居者確保のため行うもの)
(考え方)物件の維持管理上の問題であり、賃貸人負担とするのが妥当と考えられる。
鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
(考え方)入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とする

設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの)
(考え方)経年劣化による自然損耗であり、賃借人に責
ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす
(考え方)使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。

風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等
(考え方)使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。
日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損
(考え方)賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。

鍵の紛失、破損による取替え
(考え方)鍵の紛失や不適切な使用による破損は、賃借人負担と判断される場合が多いものと考えられる。

戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草
(考え方)草取りが適切に行われていない場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断される場合が多いと考えられる。

賃借人が負担すべき原状回復義務等負担一覧表の読み方

原状回復を考える上でもう一つ重要なのが「損耗(そんもう)」と「毀損(きそん)」の区別です。

損耗とは、時間経過や通常使用による自然な劣化のことで、基本的に貸主負担となります。

例えば以下のようなケースです。

経年劣化の進行した畳の様子
  • 日常的な歩行による床の摩耗
  • 日光による壁紙の色あせ
  • 換気扇の経年劣化

一方、毀損とは、借主の故意・過失や通常の使用方法を超える使用によって生じた劣化や破損のことで、こちらは借主負担となります。

こちらは以下のようなケースです。

借主の過失によるクロスが損耗した様子
  • ペットによる引っかき傷
  • タバコのヤニや焦げ跡
  • 重い物を落として生じたフローリングの凹み

では、具体的にどのようなケースが借主負担となり、どのようなケースが貸主負担となるのか、以下の「賃借人の原状回復義務等負担一覧表」で確認しましょう。

賃借人の原状回復義務等負担一覧表

床(畳、フローリング、カーペットなど)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
床(畳、フローリング、カーペットなど)毀損部分の補修畳:最低1枚単位
色合わせを行う場合は当該居室の畳数分

カーペット、クッションフロア:1部屋単位
洗浄等で落ちない汚れ、キズの場合

フローリング:最低㎡単位
畳 :原則1枚単位
毀損等が複数枚にわたる場合は、その枚数(裏返しか表替えかは毀損の程度による)

カーペット、クッションフロア:毀損等が複数箇所にわたる場合は当該居室全体
フローリング :原則㎡単位
毀損等が複数箇所にわたる場合は当該居室全体
畳表
消耗品に近いものであり、減価償却資産になじまないので、経過年数は考慮しない。

畳床、カーペット、クッションフロア
6 年で残存価値 1 円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する。

フローリング
経過年数は考慮しない。ただし、フローリング全体にわたっての毀損によりフローリング床全体を張り替えた場合は、当該建物の耐用年数(参考資料の資料8参照)で残存価値 1 円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。

壁、天井(クロスなど)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
壁、天井(クロスなど)毀損部分の補修壁(クロス) :最低㎡単位色、模様あわせを行う場合は当該面または居室全体
※タバコ等のヤニや臭いの場合は、クリーニングまたは張替え(部分補修困難)
壁(クロス) :㎡単位が望ましいが、賃借人が毀損させた箇所を含む一面分までは張替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする。
※タバコ等のヤニや臭い喫煙等により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、当該居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられる。
壁(クロス)
6 年で残存価値 1 円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する。

建具(襖、柱など)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
建具(襖、柱など)毀損部分の補修襖 :最低1枚単位
色、模様あわせを行う場合は当該居室全体の枚数

柱 :最低1本単位
襖 :1枚単位
柱 :1本単位
襖紙、障子紙
消耗品であり、減価償却資産とならないので、経過年数は考慮しない。

襖、障子等の建具部分、柱
経過年数は考慮しない。(考慮する場合は当該建物の耐用年数で残存価値 1 円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。)

設備、その他(鍵、クリーニングなど)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
設備、その他(鍵、クリーニングなど)設備の補修
鍵の返却
通常の清掃(ゴミ撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回り清掃、換気扇やレンジ回りの油汚れの除去)
設備機器:部分的補修、交換
鍵:紛失の場合はシリンダーの交換
クリーニング:専門業者による部位ごともしくは全体のクリーニング(いわゆるハウスクリーニング)
設備機器:補修部分、交換相当費用
鍵:紛失の場合はシリンダーの交換
クリーニング:部位ごともしくは住戸全体
設備機器
・耐用年数経過時点で残存価値1円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する(新品交換の場合も同じ)。


【主な設備の耐用年数】
耐用年数 5 年のもの
・流し台

耐用年数 6 年のもの
・冷房用、暖房用機器(エアコン、ルームクーラー、ストーブ等)
・電気冷蔵庫、ガス機器(ガスレンジ)
・インターホン

耐用年数 8 年のもの
・主として金属製以外の家具(書棚、たんす、戸棚、茶ダンス)

耐用年数 15 年のもの
・便器、洗面台等の給排水衛生設備
・主として金属製の器具・備品

当該建物の耐用年数が適用されるもの
・ユニットバス、浴槽、下駄箱(建物に固着して一体不可分なもの)
・鍵の紛失の場合は、経過年数は考慮しない。交換費用相当分を全額賃借人負担とする。
・クリーニングについて、経過年数は考慮しない。賃借人負担となるのは、通常の清掃を実施していない場合で、部位もしくは住戸全体の清掃費用相当分を全額賃借人負担とする。

この表を参考にすることで、退去時の費用負担について事前に理解を深めることができます。

ただし、表に記載されていないケースや判断が難しい事例も存在するため、疑問点があれば契約前に確認しておくことをお勧めします。

重要なポイント
  • 契約書に「原状回復費用は借主負担」と書かれていても、ガイドラインや判例に基づけば経年劣化分は貸主負担となる
  • 入居時の物件状態を写真等で記録しておくことが重要
  • 退去時の立会い検査では、修繕箇所と理由を明確に確認する
  • 見積書の内訳を必ず確認し、不明点は質問する
  • 敷金精算書で返金額に納得できない場合は、書面で異議を申し立てる

負担割合表に反する不当な請求への対処法は?

原状回復ガイドラインの負担割合表に反する不当な請求を受けた場合、適切に対応することが重要です。

まず、請求内容の詳細を書面で確認し、各項目がガイドラインに準拠しているかを確認しましょう。

不明な点や疑問点は、貸主や管理会社に説明を求める権利があります。

不当な請求に対しては、以下のプロセスで対応することが効果的です。

借主が貸主と交渉している様子
  1. 請求書の各項目について、原状回復ガイドラインの該当箇所を確認する
  2. 不当と思われる項目について、具体的な根拠(ガイドラインのページ数や項目など)を示して書面で異議を申し立てる
  3. 入居時と退去時の写真や動画など、物件の状態を証明できる資料を提示する
  4. 話し合いで解決しない場合は、消費生活センターや国民生活センターなどの相談窓口を利用する
  5. 最終的には簡易裁判所の少額訴訟や調停などの法的手段を検討する
重要なポイント
  • 請求内容は必ず書面で受け取り、口頭での説明だけで支払わない
  • 入居時・退去時の状態を写真や動画で記録しておくことが重要
  • 経年劣化や通常使用による損耗の借主負担は原則として認められない
  • 相談窓口や法的手段の利用を躊躇しない

入居前の確認で退去トラブルを防ぐには?

退去トラブルを未然に防ぐためには、入居前の準備と確認が非常に重要です。

まず、契約書の「原状回復」に関する条項を詳細に確認しましょう。

特に「通常損耗も借主負担」などの特約がある場合は、その有効性に疑問を持ち、必要に応じて修正を求めることも検討すべきです。

入居時には、以下の対策を講じることで将来のトラブルを防止できます。

入居前に借主と貸主(管理会社)が立ち合う様子
  • 入居前の物件の状態を詳細に写真や動画で記録する(日付入りが望ましい)
  • 既存の傷や汚れについては入居時確認書に明記してもらう
  • 原状回復ガイドラインの負担割合表についての理解を深めておく
  • 家具の配置や壁の使用方法に注意し、必要に応じて養生する
  • 定期的に物件の状態をチェックし、異常があれば早めに管理会社に連絡する

特に入居時の状態確認は重要です。

チェックリストを用いて、壁、床、天井、建具、設備などの状態を細かく確認し、写真や動画で記録しておきましょう。

また、契約書とともに原状回復ガイドラインのコピーを保管しておくことも有効です。

重要なポイント
  • 入居前に契約書の原状回復条項を詳細に確認する
  • 入居時の物件状態を写真や動画で詳細に記録する
  • 既存の傷や汚れは入居時確認書に明記してもらう
  • 生活の中で壁や床を傷つけないよう配慮する

原状回復ガイドラインの負担割合表に関するQ&A

壁に画鋲やピンで小さな穴をあけた場合、借主負担になりますか?

一般的に、壁に画鋲やピンで少数(10個程度まで)の小さな穴をあけることは「通常の使用」と認められ、借主負担にはなりません。ただし、過度に多数の穴や大きな穴の場合は、故意・過失による損傷として借主負担となる可能性があります。

クロス(壁紙)の交換費用は入居年数によって変わりますか?

はい、変わります。クロスの一般的な耐用年数は6年とされており、入居期間が長いほど借主負担割合は減少します。例えば、3年使用後の故意・過失による損傷であれば、修繕費用の約50%が借主負担となります。6年以上経過していれば、経年劣化として貸主負担となるケースが多いです。

契約書に「原状回復費用は借主負担」と書かれていますが、これは有効ですか?

このような包括的な特約は、消費者契約法第10条により無効となる可能性が高いです。経年劣化や通常の使用による損耗までを借主負担とすることは、民法第621条に反するためです。特約があっても、原状回復ガイドラインに沿った負担区分が適用されるべきです。

退去時のハウスクリーニング費用は誰が負担するのですか?

基本的に、通常の清掃程度で対応できる汚れは、経年劣化や通常の使用による損耗として貸主負担となります。ただし、著しい汚れや特殊なクリーニングが必要な場合(例:ペットによる汚れや臭い、喫煙によるヤニなど)は借主負担となる可能性があります。

家具の設置による床の凹みは借主負担になりますか?

家具の通常の使用による床の軽微な凹みは「通常の使用による損耗」と認められ、借主負担にはなりません。ただし、過度に重い家具を適切な保護なしに置いたことによる著しい凹みや傷は、借主の不注意による損傷として借主負担となる可能性があります。

まとめ

借主がスマホで賃貸トラブルに関する情報を検索している様子

原状回復ガイドラインの負担割合表を正しく理解することは、賃貸物件の退去時に不要な費用負担を避けるために非常に重要です。

負担割合表は、経年劣化や通常の使用による損耗は貸主負担、借主の故意・過失による損傷は借主負担という原則に基づいており、物件の使用年数によって借主負担割合が減少していく仕組みになっています。

退去トラブルを防ぐためには、入居前に契約書の確認と物件状態の記録をしっかり行い、退去時には原状回復ガイドラインに基づいた適正な費用負担を求めることが大切です。

不当な請求に対しては、ガイドラインを根拠に異議を申し立て、必要に応じて専門機関に相談することも検討しましょう。

賃貸契約は対等な立場での契約関係です。

正しい知識を身につけ、適切に対応することで、公平で納得のいく原状回復費用の精算が可能になります。

もし不安なことがあれば、消費生活センターや弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

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1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

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