賃貸アパートを退去する際、部屋を入居時と同じ状態に戻す「原状回復」は、賃貸借契約において重要な義務の一つです。しかし、原状回復の範囲や費用負担については、入居者と大家さんの間で認識の違いが生じやすいポイントでもあります。
ここでは、国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に掲載してある事例を分かりやすく整理してお伝えしています。
退去時のトラブルを防ぎ、スムーズな引渡しを実現するための参考としてご活用ください。
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[事例9]賃借人の手入れにも問題があったとして、カビの汚れについて賃借人にも2割程度の負担をすべきとした事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して敷金の返還を求めた事案です。賃貸人Yは、賃借人Xが通常の使用を超える損害を与えたとして、カビ被害などの原状回復費用を敷金から充当し、敷金の返還を拒否しました。裁判所は、カビ被害の一部について賃借人Xにも責任があると判断し、敷金から一部を差し引くことを認めました。 -
[事例1]毀損・汚損等の損害賠償を定めた特約には通常の使用によるものは含まれないとされた事例
賃貸借契約終了後に賃貸人が賃借人に対して未払賃料や修繕費用の支払を求めた事案です。裁判所は、賃貸借契約に基づく損害賠償特約が通常の使用による損耗を含まないと判断し、賃借人が負担すべき費用を一部に限定しました。