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【判例22】設備使用料等の徴収が公序良俗違反で無効とされた事例の教訓

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの冊子

賃貸借契約における「設備使用料」や「設備協力金」の名目で金員を徴収する慣行は、かつて一部地域で見受けられました。

しかし、このような名目での金員徴収が常に適法とは限らず、その金額や性質によっては公序良俗に反して無効となる場合があります。

今回ご紹介する大津地方裁判所平成16年2月24日判決は、住宅金融公庫融資物件における設備使用料の徴収が公序良俗違反として無効と判断された重要な判例です。

この事例では、冷暖房機の使用対価として徴収された設備使用料が、公庫法の趣旨に反し、かつ著しく高額であることから公序良俗違反として無効と判断されました。

本記事では、この判例の詳細な分析を通じて、賃貸借契約における追加費用の適法性判断基準と、賃借人の権利保護について解説いたします。


行政書士 松村 元
監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

原状回復ガイドライン【判例22】の概要

本事例は、住宅金融公庫融資を受けた賃貸物件において、設備使用料等の名目で徴収された金員の返還を求める争いです。

平成6年5月に締結された賃貸借契約は、月額賃料7万1000円、敷金21万3000円の条件で開始されました。

マンションの外観
  • 契約開始
    平成6年5月
  • 月額賃料
    7万1000円
  • 敷金
    21万3000円
  • 賃貸期間
    約6年6ヶ月(平成12年10月まで)

特徴的なのは、契約開始時に「設備協力金」として15万円を支払い、さらに平成8年5月と平成10年5月の更新時に「設備使用料」として各15万円、合計45万円もの追加費用を支払っていた点です。

明け渡し時には、賃貸人が自然損耗による修繕費負担特約を根拠として27万9980円の補修費用を主張し、敷金を上回る費用請求を行いました。

これに対し賃借人は、設備使用料の徴収が公庫法違反・公序良俗違反として無効であることを主張し、既払金の返還と敷金の返還を求めて提訴に至りました。

原状回復ガイドライン【判例22】の契約内容と特約の詳細

本件賃貸借契約には、賃借人に重い負担を課す複数の条項が設けられていました。

退去立ち合いを終えて空っぽになった室内の様子
  • 設備関連費用の構造
    • 契約開始時:設備協力金15万円
    • 1回目更新時(平成8年5月):設備使用料15万円
    • 2回目更新時(平成10年5月):設備使用料15万円
    • 合計負担額:45万円
  • 自然損耗修繕費負担特約
    • 通常の使用による自然損耗も賃借人が修繕費を負担する旨の特約
    • 賃貸人請求額:27万9980円

賃貸人は設備使用料について「冷暖房機の使用対価」として正当性を主張していました。

しかし、この物件は住宅金融公庫融資を受けた物件であり、公庫法35条及び同法施行規則10条により、権利金・礼金・更新料等の金員徴収が制限されていました。

また、自然損耗による修繕費負担特約についても、契約締結時に具体的な説明がなされておらず、賃借人の明確な認識と合意が欠如していた状況でした。

これらの契約条項は、実質的に賃借人に二重・三重の負担を課すものであり、その適法性が厳しく問われることとなりました。

賃貸人・賃借人の主張のポイント

本件では、設備使用料の性質と修繕費負担特約の有効性について、双方が対立する主張を展開しました。

争点賃貸人側の主張賃借人側の主張
設備使用料の性質冷暖房機の使用対価として正当。公庫法が禁止する「権利金・謝金等」に該当しない公庫法違反かつ公序良俗違反で無効
設備使用料の合意承諾書の差入れ等により有効に合意が成立している真の合意は存在しない
修繕費負担特約契約書に明記された特約に基づき、自然損耗も含めて賃借人が負担合意不成立で公庫法・公序良俗違反

賃貸人側は、設備使用料を冷暖房機の使用対価として位置づけ、公庫法が禁止する権利金等とは性質が異なると主張しました。

また、賃借人が承諾書を差し入れるなど、形式的には合意が成立していると強調し、契約条項の有効性を主張していました。

これに対し賃借人側は、設備使用料の金額が公庫の指導金額を大幅に超える高額なものであり、実質的には権利金・礼金と同様の性質を持つと反論しました。

修繕費負担特約についても、具体的な説明が欠如しており、真の合意は成立していないと主張し、公庫法の趣旨に反する不当な条項であることを強調しました。

裁判所の判断と法的根拠

裁判所は、公庫法の趣旨と公序良俗の観点から、明確な判断基準を示しました。

判断項目裁判所の認定結論
修繕費負担特約の有効性①客観的・合理的理由、②賃借人の認識、③義務負担の意思表示が必要だが、具体的説明がなく合意不成立特約無効
設備使用料と公庫法公庫法35条、同法施行規則10条で禁止されている賃借人の不当な負担に該当公庫法違反
公序良俗違反の判断公庫指導金額の約倍程度で著しく高額。社会的に容認しがたい公序良俗違反で全体が無効

修繕費負担特約については、有効性の要件として①特約の必要性と合理性、②賃借人の明確な認識、③義務負担の意思表示の3要件を示しました。

本件では契約締結時に具体的説明がなく、これらの要件を満たさないため特約は無効と判断されました。

設備使用料については、公庫法35条・同法施行規則10条が禁止する「賃借人の不当な負担」に該当すると認定しました。

さらに重要なのは、徴収金額が公庫指導金額の約2倍に達し「著しく高額」であることから、契約全体が公序良俗に反して無効と判断した点です。

結果として、賃借人の敷金返還請求と設備使用料等の不当利得返還請求の両方が認容されました。

原状回復ガイドライン【判例22】から学ぶポイント

この判例は、賃貸借契約における追加費用の適法性判断について重要な基準を示しています。

六法全書を開いて調べている様子

公庫法適用物件での重要な教訓

  • 金額の妥当性
    公的基準を大幅に超える金額は公序良俗違反のリスクが高い
  • 名目の実質性
    「設備使用料」等の名目でも実質的に権利金と同様なら違法
  • 法令との整合性
    公庫法等の制限法規に抵触する約定は無効となる

最も重要な教訓は、形式的に「設備使用料」や「協力金」という名目を用いても、その実質が権利金・礼金と同様であれば、制限法規に抵触する可能性があることです。

また、公庫法適用物件では、公的基準を大幅に超える金額の徴収は公序良俗違反として契約全体の無効につながるリスクがあります。

賃貸借契約書が入ったクリアファイル

修繕費負担特約の有効性要件

  • 特約の客観的・合理的理由の存在
  • 賃借人の明確な認識と理解
  • 義務負担についての明示的な意思表示

修繕費負担特約についても、単に契約書に記載があるだけでは不十分で、3つの要件を満たす必要があることが明確になりました。

この判例により、賃借人保護の観点から契約条項の実質的審査が重要であることが確立されています。

賃貸借契約における実践的対策

賃貸借契約締結時には、追加費用の名目と金額について慎重な確認が必要です。

賃貸借契約書にサインをさせられる賃借人の様子

契約締結時の重要チェックポイント

  • 追加費用の名目と法的根拠を明確に確認
  • 設備使用料等の金額が相場と比較して適正かチェック
  • 公庫融資物件の場合は公庫法の制限を確認

借主の皆様にアドバイスしたいのは、まず「設備使用料」「協力金」「管理費」などの追加費用について、その性質と金額の妥当性を十分に検討することです。

特に住宅金融公庫融資物件や類似の公的制度を利用した物件では、追加費用の徴収に制限がある場合があります。

契約書に自然損耗の修繕費負担条項がある場合は、その具体的内容と負担範囲について詳細な説明を求め、理解・納得した上で署名することが重要です。

疑問がある場合は、契約前に消費者相談窓口や専門家に相談し、契約条項の適法性について確認することをお勧めします。

また、契約締結後であっても、不当な条項については無効を主張できる場合があるため、諦めずに専門家に相談することが大切です。

まとめ

大津地方裁判所の本判決は、賃貸借契約における追加費用の適法性について明確な判断基準を示した重要な判例です。

「設備使用料」等の名目であっても、その金額が著しく高額で公序良俗に反する場合は契約全体が無効となることが確立されました。

また、住宅金融公庫法等の制限法規がある場合は、その趣旨に反する約定は無効となることも明確になりました。

修繕費負担特約についても、形式的な記載だけでは不十分で、実質的な合意が必要であることが示されています。

この判例により、賃貸借契約における賃借人保護が強化され、不当な条項からの救済が図られています。契約締結時の慎重な検討と、問題がある場合の適切な対応が重要です。

重要なポイント
  • 設備使用料等の名目でも、金額が著しく高額な場合は公序良俗違反で無効となる
  • 住宅金融公庫法等の制限法規に抵触する約定は無効となる
  • 修繕費負担特約は客観的理由・賃借人の認識・意思表示の3要件が必要
  • 契約書の形式的記載だけでは不十分で、実質的な合意が要求される
  • 不当な契約条項については、締結後でも無効を主張できる場合がある

参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

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1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください。

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