カビが発生しているクロスの張替えは賃借人が負担すべきでないと判断された判例
川口簡易裁判所は、カビの発生は賃借人の手入れに問題があったものの、経過年数を考慮してクロスの張替えについては賃借人が負担すべき費用はないと判断しました。
その結果、敷金13万8000円のうち、11万1330円の返還を賃借人に命じました。
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目次
事案の概要
この事案では、賃借人Xと賃貸人Yとの間で賃貸借契約が締結されました。
賃貸借契約には敷金13万8000円が含まれており、賃借人Xは賃貸人Yに対して敷金の返還を求めました。
賃貸人Yは、賃借人Xの管理不行き届きによりカビが発生し、また建物の内装にも汚損があったため、敷金の返還を主張しました。
裁判所は、経過年数を考慮し、特にクロスの張替えについては賃借人Xが負担すべき費用はないと判断しました。
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敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金 13万8000円 | 返還 11万1330円 | 天井の張替え クロス下地の取替え 窓枠・サッシビートの取替え 玄関扉のサビによる交換(各 20%を負担) |
判決の要旨
- 建物の状態: 裁判所は、賃借人Xが18年以上もの間賃借していた建物について、内装の修理や交換が一度も行われていないことを指摘しました。また、和室の畳や襖、扉にタバコのヤニが付着している状態も確認されました。しかし、これらの汚損や損耗は時間の経過に伴う自然のものと判断されました。
- カビの発生: 各部屋のカビは、賃借人Xの部屋の管理及びカビ発生後の手入れに問題があった結果とされました。しかし、経過年数を考慮すると、クロスに関しては賃借人Xが負担すべき原状回復費はないと判断されました。
- 負担すべき費用: 天井塗装や玄関扉のサビ、クロス下地のボードなどについては、費用の20%を残存価値とし、賃借人Xが負担すべき額とされました。また、和室の窓のカビ防止シールを剥がすために要した費用の負担(1050円)は、賃借人X自身も認めたものとされました。
- 更新料支払特約: 裁判所は、賃借人Xが支払った更新料について、消費者契約法10条に反して無効であるとは判断しませんでした。
カビが発生しているクロスの張替えは賃借人が負担すべきでないと判断された判例のまとめ
川口簡易裁判所は、カビの発生は賃借人の管理不行き届きによるものであるが、経過年数を考慮してクロスの張替えについては賃借人が負担すべき費用はないと判断しました。
そのため、敷金13万8000円のうち、11万1330円を賃借人に返還するよう賃貸人に命じました。
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敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金 13万8000円 | 返還 11万1330円 | 天井の張替え クロス下地の取替え 窓枠・サッシビートの取替え 玄関扉のサビによる交換(各 20%を負担) |
※この回答は、特定の法的助言を提供するものではありません。法的問題に直面している場合は、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
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