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敷金が返ってこない?敷金返還請求権を行使する際の基礎知識と注意点

敷金は、賃貸人が賃借人から預かるお金で、賃貸借契約が終了したときに、賃借人の債務担保や原状回復費用に充てられるものです。

原則として賃貸借契約が終了したときに返還されるものですが、賃貸人が敷金を返還しない場合、賃借人は敷金返還請求権を行使することになります。

そこで今回は、敷金返還請求権を行使する際の基礎知識と注意点について解説します。

敷金返還請求権は、賃借人の権利です。

賃貸人が敷金を返還しない場合、以下のことを踏まえて積極的に権利を行使しましょう。


綜合法務事務所君悦
行政書士 松村 元

回答してくれる街の法律家

当事務所は、賃貸トラブルでお悩みの皆様を無料でサポートしております。
敷金の返還請求、立ち退きや退去費用に関するトラブルなど、様々な問題について、適切なアドバイスや解決策を無償で提供しております。
裁判所での訴訟等については、業務の範囲外となるため、サポートに限りはありますが、借主の皆様が、より安心して住まいを利用できるよう、最善の解決策をご提案いたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。


目次

敷金とは?

そもそも敷金とは、家賃の滞納や、借りた部屋を壊したときに、その費用に充てられるもので、賃貸物件を借りる際に、家主に預けるお金のことです。

敷金を預かる理由

敷金を預かる理由には、次の3つがあります。

  1. 家賃の滞納や、借りた部屋を壊したときに備えるため
  2. 家主と借主の間でトラブルが起こったときに、解決するための費用に充てるため
  3. 借主に、部屋を大切に使ってもらうため

敷金返還の定義

借主が退去するときに、部屋を原状回復していれば、敷金は原則全額返還されます。

ただし、故意に部屋を汚したり壊したりした場合は、その費用を敷金から差し引かれることがあり、家主と借主の間でトラブルが起こったときに、解決するための費用になります。

敷金返還請求権とは?

敷金返還請求権とは、賃借人が賃貸借契約が終了したときに、賃貸人に対して敷金の返還を請求することができる権利のことです。

前述した敷金返還の定義に伴い、借主が退去するときに、部屋を原状回復していれば、敷金は原則全額返還されます。

敷金返還請求権の発生時期

敷金返還請求権は、賃借人が賃貸物件を原状回復して明け渡したときに発生します。

賃借人が賃貸物件を原状回復せずに明け渡した場合、賃貸人は敷金から修繕費などの費用を差し引いて返還することがあるため注意が必要です。

敷金返還請求権の時効

敷金返還請求権の時効は5年です。

つまり、賃貸借契約が終了してから5年が経過すると、敷金返還請求権を行使できなくなります。

敷金を返してもらうためのポイント

ここからは敷金を返してもらうためのポイントを解説します。

前述のとおり、敷金返還請求権とは、賃借人が賃貸借契約が終了したときに、賃貸人に対して敷金を返還するよう請求できる権利のことです。

敷金返還請求権を行使したからといって必ず敷金が返ってくるものではありませんが、ここから解説する内容を踏まえて、権利を行使すれば、敷金が返ってくる可能性が高まります。

退去時に部屋を原状回復する

退去時に部屋を原状回復することは、敷金返還請求権を行使するための最も重要なポイントです。

部屋が入居時のように綺麗であれば原状回復費用も当然のことながら発生しません。

下記は原状回復をする際の注意点です。

  • 原状回復の定義は、入居前の状態に戻すことである
  • 原状回復の範囲は、賃貸借契約書に記載されているので、必ず確認する
  • 賃借人による故意過失のある損耗は、賃借人が負担することになる

上記を踏まえて原状回復すれば、敷金が返ってくる可能性がグッと高まります。

賃貸人と連絡を取り合う

退去時に部屋を原状回復しても、賃貸人が敷金を返還してくれない場合があります。

そのような場合でも、賃貸人と連絡を取り合うことが大切です。

下記は賃貸人と連絡を取る際に押さえておきたいポイントです。

  • 賃貸人に、部屋を原状回復したことを伝える
  • 賃貸人に、敷金を返してほしい意思を伝える
  • 賃貸人と退去立ち合いの場を設ける

上記の場面では、写真やボイスレコーダーなどの記録を残しておくといいでしょう。

その後のトラブルの予防にも繋がります。

必要に応じて弁護士に相談する

賃貸人と話し合いがまとまらない場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談することで、敷金返還請求権を行使する方法や、訴訟を起こす方法についてアドバイスを受けることができます。

相談費用がかかるところもあると思いますが、賃貸人にその旨を伝えるだけでもある程度の抑止力にはなるでしょう。

敷金返還請求権を行使する際のメリットとデメリット

前述のとおり、敷金返還請求権を行使したからといって、必ず敷金が返ってくる訳ではありません。

また敷金返還請求権の行使の仕方によっても、必要以上に費用や時間がかかったりと割りに合わない場合もあります。

そこでここからは、敷金返還請求権を行使する際に生じるであろうメリットとデメリットについて解説します。

敷金返還請求権の行使で得られるメリット

敷金返還請求権を行使することで、次のメリットが得られる可能性があります。

敷金が返還される

敷金返還請求権を行使することで、賃貸人から敷金が返還される可能性があります。

賃借人に過失がない場合、敷金は、家賃の1〜2か月分なので、返還されると大きな金額になります。

トラブルを回避できる

敷金返還請求権を行使することで、トラブルを回避することができます。

敷金が返ってくるものだと思い込んでいたばかりに、長期間に渡って放置されているケースも少なくありません。

そのような場合、時間の経過と共に記憶も曖昧になってくるため、賃貸人が敷金の返還を拒否したり、悪徳な賃貸人であれば、過度な退去費用を請求してきたりとトラブルに発展する可能性があります。

権利を主張する姿勢を示すことができる

敷金返還請求権を行使することで、賃貸人に対して、自分の権利を主張する姿勢を示すことができます。

預けた敷金を返してもらうことを主張するのは当然のことです。

敷金返還請求権を行使した際に生じるデメリット

敷金返還請求権を行使することで、次のようなデメリットが生じる可能性があります。

手間や時間がかかる

敷金返還請求権を行使するには、賃貸人と連絡を取り合ったり、必要に応じて弁護士に相談したりする必要があります。

そのため、手間や時間がかかる場合があります。

費用がかかる

賃貸人とトラブルに発展した場合は、訴訟費用がかかる場合があります。

訴訟費用は、内容にもよりますが数万円から数十万円にも及ぶ場合があります。

敷金が返還されない可能性がある

手間や時間をかけても賃貸人に正当な理由がある場合や、賃貸人が敷金返還請求権を認めない場合は、敷金が返還されない可能性があります。

したがって、敷金返還請求権を行使するかどうかは、預けている敷金の額や上記のメリットやデメリットを総合的に判断する必要があるでしょう。

敷金返還請求権の行使の方法

ここからは敷金返還請求権を行使する具体的な方法について解説します。

敷金返還請求権は、敷金返還請求書を送付するのが一般的な方法です。

その中でも内容証明郵便を使った送付が効果的です。

敷金返還請求書とは

敷金返還請求権を行使するには、貸主に対して敷金返還請求書を送付する必要があります。

敷金返還請求書には、以下の事項を記載する必要があります。

  • 請求者(賃借人)の氏名・住所
  • 被請求者(貸主)の氏名・住所
  • 物件の所在地
  • 契約期間
  • 契約書に定められている敷金の金額
  • 退去日
  • 原状回復に要した費用の金額
  • 敷金返還を請求する金額

また、敷金返還請求権を行使する際には、原状回復義務を果たしたことを証明する必要があります。

敷金返還請求権を行使するためのポイントでも解説しましたが、原状回復義務を果たしたことを証明するためには、退去時に賃貸物件を撮影しておいたり、原状回復費用を請求した書面を残しておいたりすることが有効です。

敷金返還請求書を内容証明郵便で送付する

敷金返還請求を行う方法はいくつかありますが、その中でも効果的なのが「内容証明郵便」です。

内容証明郵便とは、郵便局が作成日、差出人、受取人、送達日時を証明してくれる郵便の一種です。

つまり、内容証明郵便で敷金返還請求を行うことで、貸主に対して敷金返還を求めたことを客観的に証明することができます。

内容証明郵便で送付するメリット

内容証明郵便には、以下のメリットがあります。

内容証明郵便で送付するメリット
  • 貸主に敷金返還を求めたことを証明できる
    前述したように、内容証明郵便は、郵便局が作成日、差出人、受取人、送達日時を証明してくれる郵便の一種です。そのため、内容証明郵便で敷金返還請求を行うことで、貸主に対して敷金返還を求めたことを客観的に証明することができます。これは、万が一貸主が敷金の返還を拒否した場合でも、訴訟などの法的手段に訴える際に有利に働きます。
  • 貸主にプレッシャーを与えることができる
    内容証明郵便は、貸主に対して敷金返還を求める意思があることを示す強力な手段です。そのため、内容証明郵便を受け取った貸主は、敷金の返還を真剣に考えざるを得なくなります。また、内容証明郵便には、貸主に返信を求める文言を入れることもできます。これにより、貸主と直接交渉する前に、敷金返還の交渉の土俵を整えることができます。
  • 時効を中断することができる
    時効を中断することができる敷金返還請求権の時効は5年間です。つまり、敷金返還請求権を行使しなかった場合、5年が経過すると敷金返還請求ができなくなります。しかし、内容証明郵便で敷金返還請求を行うことで、時効を中断することができます。つまり、内容証明郵便を送った時点で、時効のカウントが止まり、5年間は敷金返還請求ができるようになります。
  • 但し、ただ内容証明郵便を送付しただけでは時効は中断せず、訴訟の提起をすることで、時効が確定的に中断されます。
  • 費用が比較的安い
    内容証明郵便の費用は、郵便局によって異なりますが、数百円程度です。訴訟などの法的手段に比べて、費用が比較的安く済みます。

以上のように、内容証明郵便には、貸主に敷金返還を求めたことを証明できる、貸主にプレッシャーを与えることができる、時効を中断することができる、費用が比較的安い、などのメリットがあります。

敷金返還請求を行う際には、内容証明郵便を利用することをおすすめします。

敷金返還請求権に関するお役立ち情報

ここからは敷金返還請求権に関するお役立ち情報をご紹介します。

原状回復費用の計算や相談先などをまとめていますので是非参考になさってください。

敷金返還請求額の計算方法

敷金返還請求額は、退去時のお部屋の状態や、賃貸借契約書に記載のある内容によって異なります。

また計算方法も部材によって異なるので、難しいと感じられる方も少なくないと思います。

下記では、国土交通省のガイドラインに基づいて原状回復費用を計算できるフォームを設置しています。

無料で利用できるので計算が苦手な方は一度利用してみてください。

自分で退去費用を計算する


退去費用を計算する
  • 壁や天井のクロス(壁紙)の張り替え
  • クッションフロアの張り替え
  • フローリングの線キズ等の修繕
国土交通省のガイドラインに沿った退去費用の算出ができます。

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敷金返還請求権の相談先

敷金返還請求権についてわからないことがあれば、次の機関に相談することができます。

  • 地方自治体の消費生活センター
  • 弁護士会
  • 全国賃貸住宅業協会

敷金返還請求権に関するお役立ち情報を参考にして、あなたの権利を守りましょう。

敷金返還請求権を行使する際の基礎知識と注意点のまとめ

敷金は、賃貸人が賃借人から預かるお金で、賃貸借契約が終了したときに、賃借人の債務担保や原状回復費用に充てられるものです。

原則として賃貸借契約が終了したときに返還されるものですが、賃貸人が敷金を返還しない場合、賃借人は敷金返還請求権を行使することになります。

ただし、敷金返還請求権を行使する際には、原状回復義務を果たしたことを証明する必要があります。

敷金返還請求権を行使するためのポイントでも解説しましたが、原状回復義務を果たしたことを証明するためには、退去時に賃貸物件を撮影しておいたり、原状回復費用を請求した書面を残しておいたりすることが有効です。

ご自身で解決できるのが一番ですが、交渉には専門的な知識も必要となる場合もあるため、場合によっては弁護士等の法律家に相談することも視野に入れて対応されるのがよろしいでしょう。

敷金返還請求権に関するよくある質問

敷金はいくら返ってくるの?

相談者

敷金を家賃の2か月分預けていますがどの程度返ってくるのでしょうか?

行政書士 松村 元

敷金は、退去時のお部屋の状態や、賃貸借契約書に記載のある内容によって異なります。

敷金はいつ返ってくるの?

相談者

アパートから退去してから2ヵ月経ちましたがまだ敷金は返ってきません。いつ頃に返ってくるのでしょうか?

行政書士 松村 元

敷金は、賃貸借契約が終了して原状回復が完了した後、速やかに返還される必要があります。ただし、賃貸借契約書に別段の定めがある場合は、その定めが優先されます。

敷金が返ってこない場合はどうすればいいの?

相談者

賃貸人から敷金を返す旨は聞いているのですが、それから半年以上経過していますが返ってきません。どうすればいいのでしょうか?

行政書士 松村 元

賃貸人が敷金を返還しない場合、賃借人は賃貸人に対して敷金返還請求権を行使することができます。敷金返還請求権を行使するには、賃貸人に敷金返還請求書を送付する必要があります。賃貸人が敷金返還請求書に応じない場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

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この記事を書いた人

行政書士 松村 元のアバター 行政書士 松村 元 綜合法務事務所君悦

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