敷引きの特約は有効とした判例
神戸地方裁判所は、敷引きの特約は有効としましたが、修繕費用については通常の使用による自然損耗分を除いた7万円余に減額されることが適切と判断しました。
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目次
事案の概要
この事件は、賃借人Xと賃貸人Yの間の敷金返還を巡る争いです。
賃借人Xは契約終了後に敷金の一部を返還されましたが、その額について異議を唱えました。
賃貸契約書には敷引きの特約がありましたが、賃借人Xは特約の内容についての説明がなかったため、特約の無効を主張し、返還を求めました。
また、賃借人Xは敷金から控除された修繕費用の適正性にも異議を唱え、返還額の減額を求めました。
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敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金70万円 | 返還34万7655円(敷引28万円) | 畳 1 畳・襖 1 枚・床及び壁クロスの補修郵便ポスト取替え トイレ・換気扇・風呂・洗面台の清掃 |
判決の要旨
裁判所は以下のような判断を下しました。
- 敷引き特約の有効性:敷引き特約は一般的な約定であり、特定の金額を賃貸人が帰属することを合意するものです。特約の額が著しく高額であるなどの特別な事由がなければ、合意は有効とされます。本件敷引きも、賃貸人が建物の自然損耗による修繕に必要な費用に充てることを合意したものであり、特に不合理な点はないと判断されました。
- 修繕費用の適正性:賃借人は通常の使用による自然損耗を除いて、賃借物を毀損した場合には修復する責任を負います。賃借人が修理義務を怠り、未修理のまま顧みなかった場合、賃貸人は修繕費用の支払いを求め、敷金から控除することができます。裁判所は、修繕費用として郵便ポストの取り替え費用、襖・壁・床の張替え、畳表替え及び清掃費用の一部の合計額を7万2345円と認定しました。
- 返還額の減額:上記の判断に基づき、裁判所は賃貸人Yに対し、敷金70万円から敷引金28万円、既に返還済みの敷金15万7007円及び修繕費用7万2345円を控除した19万648円の返還義務を認めました。
敷引きの特約は有効とした判例のまとめ
この判決においては、敷引きの特約は有効とされましたが、修繕費用については通常の使用による自然損耗分を除いた金額に減額されることが適切とされました。
賃借人は契約書の内容を理解し、特約についての説明を求めるべきです。
また、賃貸契約終了時には、建物の修繕義務を果たすことが重要です。
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敷金 | 結果 | 賃借人負担となった部分 |
---|---|---|
敷金70万円 | 返還34万7655円(敷引28万円) | 畳 1 畳・襖 1 枚・床及び壁クロスの補修郵便ポスト取替え トイレ・換気扇・風呂・洗面台の清掃 |
※この回答は、特定の法的助言を提供するものではありません。法的問題に直面している場合は、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
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