賃貸物件を契約する際、「重要事項説明書を確認した」「契約書にサインした」と安心していませんか?
実は、契約書に記載された「特約事項」が後々トラブルの原因になることが少なくありません。
「原状回復費用を全額負担」「ペット飼育禁止」など、入居後に「こんな条件だとは知らなかった」と後悔するケースが多発しています。
本記事では、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」や「原状回復ガイドライン」を基に、特約事項の基本知識から注意すべきポイント、無効となる特約の見分け方まで、賃貸契約の”落とし穴”を回避するための情報をお届けします。
目次
特約事項の基本
契約前には必ず特約事項の内容を確認し、不明点は遠慮なく質問する
特約事項とは、賃貸借契約において標準的な契約内容に追加・変更を加える特別な取り決めのことです。
民法や借地借家法などの法律の規定と異なる内容を定めることもあり、契約書の最後や別紙に記載されることが一般的です。
国土交通省は「賃貸住宅標準契約書」を公表しており、これに基づいた契約が望ましいとされています。
特約事項は、法律の任意規定の範囲内であれば有効ですが、強行規定(必ず守らなければならない規定)に反する場合や、借主に著しく不利な内容の場合は無効となる可能性があります。
例えば、借地借家法第30条の「正当事由のない更新拒絶の禁止」に反する特約は無効とされます。
要注意の特約事項
特約事項で最も注意すべきは原状回復に関する条項です。
「原状回復ガイドライン」によれば、通常の使用による劣化・損耗は貸主負担が原則ですが、特約で借主負担とすることがあります。
ただし、この特約は「借主が負担する内容を明確に示し、借主が理解していること」が条件です。
- 退去時のクリーニング費用を借主負担とする特約
- 敷金から一律にハウスクリーニング費用を差し引く特約
- 賃借人の退去時に設備の交換費用を一律に請求する特約
- 更新料の支払いを義務付ける特約(関東では一般的だが、判例では有効とされるケースが多い)
- ペット飼育禁止や楽器演奏禁止などの生活上の制限を設ける特約
これらの特約は理解した上で契約するとともに、特約の内容が不明確な場合は必ず確認しましょう。
関連記事:賃貸の退去費用に対するガイドライン【原状回復ガイドラインのまとめ】
まとめ
賃貸契約の特約事項は、一見すると難解で借主に不利なものに思えるかもしれませんが、正しい知識を身につけることで不必要なトラブルを回避できます。
契約前には必ず特約事項の内容を確認し、不明点は遠慮なく質問しましょう。
特に原状回復に関する特約は、将来の出費に直結するため、内容を明確に理解することが重要です。
また、無効となる可能性のある特約については交渉の余地があることも覚えておきましょう。
賃貸契約は長期間の生活を左右する重要な契約です。
「後から知った」ではなく、「事前に知っておく」ことで、快適な賃貸生活の第一歩を踏み出せます。
参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
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賃貸の退去費用に対するガイドライン【原状回復ガイドラインのまとめ】
賃貸物件を退去する際、退去費用の相場はどの程度か気になる方も多いでしょう。退去費用は、賃貸契約書に記載された原状回復の規定や、物件の経年劣化、損耗の程度によって大きく変わります。一般的には、敷金から原状回復費用や清掃費用が差し引かれて返還されますが、修繕が必要な場合は追加で費用が請求されることもあります。国土交通省のガイドラインによると、通常の使用による損耗は賃貸人が負担し、故意・過失や通常の使用を超える損耗は賃借人が負担するのが原則です。例えば、壁紙の一部が傷んだ場合、その部分だけを修復する費用は賃借人の負担となりますが、部屋全体の壁紙を張り替える必要がある場合は賃貸人が負担すべきとされています。また、経過年数や入居年数を考慮して負担割合が調整されるため、長期間住んでいた場合の負担は軽減される傾向にあります。退去費用の相場を把握するためには、契約内容や物件の状態をしっかり確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが重要です。