
法テラスで退去費用を無料相談する条件と弁護士費用の立替制度を解説
退去費用の請求額が高すぎると感じているのに、弁護士に相談するお金がなくて困っていませんか。
そのような場合に利用できるのが、国が設立した法的トラブルの総合案内窓口である法テラス(日本司法支援センター)です。
法テラスでは収入と資産の条件を満たせば、退去費用に関する弁護士への無料相談を1回30分、最大3回まで受けることができます。
この記事では、法テラスで退去費用の無料相談を利用するための条件と相談の流れ、準備すべき書類、弁護士費用の立替制度について解説します。
なお、退去費用の請求額が適正かどうかを確認する方法については「国土交通省の原状回復ガイドラインをわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

監修者
1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。
日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号
法テラスで退去費用の無料相談ができる仕組みと利用条件

- 法テラスは国が設立した法的トラブルの総合案内窓口である
- 無料法律相談の利用には収入と資産の要件がある
- 弁護士費用の立替制度を利用すれば分割返済が可能である

「退去費用が高すぎるけれど、弁護士に相談するお金もない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
法テラスを利用すれば、一定の条件のもとで退去費用のトラブルについて弁護士に無料で相談できます。
法テラスは国が設立した法的トラブルの総合案内窓口である

まず、法テラス(日本司法支援センター)とは、2006年に総合法律支援法に基づいて国が設立した法的トラブルを解決するための総合案内窓口です。
退去費用や敷金返還のトラブルも法テラスの相談対象に含まれており、全国に約110か所の事務所があるため、お住まいの地域に近い拠点で直接相談することができます。
法テラスの大きな特徴は、経済的に余裕のない方を対象に弁護士や司法書士への無料法律相談を提供している点です。
退去費用の請求額が退去費用の相場と比べて妥当かどうかわからない場合に、専門家の意見を無料で聞ける仕組みが整っています。
法テラスは国の機関なので安心して利用でき、退去費用のトラブルも相談対象になっています。
民法第621条:賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に回復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
無料法律相談の利用には収入と資産の要件がある
次に、法テラスの無料法律相談(民事法律扶助)を利用するには、収入と資産に関する一定の要件を満たす必要があります。
この要件は世帯人数に応じた基準額で判定され、手取り月収と保有資産の両方が基準以下であることが条件です。
| 世帯人数 | 手取り月収の基準 | 保有資産の基準 |
|---|---|---|
| 単身 | 約18.2万円以下 | 約180万円以下 |
| 2人家族 | 約25.1万円以下 | 約250万円以下 |
| 3人家族 | 約27.2万円以下 | 約270万円以下 |
| 4人家族 | 約29.9万円以下 | 約300万円以下 |
- 上記の金額は目安です。居住地域(東京・大阪等の大都市圏では引き上げ)や家賃負担の有無により基準が異なります。最新の基準は法テラスの公式サイトでご確認ください。
上記の基準はあくまで目安であり、家賃や住宅ローンの支払いがある場合は一定額が控除されるため、実際には基準がやや緩和されます。
また、生活保護を受給している方は収入・資産の審査なく無料法律相談を利用できるため、退去費用のトラブルでも相談しやすい環境が整っています。
収入要件を満たすかどうか不明な場合は、法テラスに電話で問い合わせれば事前に確認できます。
民法第622条の2第1項:賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。)を受け取っている場合において、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
弁護士費用の立替制度を利用すれば分割返済が可能である


さらに、法テラスでは無料法律相談だけでなく、弁護士や司法書士への依頼費用を立て替えてもらえる「代理援助」という制度も用意されています。
無料法律相談は1回30分で同じ問題について最大3回まで利用可能であり、退去費用のトラブルに関する法的なアドバイスを段階的に受けられます。
相談の結果、弁護士に正式に依頼する必要がある場合は代理援助制度を利用して着手金や実費を法テラスに立て替えてもらい、毎月5,000円から10,000円程度の分割で返済することが可能です。
退去費用が60万円以下であれば少額訴訟という簡易な手続きで解決できるケースも多く、弁護士費用を抑えながらトラブルを解決する道があります。
法テラスの立替制度を使えば、手元にお金がなくても弁護士に依頼して退去費用の問題を解決できます。
民法第90条:公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
退去費用の請求に疑問を感じたら、まずは法テラスの無料相談で専門家の意見を聞いてみましょう。
法テラスで退去費用を相談する流れと準備すべき書類


- 電話またはメールで相談を申し込む手順がある
- 相談前に準備しておくべき書類と情報がある
- 相談後の選択肢として代理援助と少額訴訟がある


法テラスの利用条件がわかったら、次は実際に相談を申し込むまでの手順を確認しておきましょう。
事前に必要書類を揃えておくことで、限られた相談時間を有効に使えます。
電話またはメールで相談を申し込む手順がある


まず、法テラスへの相談申し込みは電話(0570-078374)またはメールで行います。
電話受付は平日9時から21時、土曜は9時から17時まで対応しており、専門のオペレーターが退去費用のトラブル内容をヒアリングしたうえで無料法律相談の予約手続きを案内してくれます。
予約が取れたら最寄りの法テラス事務所で弁護士との面談が行われ、1回30分で退去費用に関する法的なアドバイスを受けられます。
面談では退去費用の請求が国土交通省の原状回復ガイドラインの一覧に沿っているかどうかを弁護士に判断してもらえるため、交渉の方針を明確にできます。
まずは電話で問い合わせるだけで、相談の予約から当日の流れまで丁寧に案内してもらえます。
民法第606条第1項:賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
相談前に準備しておくべき書類と情報がある
加えて、法テラスでの相談時間は1回30分と限られているため、事前に必要な書類と情報を準備しておくことが重要です。
以下の書類を持参すれば弁護士が状況を正確に把握でき、限られた時間で具体的なアドバイスを受けることができます。
- 賃貸借契約書(特約条項のページを含む)
- 退去費用の精算書または見積書
- 入居時と退去時に撮影した室内の写真
- 管理会社とのやり取りの記録(メールや書面)
- 収入を証明する書類(給与明細や課税証明書)
特に賃貸借契約書の特約事項の内容は、退去費用の負担範囲を判断するうえで弁護士が最も重視するポイントです。
敷金返還請求書の書き方を事前に確認しておくと、弁護士との相談がスムーズに進みます。
事前に書類を揃えておくことで、30分の相談時間を最大限に活用できます。
民法第400条:債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
相談後の選択肢として代理援助と少額訴訟がある


そのうえで、法テラスの無料相談で弁護士から助言を受けたあと、管理会社との交渉がまとまらない場合は次のステップに進む選択肢があります。
一つは代理援助制度を利用して弁護士に正式に交渉や訴訟を依頼する方法で、着手金は事案の内容にもよりますが5万円から15万円程度が立替対象となります。
もう一つは退去費用の請求額が60万円以下の場合に利用できる少額訴訟で、手数料は請求額の1%程度(10万円の請求なら1,000円)と低額で済みます。
少額訴訟は原則1回の期日で判決が出るため、弁護士に依頼せず自分で手続きを進めることも可能です。
法テラスの相談で方針を固めたうえで、代理援助か少額訴訟かを選ぶとスムーズに進められます。
民法第533条:双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
法テラス以外に退去費用を相談できる無料窓口


- 消費生活センターは収入制限なく誰でも利用できる
- 弁護士会の無料相談は法テラスの要件を満たさない場合にも対応する
- 宅建協会の不動産相談窓口でも退去費用の相談が可能である


法テラスの収入要件を満たさない場合でも、退去費用のトラブルを相談できる窓口はほかにもあります。
それぞれの窓口の特徴を比較して、自分に合った相談先を選びましょう。
消費生活センターは収入制限なく誰でも利用できる


まず、各都道府県に設置されている消費生活センターは収入制限なく誰でも退去費用のトラブルについて無料で相談できます。
消費者ホットライン(188)に電話すると最寄りの消費生活センターにつながり、退去費用の請求内容が適正かどうかについて相談員から助言を受けられます。
消費生活センターでは、管理会社に対して直接連絡を入れて交渉の仲介をしてくれるケースもあり、借主一人では難しい交渉がスムーズに進むことがあります。
詳しくは「賃貸トラブルは消費者センターに相談できる退去費用の無料窓口と活用法」をご覧ください。
消費生活センターは法テラスと異なり収入要件がないため、どなたでも気軽に相談できます。
民法第1条第2項:権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
弁護士会の無料相談は法テラスの要件を満たさない場合にも対応する


次に、各地の弁護士会が主催する無料法律相談も退去費用のトラブルに対応しています。
弁護士会の無料相談は法テラスの収入要件を満たさない方でも利用できるケースが多く、1回20分から30分程度の面談で法的なアドバイスを受けられます。
退去費用の請求額に対して減価償却で減額できるかどうかを弁護士に確認してもらうことで、交渉の根拠を明確にすることができます。
弁護士会の相談窓口は各都道府県の弁護士会ウェブサイトから検索でき、電話やオンラインでの相談に対応している場合もあります。
弁護士会の無料相談は法テラスとは別枠なので、両方を活用すれば最大で6回分の相談が可能です。
民法第415条第1項:債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
宅建協会の不動産相談窓口でも退去費用の相談が可能である


さらに、都道府県の宅地建物取引業協会(宅建協会)にも不動産に関する無料相談窓口が設けられています。
宅建協会の相談窓口では、退去費用のトラブルについて不動産取引の専門家である宅地建物取引士が対応してくれるため、業界の実務慣行に基づいた助言を受けることができます。
特に管理会社が宅建協会に加盟している場合は、協会を通じた苦情申し立ての手続きが利用でき、協会から管理会社に改善指導が入ることもあります。
法テラス・消費生活センター・弁護士会・宅建協会のそれぞれの特徴を以下の表にまとめます。
| 相談窓口 | 費用 | 収入要件 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 法テラス | 無料(最大3回) | あり | 弁護士費用の立替制度がある |
| 消費生活センター | 無料 | なし | 管理会社への直接交渉も可能 |
| 弁護士会 | 無料(初回のみの場合あり) | なし | 法テラスと併用で相談回数を増やせる |
| 宅建協会 | 無料 | なし | 不動産の実務慣行に精通した助言 |
複数の窓口を組み合わせて相談すれば、退去費用のトラブル解決に向けた方針をより確かなものにできます。
民法第601条:賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
法テラスの利用条件に当てはまらない場合でも、消費生活センターや弁護士会の無料相談で退去費用の適正額を確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
- 法テラスは国が設立した法的トラブルの総合案内窓口で退去費用の相談にも対応している
- 収入と資産の要件を満たせば弁護士への無料法律相談を最大3回まで利用できる
- 弁護士費用の立替制度(代理援助)を利用すれば毎月5,000円からの分割返済が可能である
- 法テラスの要件を満たさない場合は消費生活センターや弁護士会や宅建協会の無料相談も活用できる
退去費用のトラブルを一人で抱え込まず、法テラスの無料相談を活用して専門家の助言を得ることが解決への第一歩です。
まずは契約書と精算書を手元に用意して、法テラスに電話してみてください。
- 敷金ドットコムは、情報提供を目的としたサイトです。行政書士が記事の監修および執筆を行っておりますが、根本的な問題やトラブルの解決を目的としたものではありません。トラブルの解決については、弁護士または認定司法書士にご相談ください。










