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【判例32】庭付き一戸建て住宅で問われる庭の管理義務と善管注意義務違反の境界

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの冊子

庭付き一戸建て住宅の賃貸借契約において、庭の管理責任はどこまで賃借人が負うのでしょうか。

マンションやアパートとは異なり、一戸建て住宅では庭や植栽の維持管理が重要な争点となります。

今回ご紹介する東京簡易裁判所平成21年5月8日判決は、庭付き一戸建て住宅における賃借人の善管注意義務の範囲を明確にした重要な判例です。

この事例では、約3年間の賃貸期間中に庭の草取りを怠り、松を枯らしてしまった賃借人に対して、裁判所が一定の責任を認めました。

本記事では、庭付き物件特有の管理義務と実務上の注意点について、判例の詳細な分析を通じて解説いたします。


行政書士 松村 元
監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

原状回復ガイドライン【判例32】の概要

本事例は、敷地90坪という広大な庭付き一戸建て住宅における庭の管理を巡る争いです。

平成16年8月8日に締結された賃貸借契約は、賃貸期間2年間、賃料月額12万円、敷金12万円、礼金12万円という条件で、平成19年6月11日まで継続されました。

庭付き一戸建て住宅
  • 物件
    庭付き一戸建て住宅(敷地90坪、建物109.3㎡)
  • 賃借期間
    平成16年8月〜平成19年6月(約3年間)
  • 月額賃料
    12万円(敷金12万円、礼金12万円)
  • 争点となった金額
    庭の修復費用48万8350円(賃貸人請求額)

契約終了後、賃貸人は庭の植栽が荒れ果てており、特に門かぶりの松が枯れていたとして、庭の修復費用を請求しました。

請求された修復費用の内訳は、高木剪定作業等費用20万5800円、雑草・除草及び刈取り処分費用3万2550円、枯れた松と同程度の松の植替え費用25万円の合計48万8350円でした。

賃貸人は敷金12万円を充当した残額36万8350円の支払いを求めて提訴し、庭付き住宅における賃借人の管理義務の範囲が争点となりました。

原状回復ガイドライン【判例32】の契約内容と特約の詳細

本件賃貸借契約では、庭の管理方法について具体的な合意・約定は設けられていませんでした。

退去立ち合いを終えて空っぽになった室内の様子
  • 基本的な契約条件
    • 庭付き一戸建て住宅(敷地90坪、建物109.3㎡)
    • 賃貸期間:2年間
    • 賃料月額:12万円
    • 敷金:12万円、礼金:12万円
  • 庭の管理に関する取り決め
    • 敷地・庭の植栽の管理方法についての具体的な合意・約定なし
    • 仲介業者から「基本的には植栽は刈らないように」との説明あり
    • 入居時は庭の植栽が十分に手入れされた状態

契約書には庭の維持管理に関する明確な条項がなく、一般的な善管注意義務の条項のみが規定されていました。

興味深いことに、仲介業者からは「基本的には植栽は刈らないように」との説明が賃借人に対してなされており、剪定等については慎重な対応が求められていました。

入居時の庭の状態は十分に手入れがされており、門かぶりの松をはじめとした植栽が良好な状態で維持されていました。

このような背景から、庭の管理については賃借人と賃貸人の間で具体的な合意がない中で、一般的な注意義務の範囲内でどこまでの責任を負うかが争点となりました。

賃貸人・賃借人の主張のポイント

賃貸人側は、庭の植栽が入居時と比較して著しく荒れ果てたとして、包括的な修復費用を請求しました。

争点賃貸人側の主張賃借人側の主張
庭の管理義務賃借人は庭の植栽を適切に管理すべき義務があった庭の管理について具体的な約定はなかった
松の枯死賃借人の管理不十分により門かぶりの松が枯れた松枯れの原因は不明であり、賃借人の責任ではない
剪定作業適切な剪定を怠ったため高木剪定費用が発生仲介業者から植栽は刈らないよう説明を受けていた
草取り草取りを怠ったため雑草が生い茂った知識経験がなく、どの程度の管理が必要か不明だった

賃貸人の主張によれば、入居時は十分に手入れがされていた庭の植栽が、賃借人の管理不十分により荒れ果て、特に門かぶりの松の枯死は重大な損害であるとしていました。

一方、賃借人側は庭の管理について具体的な約定がなく、また仲介業者から「基本的には植栽は刈らないように」との説明を受けていたため、適切な管理方法が不明確だったと主張しました。

特に植栽の剪定については専門的な知識経験が必要であり、素人の賃借人には適切な判断ができなかったとの反論もなされました。

松の枯死についても、その原因が不明であり、賃借人の管理方法に起因するものではないとの主張が展開されました。

裁判所の判断と法的根拠

裁判所は、庭付き一戸建て住宅の特殊性を考慮した上で、賃借人の善管注意義務の具体的範囲を明確に判断しました。

判断項目裁判所の認定結論
庭の法的性格庭及び植栽も建物と一体として賃貸借の目的物に含まれる賃借人は一定の善管注意義務を負う
剪定義務植栽の剪定には専門知識が必要で、賃借人に知識経験なし善管注意義務違反にあたらない
草取り義務一般的な庭の管理として定期的な草取りは必要善管注意義務違反を認定
松枯れ対応変化に気付いて賃貸人に知らせる義務があった善管注意義務違反を認定

まず、庭付き一戸建て住宅における庭の法的地位について、「庭及びその植栽等も建物と一体として賃貸借の目的物に含まれると解するのが当事者の合理的意思に合致する」と判断し、賃借人が一定の善管注意義務を負うことを確認しました。

しかし、植栽の剪定については、「植栽の剪定・養生にはこれに関する一定の知識経験が必要と解されるが、賃借人らには知識経験はほとんどなかった」として、善管注意義務違反を否定しました。

一方、草取りについては「一般的な庭の管理として行われるべき定期的な草取りが適切に行われていなかった」として善管注意義務違反を認定し、松枯れについても「松の変化の状態に気付き、これを賃貸人に知らせて対応策を講じる機会を与えるべき義務があった」として責任を認めました。

最終的に、物件が近隣の賃料相場に比べて安い物件であることも考慮し、賃借人の負担を6万円とする妥当な判断を示しました。

原状回復ガイドライン【判例32】から学ぶポイント

この判例は、庭付き一戸建て住宅における賃借人の管理義務の合理的な範囲を示した重要な先例となりました。

六法全書を開いて調べている様子

庭の管理義務に関する重要な原則

  • 目的物の一体性
    庭付き住宅では庭も賃貸借の目的物に含まれる
  • 専門性の考慮
    専門知識を要する作業は賃借人の義務範囲外
  • 基本的管理の責任
    一般的な草取り等は賃借人の義務に含まれる

最も重要な教訓は、庭の管理について具体的な約定がない場合でも、賃借人には一定の善管注意義務が課されるという点です。

ただし、その範囲は賃借人の知識経験や物件の性格を総合的に考慮して判断されることが明確になりました。

賃貸借契約書が入ったクリアファイル

実務への重要な影響

  • 専門的な剪定作業は賃借人の義務範囲外とされる
  • 日常的な草取りは基本的な管理義務に含まれる
  • 植栽の異常に気付いた場合の報告義務がある
  • 賃料水準等の事情も責任の程度に影響する

実務的には、庭付き物件の賃貸借契約において、庭の管理責任の範囲を明確に定めることの重要性が確認されました。

また、賃借人には植栽の異常を発見した際の報告義務があることも重要な指針として示されています。

この判例により、庭付き住宅における合理的な管理義務の基準が確立され、類似事案の解決指針となっています。

賃貸借契約における実践的対策

庭付き一戸建て住宅の賃貸借契約では、庭の管理責任について明確な取り決めを設けることが重要です。

賃貸借契約書にサインをさせられる賃借人の様子

契約締結時の注意点

  • 庭の管理範囲を具体的に契約書に明記
  • 専門的な剪定作業の責任分担を明確化
  • 日常的な草取り等の基本管理義務を確認
  • 植栽の異常発見時の報告義務を規定

借主の皆様にアドバイスしたいのは、まず契約書で庭の管理責任が明記されているかを必ず確認することです。

特に「日常的な草取り」と「専門的な剪定作業」の区別が明確になっているかは重要なポイントです。

植栽の異常(枯れ、病気、害虫等)を発見した場合は、速やかに賃貸人に報告する義務があることを理解しておきましょう。

また、入居時には庭の状態を写真で記録し、どの程度の管理が求められているかを具体的に確認することをお勧めします。

庭の管理について不明な点がある場合は、契約前に賃貸人と十分に協議し、書面で責任範囲を明確にすることが重要です。

庭付き住宅特有のリスクを理解し、適切な対策を講じることで、退去時のトラブルを予防できます。

まとめ

東京簡易裁判所の本判決は、庭付き一戸建て住宅における賃借人の管理義務の合理的な範囲を明確にした重要な判例です。

庭も賃貸借の目的物に含まれるとしつつ、専門知識を要する剪定作業は義務範囲外とし、基本的な草取りや異常発見時の報告義務を認める妥当な判断を示しました。

この判例により、庭付き住宅における管理義務の基準が確立され、当事者双方にとって予測可能性が高まりました。

実務においては、契約書での責任範囲の明確化と、適切な管理による紛争予防が重要となります。

庭付き住宅の賃貸借は特殊性があるため、当事者間での十分な協議と合意形成が、健全な賃貸借関係の維持に不可欠です。

重要なポイント
  • 庭付き住宅では庭も賃貸借の目的物に含まれ、賃借人に一定の善管注意義務が課される
  • 専門知識を要する剪定作業は賃借人の義務範囲外となる
  • 日常的な草取り等の基本的な庭の管理は賃借人の義務に含まれる
  • 植栽の異常を発見した場合は賃貸人への報告義務がある
  • 契約書で庭の管理責任範囲を明確に定めることが紛争予防につながる

参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

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1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください。

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