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このサイトは、国土交通省が発行している原状回復のガイドラインに沿って、賃貸人や賃借人、媒介業者、管理業者など、賃貸借契約の当事者の方々に積極的に活用され、トラブルの未然防止や円滑な解決に役立つことを期待して運営しています。
原状回復ガイドラインのまとめ ≫

賃貸物件の退去時トラブル回避!原状回復ガイドラインの負担割合表の読み方を徹底解説

賃貸物件の退去時トラブル回避!原状回復ガイドラインの負担割合表の読み方を徹底解説

引っ越しの多い3月、賃貸物件からの退去を控えている方にとって最も気になるのが「原状回復費用」ではないでしょうか。

「壁に開けた小さな穴も全額負担?」「エアコンの取り外し跡は自己負担?」など、何をどこまで自分が支払うべきなのか、悩まれる方は少なくありません。

国土交通省が定める「原状回復ガイドライン」では、経年劣化や通常使用による損耗については貸主負担、故意・過失による損傷は借主負担と明確に区分されています。

しかし実際には、このガイドラインを知らないまま不当な請求に応じてしまうケースも多いのが現状です。

この記事では、原状回復の基本的な考え方から、部位別の負担割合、損耗と毀損の区別まで、退去時に知っておくべき知識を徹底解説します。

この記事を読むことで、不当な請求を見極め、正当な費用負担で円満に退去できるようになるでしょう。


行政書士 松村 元
監修者

サレジオ学院高等学校を昭和57年に卒業後、法曹界への志を抱き、中央大学法学部法律学科へと進学。同大学では法律の専門知識を着実に積み重ね、昭和62年に卒業。
その後、さまざまな社会経験を経て、より専門的な形で法務サービスを提供したいという思いから、平成28年に行政書士試験に挑戦し、合格。この資格取得を機に、平成29年4月、依頼者の皆様に寄り添った丁寧なサービスを提供すべく「綜合法務事務所君悦」を開業いたしました。
長年培った法律の知識と実務経験を活かし、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えできるよう、日々研鑽を重ねております。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

原状回復とは?ガイドラインが定める基本的な考え方

原状回復とは、賃借人(借主)が借りていた物件を退去する際に、物件を借りた当初の状態に戻す義務のことを指します。

しかし、「借りた当初の状態」をどこまで厳密に解釈するかが問題となります。

国土交通省が策定した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復の範囲を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。

原状回復とは?ガイドラインが定める基本的な考え方

つまり、賃借人が支払うべき費用は以下の2つに限られます。

  1. 故意または過失による損傷の修繕費用
  2. 通常の使用方法を超える使用による損耗の修繕費用

一方、次のようなケースは賃貸人(大家)が負担すべきものです。

  1. 経年変化(時間の経過による自然な劣化)
  2. 通常の使用による損耗

例えば、壁紙の日焼けや畳の自然な劣化は経年変化に当たり、賃借人負担ではありません。

このガイドラインは法的拘束力はないものの、裁判所の判断でも参考にされており、賃貸契約において重要な指針となっています。

原状回復ガイドラインの負担割合表の読み方

原状回復ガイドラインの負担割合表の読み方

原状回復の費用負担を考える際には、「部位別の負担割合表」を理解しておくことが重要です。

この表では、床、壁、天井、建具(ドアや窓)、設備機器など、物件内の各部位について、経年変化や通常使用による損耗は貸主負担、故意・過失による損傷は借主負担と明確に区分されています。

以下に「損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表」をご紹介します。これは退去時の判断基準として非常に参考になるものです。

損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表

賃貸住宅の価値(建物価値)
事例の区分

事例のうち建物価値の減少ととらえられるものを以下の 3 つにブレークダウンして区分。

  • A :賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
  • B :賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)
  • A(+B):基本的には A であるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの

その上で、建物価値の減少の区分としては A に該当するものの、建物価値を増大させる要素が含まれているものを、A(+G)に区分。

床(畳、フローリング、カーペットなど)

スクロールできます
部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
床(畳、フローリング、カーペットなど)畳の裏返し、表替え(特に破損等していないが、次の入居者確保のために行うもの)
(考え方)入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。

フローリングワックスがけ
(考え方)ワックスがけは通常の生活に
おいて必ず行うとまでは言い切れず、物件の維持管理の意味合いが強いことから、賃
貸人負担とすることが妥当と考えられる。
家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
(考え方)家具保有数が多いという我が国の実状に鑑みその設置は必然的なものであり、設置したことだけによるへこみ、跡は通常の使用による損耗ととらえるのが妥当と考えられる。

畳の変色、フローリングの色落ち(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの
(考え方)日照は通常の生活で避けられないものであり、また、構造上の欠陥は、賃借人には責任はないと考えられる(賃借人が通知義務を怠った場合を除く)。
カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ
(考え方)飲み物等をこぼすこと自体は通常の生活の範囲と考えられるが、その後の手入れ不足等で生じたシミ・カビの除去は賃借人の負担により実施するのが妥当と考えられる

冷蔵庫下のサビ跡
(考え方)冷蔵庫に発生したサビが床に付着しても、拭き掃除で除去できる程度であれば通常の生活の範囲と考えられるが、そのサビを放置し、床に汚損等の損害
を与えること、賃借人の善管注意義務違反に該当す
引越作業で生じたひっかきキズ
(考え方)賃借人の善管注意義務違反または過失に該当する場合が多いと考えられる。

畳やフローリングの色落ち(賃借人の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)
(考え方)賃借人の善管注意義務違反に該当する場合が多いと考えられる。

落書き等の故意による毀損

壁、天井(クロスなど)

スクロールできます
部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
壁、天井(クロスなど)テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
(考え方)テレビ、冷蔵庫は通常一般的な生活をしていくうえで必需品であり、その使用による電気ヤケは通常の使用ととらえるのが妥当と考えられる。

壁に貼ったポスターや絵画の跡
(考え方)壁にポスター等を貼ることによって生じるクロス等の変色は、主に日照などの自然現象によるもので、通常の生活による損耗の範囲であると考えられる。

エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡
(考え方)エアコンについても、テレビ等と同様一般的な生活をしていくうえで必需品になってきており、その設置によって生じたビス穴等は通常の損耗と考えられる。

クロスの変色(日照などの自然現象によるもの)
(考え方)畳等の変色と同様、日照は通常の生活で避けられないものであると考えられる。

壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)
(考え方)ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる。
台所の油汚れ
(考え方)使用後の手入れが悪くススや油が付着している場合は、通常の使用による損耗を超えるものと判断されることが多いと考えられる。

結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ
(考え方)結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

クーラー(賃貸人所有)から水漏れし、賃借人が放置したため壁が腐食
(考え方)クーラー保守は所有者(賃貸人)が実施するべきものであるが、水漏れを放置したり、その後の手入れを怠った場合は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。
タバコ等のヤニ・臭い
(考え方)喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり臭いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件での喫煙等が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。

壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程度のもの)
(考え方)重量物の掲示等のためのくぎ、ネジ穴は、画鋲等のものに比べて深く、範囲も広いため、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。なお、地震等に対する家具転倒防止の措置については、予め、賃貸人の承諾、または、くぎやネジを使用しない方法等の検討が考えられる。

クーラー(賃借人所有)から水漏れし、放置したため壁が腐食
(考え方)クーラーの保守は所有者(この場合賃借人)が実施すべきであり、それを怠った結果、壁等を腐食させた場合には、善管注意義務違反と判断されることが多いと考えられる。

天井に直接つけた照明器具の跡
(考え方)あらかじめ設置された照明器具用コンセントを使用しなかった場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。落書き等の故意による毀損

建具(襖、柱など)

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部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
建具(襖、柱など)網戸の張替え(破損等はしていないが次の入居者確保のために行うもの)
(考え方)入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。
地震で破損したガラス
(考え方)自然災害による損傷であり、賃借人には責任はないと考えられる。

網入りガラスの亀裂(構造により自然に発生したもの)
(考え方)ガラスの加工処理の問題で亀裂が自然に発生した場合は、賃借人には責任はないと考えられる。
飼育ペットによる柱等のキズ・臭い
(考え方)特に、共同住宅におけるペット飼育は未だ一般的ではなく、ペットの躾や尿の後始末などの問題でもあることから、ペットにより柱、クロス等にキズが付いたり臭いが付着している場合は賃借人負担と判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件でのペットの飼育が禁じられている場合は、用法違反にあたるものと考えられる。

落書き等の故意による毀損

設備、その他(鍵、クリーニングなど)

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部位\区分AB
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの
(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)
A(+G)
次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素があるもの
A(+B)
賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの
設備、その他(鍵など)全体のハウスクリーニング(専門業者による)
(考え方)賃借人が通常の清掃(具体的には、ゴミの撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回り、換気扇、レンジ回りの油汚れの除去等)を実施している場合は次の入居者確保のためのものであり、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。

エアコンの内部洗浄
(考え方)喫煙等による臭い等が付着していない限り、通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、賃借人の管理の範囲を超えているので、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。

消毒(台所、トイレ)
(考え方)消毒は日常の清掃と異なり、賃借人の管理の範囲を超えているので、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。

浴槽、風呂釜等の取替え(破損等はしていないが、次の入居者確保のため行うもの)
(考え方)物件の維持管理上の問題であり、賃貸人負担とするのが妥当と考えられる。
鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
(考え方)入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とする

設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの)
(考え方)経年劣化による自然損耗であり、賃借人に責
ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす
(考え方)使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。

風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等
(考え方)使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。
日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損
(考え方)賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。

鍵の紛失、破損による取替え
(考え方)鍵の紛失や不適切な使用による破損は、賃借人負担と判断される場合が多いものと考えられる。

戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草
(考え方)草取りが適切に行われていない場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断される場合が多いと考えられる。

この表からわかるように、各部位によって判断基準が異なります。

フローリング

例えば、フローリングの場合…

  • 日常生活での擦り傷や色あせ → A 貸主負担(経年変化・通常損耗)
  • 家具の引きずりによる深い傷 → B 借主負担(過失による毀損)

また、クロス(壁紙)の場合…

  • 日照による変色や壁紙の自然な剥がれ → A 貸主負担
  • タバコのヤニ汚れや落書き → B 借主負担

賃借人が負担すべき原状回復義務等負担一覧表の読み方

原状回復を考える上で重要なのが「損耗(そんもう)」と「毀損(きそん)」の区別です。

損耗とは、時間経過や通常使用による自然な劣化のことで、基本的に貸主負担となります。

畳

例えば…

  • 日常的な歩行による床の摩耗
  • 日光による壁紙の色あせ
  • 換気扇の経年劣化

一方、毀損とは、借主の故意・過失や通常の使用方法を超える使用によって生じた劣化や破損のことで、借主負担となります。

例えば…

  • ペットによる引っかき傷
  • タバコのヤニや焦げ跡
  • 重い物を落として生じたフローリングの凹み

では、具体的にどのようなケースが借主負担となり、どのようなケースが貸主負担となるのか、以下の「賃借人の原状回復義務等負担一覧表」で確認しましょう。

賃借人の原状回復義務等負担一覧表

床(畳、フローリング、カーペットなど)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
床(畳、フローリング、カーペットなど)毀損部分の補修畳:最低1枚単位
色合わせを行う場合は当該居室の畳数分

カーペット、クッションフロア:1部屋単位
洗浄等で落ちない汚れ、キズの場合

フローリング:最低㎡単位
畳 :原則1枚単位
毀損等が複数枚にわたる場合は、その枚数(裏返しか表替えかは毀損の程度による)

カーペット、クッションフロア:毀損等が複数箇所にわたる場合は当該居室全体
フローリング :原則㎡単位
毀損等が複数箇所にわたる場合は当該居室全体
畳表
消耗品に近いものであり、減価償却資産になじまないので、経過年数は考慮しない。

畳床、カーペット、クッションフロア
6 年で残存価値 1 円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する。

フローリング
経過年数は考慮しない。ただし、フローリング全体にわたっての毀損によりフローリング床全体を張り替えた場合は、当該建物の耐用年数(参考資料の資料8参照)で残存価値 1 円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。

壁、天井(クロスなど)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
壁、天井(クロスなど)毀損部分の補修壁(クロス) :最低㎡単位色、模様あわせを行う場合は当該面または居室全体
※タバコ等のヤニや臭いの場合は、クリーニングまたは張替え(部分補修困難)
壁(クロス) :㎡単位が望ましいが、賃借人が毀損させた箇所を含む一面分までは張替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする。
※タバコ等のヤニや臭い喫煙等により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、当該居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられる。
壁(クロス)
6 年で残存価値 1 円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する。

建具(襖、柱など)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
建具(襖、柱など)毀損部分の補修襖 :最低1枚単位
色、模様あわせを行う場合は当該居室全体の枚数

柱 :最低1本単位
襖 :1枚単位
柱 :1本単位
襖紙、障子紙
消耗品であり、減価償却資産とならないので、経過年数は考慮しない。

襖、障子等の建具部分、柱
経過年数は考慮しない。(考慮する場合は当該建物の耐用年数で残存価値 1 円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。)

設備、その他(鍵、クリーニングなど)

スクロールできます
賃借人の原状回復義務工事施工単位(実体)賃借人の負担単位等経過年数の考慮等
基本的な考え方賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること。可能な限り毀損部分の補修費用相当分となるよう限定的なものとする。この場合、補修工事が最低限可能な施工単位を基本とする。いわゆる模様あわせ、色あわせについては、賃借人の負担とはしない。財産的価値の復元という観点から、毀損等を与えた部位や設備の経過年数によって、負担割合は変化する。
具体的には、経過年数が多いほど賃借人の負担割合が小さくなるようにする。
最終残存価値は 1 円とし、賃借人の負担割合は最低 1 円となる。
設備、その他(鍵、クリーニングなど)設備の補修
鍵の返却
通常の清掃(ゴミ撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回り清掃、換気扇やレンジ回りの油汚れの除去)
設備機器:部分的補修、交換
鍵:紛失の場合はシリンダーの交換
クリーニング:専門業者による部位ごともしくは全体のクリーニング(いわゆるハウスクリーニング)
設備機器:補修部分、交換相当費用
鍵:紛失の場合はシリンダーの交換
クリーニング:部位ごともしくは住戸全体
設備機器
・耐用年数経過時点で残存価値1円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する(新品交換の場合も同じ)。


【主な設備の耐用年数】
耐用年数 5 年のもの
・流し台

耐用年数 6 年のもの
・冷房用、暖房用機器(エアコン、ルームクーラー、ストーブ等)
・電気冷蔵庫、ガス機器(ガスレンジ)
・インターホン

耐用年数 8 年のもの
・主として金属製以外の家具(書棚、たんす、戸棚、茶ダンス)

耐用年数 15 年のもの
・便器、洗面台等の給排水衛生設備
・主として金属製の器具・備品

当該建物の耐用年数が適用されるもの
・ユニットバス、浴槽、下駄箱(建物に固着して一体不可分なもの)
・鍵の紛失の場合は、経過年数は考慮しない。交換費用相当分を全額賃借人負担とする。
・クリーニングについて、経過年数は考慮しない。賃借人負担となるのは、通常の清掃を実施していない場合で、部位もしくは住戸全体の清掃費用相当分を全額賃借人負担とする。

この表を参考にすることで、退去時の費用負担について事前に理解を深めることができます。

ただし、表に記載されていないケースや判断が難しい事例も存在するため、疑問点があれば契約前に確認しておくことをお勧めします。

重要なポイント
  • 契約書に「原状回復費用は借主負担」と書かれていても、ガイドラインや判例に基づけば経年劣化分は貸主負担となる
  • 入居時の物件状態を写真等で記録しておくことが重要
  • 退去時の立会い検査では、修繕箇所と理由を明確に確認する
  • 見積書の内訳を必ず確認し、不明点は質問する
  • 敷金精算書で返金額に納得できない場合は、書面で異議を申し立てる

まとめ

まとめ

賃貸物件の退去時における原状回復義務の問題は、知識があるかないかで大きく結果が変わります。

この記事でご紹介した通り、国土交通省の「原状回復ガイドライン」では、経年変化や通常使用による損耗は貸主負担、故意・過失による損傷は借主負担と明確に区分されています。

退去時のトラブルを避けるためには、入居時に物件の状態を写真で記録しておくこと、日常的に丁寧に物件を使用すること、そして退去時には「部位別の負担割合表」や「損耗と毀損の区分表」を参考に、請求内容が適切かどうか確認することが重要です。

不当な請求があった場合は、ガイドラインを根拠に交渉することができます。

また、交渉が難しい場合は、地方自治体の消費生活センターや国民生活センターなどの相談窓口を利用するという選択肢もあります。

適切な知識を持ち、冷静に対応することで、退去時の原状回復をめぐるトラブルを最小限に抑え、敷金を最大限取り戻すことができるでしょう。

賃貸生活を終える際にも、円満な関係で締めくくれるよう、この記事が参考になれば幸いです。

参照元:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

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