賃貸アパート退去時の水垢とカビは、賃借人の過失として扱われることが多く、退去費用の負担が発生する原因となります。
水垢は、お風呂場やキッチンのシンクなどに発生し、硬水に含まれるミネラル成分が蒸発することで残る頑固な汚れです。
一方、カビは湿気が多い環境で発生しやすく、放置すると健康にも悪影響を及ぼします。
賃貸契約では、賃借人には日常的な清掃や定期的な換気を行う義務があり、これらを怠ると水垢やカビの発生は過失とみなされます。
ここでは、その水垢・カビに関する記事をご覧いただけます。
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[事例23]本件敷引特約は消費者契約法 10 条により無効であり、また、賃借人は見えるところの結露は拭いており、カビの発生に賃借人の過失はないとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して敷金の返還を求めた事案です。賃貸人Yは、賃借人Xにカビ発生の過失があるとして損害賠償を請求しましたが、裁判所はカビの原因が建物の構造上の問題であると判断し、賃借人Xに過失はないと結論づけました。さらに、敷引特約が消費者契約法に反するとして無効とされ、敷金全額の返還が命じられました。 -
[事例26]カビの発生は賃借人の手入れに問題があった結果であるが、経過年数を考慮するとクロスの張替えに賃借人が負担すべき費用はない、との判断を示した事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して、敷金の返還と更新料の返還を求めた事案です。裁判所は、賃借人Xが長期間にわたり賃借していた建物の損耗・汚損は自然経過によるものであり、クロスの張替え費用は貸主負担と判断しました。また、更新料支払特約は有効であるとし、敷金から一部を控除した金額の返還を命じました。 -
[事例9]賃借人の手入れにも問題があったとして、カビの汚れについて賃借人にも2割程度の負担をすべきとした事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して敷金の返還を求めた事案です。賃貸人Yは、賃借人Xが通常の使用を超える損害を与えたとして、カビ被害などの原状回復費用を敷金から充当し、敷金の返還を拒否しました。裁判所は、カビ被害の一部について賃借人Xにも責任があると判断し、敷金から一部を差し引くことを認めました。
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