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保証会社の解除更新料特約が消費者契約法により無効とされ追い出し行為が不法行為と認められた事例

保証会社の解除更新料特約が消費者契約法により無効とされ追い出し行為が不法行為と認められた事例

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賃貸保証会社から「賃料を1日でも滞納したら解除更新料を支払ってもらう」と言われたことはありませんか。

本記事で紹介するのは、名古屋地方裁判所が平成23年4月27日に下した判決(RETIO NO.86)です。

この裁判では、賃借人が1回でも賃料を滞納すると保証委託契約が無催告で自動解除され、再更新の際に1万円の解除更新料を支払う特約の有効性と、保証会社による組織的な追い出し行為の違法性が争点となりました。

裁判所は解除更新料特約を消費者契約法10条により無効と判断し、保証会社の追い出し行為を不法行為と認定しました。


ゲン
監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

日本行政書士会連合会 神奈川県行政書士会所属
登録番号 第17090472号


目次

名古屋地裁が示した保証委託契約の不当な特約と追い出し行為の判断

賃貸借契約時に使う契約書類と印鑑
  • 賃貸保証会社との保証委託契約で不当な解除更新料特約が設けられた経緯
  • 裁判所は解除更新料特約を消費者契約法10条により無効と判断した
  • クロスの耐用年数6年と残存価値の計算方法を把握しておくことが重要になる
賃貸物件の退去情報サイト - 敷金ドットコム
この段落のポイント

賃貸保証会社との契約で「1回でも滞納したら追加費用が発生する」と不安を感じていませんか。

この名古屋地裁の判決は、保証委託契約に設けられた不当な解除更新料特約の無効と、保証会社の組織的な追い出し行為の違法性が認められた重要な事例です。

賃貸保証会社との保証委託契約で不当な解除更新料特約が設けられた経緯

賃貸借契約の支払い明細と費用内訳

まず、この裁判の背景として、賃借人Xは平成19年11月に月額賃料3万円・共益費5千円の賃貸住宅に入居し、賃貸保証会社Y1との間で保証委託契約を締結しました。

保証委託契約には、賃借人が1回でも賃料を滞納すると無催告で自動的に保証契約が解除され再更新されるという特約が含まれていました。

再更新のたびに1万円の解除更新料が発生する仕組みであり、賃借人Xは合計7万円の解除更新料を支払わされていました。

さらに保証会社Y1は「振込手数料」「契約違反手数料」「通信連絡手数料」など根拠のない名目で金銭を請求し、退去の勧告を組織的に行っていました。

ゲン

1回の滞納で自動的に1万円が発生する仕組みは、借主にとって非常に不利な特約です。

民法第601条:賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

引用元:第七節 賃貸借 | e-Govポータル

裁判所は解除更新料特約を消費者契約法10条により無効と判断した

退去費用トラブルの解決に利用する裁判所の外観

次に、裁判所が各争点についてどのように判断したかを整理します。

裁判所は、賃料を1日でも滞納しただけで無催告で保証契約が自動解除され、再更新のたびに1万円の解除更新料が発生する特約について、消費者の利益を一方的に害する内容であり消費者契約法10条により無効と判断しました。

また、保証会社Y1が根拠のない金銭の請求や退去の勧告を組織的に行っていた行為は、社会通念上許容される限度を超えた不法行為に該当するとされました。

裁判所は賃借人Xの請求を一部認容し、支払い済みの解除更新料7万円の返還と不法行為による損害賠償を命じました。

ゲン

消費者契約法10条は、借主に一方的に不利な契約条項を無効にできる重要な規定です。

民法第1条第2項:権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

引用元:第一章 通則 | e-Govポータル

クロスの耐用年数6年と残存価値の計算方法を把握しておくことが重要になる

ゲン

クロス・カーペット・クッションフロア等の耐用年数は6年です。要は入居期間が6年以上であれば、原状回復費用は発生しない(0円)ということになります。

さらに、退去時に原状回復費用を請求される場合に備えて、国土交通省のガイドラインで定められた耐用年数を知っておくことが大切です。

クロス(壁紙)の耐用年数は6年と定められており、定額法による計算では入居1年目の残存価値は約83%、3年目で約50%、6年目以降はほぼ1円となります。

この事例のように月額賃料3万5千円の物件では、保証会社への支払い以外にも退去時の費用負担を正しく把握することが重要です

ゲン

入居年数ごとに借主が負担すべき残存価値を計算ツールで確認できます。

民法第622条の2第1項:賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。)を受け取っている場合において、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

引用元:第三款 賃貸借の終了 | e-Govポータル

この判決から学ぶ保証会社トラブルへのルールと対処法

退去費用・原状回復の問題解決に役立つ六法全書と弁護士バッジ
  • 消費者契約法10条は借主に一方的に不利な契約条項を無効にできる
  • 保証会社の追い出し行為は不法行為として損害賠償の対象になる
  • 保証会社とのトラブルが発生したときは段階的に対処を進められる
賃貸物件の退去情報サイト - 敷金ドットコム
この段落のポイント

保証会社から不当な請求を受けたとき「支払わなければ退去させられるのでは」と不安になる方は少なくありません。

ここでは、消費者契約法による保護の範囲と追い出し行為への法的対応、そして具体的な対処法を解説します。

消費者契約法10条は借主に一方的に不利な契約条項を無効にできる

入居・退去の注意事項が記載された重要事項説明書

まず、この判決で適用された消費者契約法10条の内容を確認します。

消費者契約法10条は、民法や商法などの任意規定と比較して消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効としています。

この判決では、1日でも賃料を滞納しただけで保証契約が無催告で自動解除され、1万円の解除更新料が発生する特約が消費者契約法10条に違反すると判断されました。

借主に一方的に不利な契約条項は消費者契約法10条によって無効にできることを知っておけば、不当な特約に対処しやすくなります。

ゲン

消費者契約法は借主を守るための法律であり、不当な契約条項は無効を主張できます。

民法第90条:公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

引用元:第一節 総則 | e-Govポータル

保証会社の追い出し行為は不法行為として損害賠償の対象になる

退去費用トラブルの解決に使う訴状

加えて、この判決では保証会社Y1の追い出し行為についても重要な判断が示されました。

保証会社Y1は、根拠のない「振込手数料」や「契約違反手数料」などの名目で金銭を請求し、賃借人に対して退去の勧告を組織的に行っていました。

裁判所は、保証会社の組織的な追い出し行為は社会通念上許容される限度を超えた不法行為に該当すると認定し、損害賠償を命じました。

保証会社からの退去要求は法的な強制力を持たないため、正当な理由なく退去に応じる必要はありません。

ゲン

保証会社からの不当な退去勧告には従う義務がなく、損害賠償を請求できる場合もあります。

民法第415条第1項:債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

引用元:第一款 債務不履行の責任 | e-Govポータル

保証会社とのトラブルが発生したときは段階的に対処を進められる

退去立会いができない場合に弁護士に相談している様子

最後に、保証会社から不当な請求を受けたときの具体的な対処法を解説します。

まずは保証会社に「請求の法的根拠を書面で示してほしい」と伝え、不明な名目の費用については支払いを拒否する姿勢を示すことが第一歩です。

交渉で解決しない場合は、各地域の宅建協会や国民生活センター(消費者ホットライン188番)に相談し、必要に応じて弁護士や認定司法書士に依頼しましょう。

不当に支払った費用は不当利得として返還を求められるため、保証会社の請求を鵜呑みにする必要はありません

ゲン

段階的に対処すれば、不当な請求額を大幅に減額できるケースは少なくありません。

民法第703条:法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

引用元:第四章 不当利得 | e-Govポータル

よくある質問

保証委託契約の解除更新料は支払う義務がありますか

解除更新料特約の内容によっては支払い義務がない場合があります。

この名古屋地裁の判決では、1回の賃料滞納で自動解除・再更新される特約が消費者契約法10条により無効とされ、支払い済みの解除更新料7万円の返還が命じられました。

保証会社から退去を求められた場合は従わなければなりませんか

保証会社からの退去要求に法的な強制力はありません。

退去を法的に求められるのは裁判所の判決や調停による場合に限られます。

保証会社が組織的に退去を勧告する行為は、この判決のように不法行為と認定される可能性があります。

消費者契約法10条で無効にできる契約条項にはどのようなものがありますか

消費者契約法10条は、消費者の権利を制限しまたは義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効とします。

賃貸借契約では、高額すぎる敷引特約や不当なクリーニング費用特約、この判決のような解除更新料特約などが無効とされた事例があります。

保証会社に支払った費用を取り戻すにはどうすればよいですか

まずは保証会社に書面で返還を求め、交渉が不調であれば弁護士に相談してください。

消費者契約法10条により無効とされる特約に基づいて支払った費用は、不当利得として返還を請求できます。

金額が60万円以下であれば、簡易裁判所の少額訴訟制度を利用する方法もあります。

まとめ

この判決は、保証委託契約の解除更新料特約が消費者契約法により無効とされ、保証会社の追い出し行為が不法行為と認定された重要な先例です。

保証会社から不当な請求を受けた場合は、まず請求の法的根拠を確認し、消費者契約法による保護を活用することが重要です。

この記事のポイントを振り返ります。

この記事のポイント
  • 敷金ドットコムは、情報提供を目的としたサイトです。行政書士が記事の監修および執筆を行っておりますが、根本的な問題やトラブルの解決を目的としたものではありません。トラブルの解決については、弁護士または認定司法書士にご相談ください。

ゲンのアバター ゲン 監修者

1982年にサレジオ学院高校を卒業後、中央大学法学部法律学科に進学し1987年に卒業。法曹界を志し、様々な社会経験を経た後、2016年に行政書士試験に合格。2017年4月に「綜合法務事務所君悦」を開業。法律知識と実務経験を活かし、国際業務を中心に寄り添ったサービスを提供している。

正しい情報を掲載するよう注意しておりますが、誤った情報があればご指摘ください。

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