賃貸借契約書に記載される特約は、貸主と借主が合意した内容に基づいて、賃貸契約における特定の条件や義務を定めるものです。
原状回復特約は、退去時に借主が物件をどのように復旧すべきかを明確にするもので、壁の穴などの修理費用負担区分を定めます。
また、クリーニング特約では、退去時の部屋の清掃義務や費用負担について定め、敷金特約では、敷金から原状回復やクリーニング費用を充当する方法や残金の返金について規定します。
ここでは、その特約に関する記事をご覧いただけます。
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[事例16]敷引きの特約は有効とされたが修繕費用は通常の使用による自然損耗分を除く 7 万円余に減額された事例
賃借人Xが賃貸人Yに対し、敷金の一部を敷引金として控除する特約(敷引約定)の有効性及び修繕費用の控除額を争った事案です。裁判所は、敷引約定の有効性を認め、修繕費用のうち賃借人Xが負担すべき金額を限定しました。 -
[事例18]ペット飼育に起因するクリーニング費用を賃借人負担とする特約が有効とされた事例
賃借人がペットを飼育したことに伴う原状回復費用について、賃貸借契約に特約があった場合、その特約が有効かどうかが争われた事例です。裁判所は、ペット飼育に伴う消毒費用を賃借人負担とする特約を有効と判断し、クリーニング費用の一部を賃借人に負担させました。 -
[事例19]「50%償却」と「賃借人の負担義務を定めた特約」の規定のあった事例
賃貸借契約終了時に賃借人が負担すべき原状回復費用を巡る争いです。賃貸人Yは、賃借人Xに対し、リフォーム費用として52万7572円を請求し、敷金の返還を拒否しました。これに対し、賃借人Xは、敷金47万円のうち23万5000円の返還を求めて提訴しました。裁判所は、賃借人Xが負担すべき原状回復費用を4万950円と認定し、敷金の返還額を19万4050円としました。 -
[事例22]設備使用料等の合意が、公序良俗に反し無効とされた事例
賃借人Xが賃貸人Yとの間で締結した賃貸借契約において、敷金の返還と「設備協力金」および「設備使用料」の不当利得返還を求めた事案です。裁判所は、修繕費負担特約の無効性と設備使用料の公序良俗違反を理由に、賃借人Xの請求を認めました。 -
[事例23]本件敷引特約は消費者契約法 10 条により無効であり、また、賃借人は見えるところの結露は拭いており、カビの発生に賃借人の過失はないとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して敷金の返還を求めた事案です。賃貸人Yは、賃借人Xにカビ発生の過失があるとして損害賠償を請求しましたが、裁判所はカビの原因が建物の構造上の問題であると判断し、賃借人Xに過失はないと結論づけました。さらに、敷引特約が消費者契約法に反するとして無効とされ、敷金全額の返還が命じられました。 -
[事例24]通常損耗に関する補修費用を賃借人が負担する旨の特約が成立していないとされた事例
賃借人が賃貸住宅を明け渡す際に、通常の使用に伴う損耗(通常損耗)についての補修費用を負担するかどうかが争われた事例です。最高裁判所は、通常損耗に関する補修費用の負担を賃借人に求めるためには、契約書に具体的な特約が明記されているか、賃借人がその内容を明確に認識し合意している必要があると判断しました。本件ではそのような特約が認められないとして、賃貸人が敷金から差し引いた補修費用の返還を命じました。 -
[事例25]本件敷引特約は、消費者契約法10条により無効であるとされた事例
賃借人Xが賃貸人Yとの賃貸借契約において敷引特約の無効を主張し、敷金の返還を求めた事案です。裁判所は、敷引特約が消費者契約法10条に該当し無効であると判断し、敷金の大部分を返還するよう命じました。 -
[事例26]カビの発生は賃借人の手入れに問題があった結果であるが、経過年数を考慮するとクロスの張替えに賃借人が負担すべき費用はない、との判断を示した事例
賃借人Xが賃貸人Yに対して、敷金の返還と更新料の返還を求めた事案です。裁判所は、賃借人Xが長期間にわたり賃借していた建物の損耗・汚損は自然経過によるものであり、クロスの張替え費用は貸主負担と判断しました。また、更新料支払特約は有効であるとし、敷金から一部を控除した金額の返還を命じました。 -
[事例27]通常損耗を賃借人の負担とし、解約手数料を賃借人の負担とする特約が消費者契約法により無効とされた事例
賃貸借契約において解約手数料や原状回復費用を賃借人に負担させる特約が、消費者契約法に反して無効とされた事例です。賃借人Xは、賃貸人Yが保証金から解約手数料や原状回復費用を差し引いたことに異議を唱え、保証金の全額返還を求めて提訴しました。裁判所は、特約が賃借人に過重な負担を課すものであるとして無効と判断し、賃借人Xの請求を認めました。 -
[事例28]敷引特約が、消費者契約法に反し無効とされた事例
賃貸借契約における敷引特約(敷金の一部を返還しないとする特約)が消費者契約法に違反し無効とされた事例です。賃借人Xは敷金の返還を求めたのに対し、賃貸人Yは原状回復費用を理由に敷金以上の損害賠償を反訴請求しました。裁判所は、敷引特約が消費者に過剰な負担を課すものであり、信義則に反するとして無効と判断しました。