退去時の畳の原状回復は誰の負担?畳の表替えと費用の相場
退去時に畳の表替えをしなければならない場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか?また、業者に依頼する際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか?本記事では、退去時の畳の表替え費用相場や注意点を詳しく解説します。
畳は、和室の床に敷かれる伝統的な素材です。耐久性と吸湿性に優れており、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるため、多くの人に愛されています。しかし、畳は定期的にメンテナンスを行う必要があるため、退去時に表替えが必要になることがあります。
本記事では、退去時の畳の表替え費用相場や注意点について詳しく解説しました。退去時に畳の表替えが必要になった方は、ぜひ参考にしてください。
回答してくれる街の法律家
当事務所は、賃貸トラブルでお悩みの皆様を無料でサポートしております。
敷金の返還請求、立ち退きや退去費用に関するトラブルなど、様々な問題について、適切なアドバイスや解決策を無償で提供しております。
裁判所での訴訟等については、業務の範囲外となるため、サポートに限りはありますが、借主の皆様が、より安心して住まいを利用できるよう、最善の解決策をご提案いたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
退去時の畳の表替えは誰の負担?
退去時に畳の表替えが必要になった場合、費用は誰が負担するのでしょうか?
結論から言うと、畳の原状回復は貸主負担が基本です。
ただし、借主の過失で畳を傷つけた場合は、借主が費用を負担することになります。
畳の原状回復は貸主負担が基本
国土交通省は、賃貸住宅の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の中で、畳の原状回復について以下のように定めています。
畳は、通常の使用による摩耗、汚れ等は借主の負担とはせず、貸主が負担するものとする。ただし、借主の故意・過失による畳の損傷等については、借主の負担とする。
出典:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)
つまり、畳のへたりやシミなどの経年劣化による損傷は貸主が負担し、タバコの火で焦がしたり、飲み物をこぼしてシミを作ったりした場合は借主が負担することになります。
借主の過失で畳を傷つけた場合
借主の過失で畳を傷つけた場合は、借主が費用を負担することになります。
ただし、過失の程度によっては、貸主と借主で費用を分担することもあります。
例えば、タバコの火で畳を焦がしてしまった場合、借主の過失が重いため、全額借主が負担することになるでしょう。
しかし、飲み物をこぼしてシミを作ってしまった場合、借主の過失が軽いため、貸主と借主で費用を分担することになるかもしれません。
退去時の畳の表替え費用相場
退去時に畳の表替えが必要になった場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか?
畳の表替えには、表替え、裏返し、畳替えの3種類があり、それぞれ費用が異なります。
表替え
表替えとは、畳表のみを新しく張り替える作業です。
畳表は畳の表面を覆っているござの部分で、使用することで摩耗や汚れが蓄積します。
表替えは、畳表の摩耗や汚れが目立ってきた場合に行うのが一般的です。
表替えの費用相場は、1畳あたり5,000~10,000円程度です。
畳の種類や広さによって費用が異なります。
裏返し
裏返しとは、畳表を裏返して使用する作業です。
畳表は裏表で使用できるので、裏返しを行うことで畳を長持ちさせることができます。
裏返しは、畳表が汚れたり摩耗したりしてきた場合に行うのが一般的です。
裏返しの費用相場は、1畳あたり2,000~5,000円程度です。
畳の種類や広さによって費用が異なります。
畳替え
畳替えとは、畳表と畳床を新しく交換する作業です。
畳床は畳の下にある芯の部分で、使用することでへたりや傷が付きます。
畳替えは、畳床のへたりや傷が目立ってきた場合に行うのが一般的です。
畳替えの費用相場は、1畳あたり10,000~20,000円程度です。
畳の種類や広さによって費用が異なります。
退去時の畳の表替えを業者に依頼する際の注意点
退去時に畳の表替えを業者に依頼する際は、以下の点に注意しましょう。
複数の業者から見積もりをもらう
畳の表替えの費用は、業者によって大きく異なります。
そのため、複数の業者から見積もりをもらって、費用を比較することが大切です。
見積もりをもらう際には、必ず畳の種類や広さ、表替えの作業内容などを明確に伝えるようにしましょう。
作業内容を事前に確認する
見積もりをもらったら、作業内容を事前に確認しましょう。
作業内容には、畳の表替えの作業だけでなく、出張費用や廃棄物処理費用なども含まれている場合があります。
また、作業日や作業時間についても確認しておきましょう。
保証書をもらう
畳の表替えを業者に依頼する場合は、保証書をもらうようにしましょう。
保証書があれば、万が一のトラブルに備えることができます。
ある賃貸物件の賃借人と賃貸人との契約書において、畳の表替えに関する費用だけが修繕費として認められた事例
仙台簡易裁判所判決 平成7年3月27日は、賃貸借契約書に畳表の取替え費用のみが修繕費用として認められた事例です。
この事例では、賃借人Yが退去した際に、管理受託者Xが和室、洋室、玄関台所の壁の張替えと畳表の取替えを行いました。
管理受託者Xは、これらの修理費用(22万8200円)を賃借人Yに請求しましたが、裁判所は畳表の取替え費用のみを認め、壁の張替え費用は認めませんでした。
裁判所は、畳表の取替え費用については、賃貸借契約書に賃借人Yが負担するとの条項があったため認めました。
しかし、壁の張替え費用については、賃借人Yの過失によるものではなく、経年劣化によるものであると判断しました。
この判決は、賃貸借契約書に修繕費用の負担に関する条項がある場合でも、賃借人が過失なく発生した修繕費用については負担する必要がないことを示しています。
退去時の畳の原状回復は誰の負担?畳の表替えと費用の相場のまとめ
退去時の畳の表替え費用は、畳の種類や広さによって異なります。表替えの費用相場は以下のとおりです。
畳の種類 | 費用相場(1畳あたり) |
い草 | 5,000~6,000円 |
カラーい草 | 6,000~7,000円 |
フローリング畳 | 10,000~12,000円 |
表替えの費用には、畳の張替え費用のほか、畳縁の張替え費用や出張費用が含まれている場合があります。
また、退去時の畳の表替えを業者に依頼する際は、以下の点に注意しましょう。
- 複数の業者から見積もりをもらう
- 作業内容を事前に確認する
- 保証書をもらう
最後に、退去時の畳の原状回復は貸主負担が基本ですが、借主の過失で畳を傷つけた場合は、借主が費用を負担することになります。
- 退去時の畳の表替え費用は、畳の種類や広さによって異なります。
- 退去時の畳の表替えを業者に依頼する場合は、複数の業者から見積もりをもらい、作業内容を事前に確認し、保証書をもらうことが大切です。
- 退去時の畳の原状回復は、原則として貸主の負担となりますが、借主の過失で畳を傷つけた場合は、借主が費用を負担することになります。
退去時の畳の表替えと費用の相場に関するよくある質問
退去時の畳の表替え費用はいくらくらいですか?
原状回復義務とは、どのような義務ですか?
畳の種類や広さによって異なりますが、1畳あたり5,000~10,000円程度が相場です。
退去時の畳の表替えを業者に依頼する際の注意点は何ですか?
退去時の畳の表替えを業者に依頼する際の注意点は何ですか?
複数の業者から見積もりをもらい、作業内容を事前に確認することです。また、保証書をもらうことも大切です。
退去時の畳の原状回復は誰の負担ですか?
退去時の畳の原状回復は誰の負担ですか?
原状回復は貸主負担が基本ですが、借主の過失で畳を傷つけた場合は、借主が費用を負担することになります。
コメントから相談する